発売日: 1964年1月
ジャンル: ロックンロール、ビートミュージック
英国ビートのエネルギーに満ちたデビューアルバム
The Hollies のデビューアルバム Stay with The Hollies は、1964年初頭にリリースされ、イギリスのビートミュージックシーンに新たなエネルギーをもたらした作品 である。The Beatles、The Rolling Stones、The Searchers などのブリティッシュ・インベイジョンの波に乗りながらも、彼ら独自のスタイルを築いた重要なアルバムだ。
本作では、当時のロックンロールのスタンダード曲を中心にしつつも、彼らの特徴である美しいコーラスワークと軽快なリズムギター が際立つ。ボーカルの Allan Clarke、ギターの Graham Nash、トニー・ヒックスのトリプルハーモニーが強烈なインパクトを持ち、単なるカバーアルバムではなく、The Hollies の個性をしっかりと打ち出している。
アルバムタイトルにもなった「Stay」（モーリス・ウィリアムズのカバー）は、シングルとしてもヒットし、The Hollies の名を世に広めた。また、ロックンロールの名曲「Rockin’ Robin」や「Lucille」などのアップテンポな楽曲が並び、当時のバンドのパワフルな演奏が感じられる。
全曲レビュー
1. Talking ‘Bout You
チャック・ベリーのカバーで、The Hollies のエネルギッシュな演奏が光るオープニングトラック。リズムギターの勢いとコーラスが楽曲を際立たせる。
2. Mr. Moonlight
The Beatles もカバーしたことで知られる楽曲。オルガンが印象的で、バンドのヴォーカルハーモニーが活かされたナンバー。
3. You Better Move On
アーサー・アレクサンダーのバラードのカバー。原曲のソウルフルな雰囲気を残しつつ、Hollies らしいクリーンなコーラスが映える。
4. Lucille
リトル・リチャードの名曲をカバー。疾走感あふれるアレンジで、The Hollies らしいビート感が楽しめる。
5. Baby Don’t Cry
シンプルなロックンロール曲。キャッチーなメロディとコーラスが特徴。
6. Memphis
チャック・ベリーの名曲をカバー。ギターのカッティングと軽快なリズムが、The Hollies のポップな魅力を引き立てる。
7. Stay
モーリス・ウィリアムズ＆ザ・ゾディアックスの楽曲をカバー。The Hollies の代表曲の一つであり、アップテンポなビートと爽快なハーモニーが際立つ。
8. Rockin’ Robin
ボビー・デイのクラシックなロックンロール曲をカバー。リズミカルな演奏と軽快なボーカルが楽しい。
9. Watcha Gonna Do ‘Bout It
ロックンロールの定番曲で、The Hollies のパワフルなヴォーカルとギターサウンドが映える。
10. Do You Love Me
モータウンのクラシック曲をカバー。原曲よりもポップな仕上がりで、Hollies らしいハーモニーが前面に出ている。
11. It’s Only Make Believe
カントリー寄りのバラード。感情的なボーカルが印象的で、バンドの異なる一面を見せる。
12. What Kind of Girl Are You
軽快なビートとキャッチーなメロディが特徴の楽曲。
13. Little Lover
唯一のオリジナル曲。カバー曲が中心のアルバムの中で、バンドのソングライティングの可能性を示唆する。
14. Candy Man
ラストを飾る陽気なロックンロール。楽しい雰囲気で締めくくられる。
総評
Stay with The Hollies は、ブリティッシュ・ビートシーンの熱狂を反映した、エネルギッシュでキャッチーなアルバムである。カバー曲が中心のデビュー作ながらも、The Hollies 独自のコーラスワークと演奏の鋭さが際立ち、単なるカバーではなく、バンドの個性を強く打ち出している。
「Stay」や「Lucille」など、シングルヒットした楽曲も多く、当時のイギリスのロックンロールブームを代表する作品の一つといえるだろう。オリジナル曲は1曲のみだが、バンドの実力と今後の可能性を感じさせるアルバムである。
おすすめのリスナー:
- 60年代のブリティッシュ・ビートに興味がある人
- The Beatles や The Searchers のような、コーラスの美しいバンドが好きな人
- エネルギッシュなロックンロールとポップなメロディを楽しみたい人
おすすめアルバム
1. The Beatles – Please Please Me (1963)
The Hollies と同時期に活躍したバンドのデビューアルバムで、似た雰囲気のカバー曲とオリジナル曲が含まれる。
2. The Searchers – Meet The Searchers (1963)
The Hollies と同様のブリティッシュ・ビートバンドで、ハーモニーが魅力的。
3. The Rolling Stones – The Rolling Stones (1964)
同時期のデビューアルバムで、よりブルース色の強いアプローチをとっている。
4. The Kinks – Kinks (1964)
ブリティッシュ・ビートの代表的バンドのデビュー作で、ギターリフの鋭さが特徴。
5. Gerry & The Pacemakers – How Do You Like It? (1963)
The Hollies と同じく、軽快なロックンロールとポップなハーモニーを持つバンドのアルバム。
Stay with The Hollies は、60年代のロックンロールのエネルギーを詰め込んだデビュー作であり、彼らのスタイルの原点が詰まった作品 だ。コーラスとギターワークの巧みさが光る、ブリティッシュ・インベイジョンの隠れた名盤として、今なお聴く価値のあるアルバムである。
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