
1. 歌詞の概要
「Wake Me Up When September Ends(ウェイク・ミー・アップ・ホエン・セプテンバー・エンズ)」は、**アメリカのパンクロックバンド Green Day(グリーン・デイ)が2004年にリリースしたアルバム『American Idiot』**に収録された楽曲であり、バンドのキャリアの中でも特に感動的なバラードのひとつである。
この曲は、フロントマンのビリー・ジョー・アームストロング(Billie Joe Armstrong)が、幼少期に亡くした父への想いを歌った非常にパーソナルな楽曲である。
タイトルの「Wake Me Up When September Ends(9月が終わったら起こしてくれ)」は、父を亡くした後のビリー・ジョーが、悲しみのあまり母に言った言葉がそのまま使われている。
歌詞では、9月という月が喪失と悲しみを象徴し、時間が経ってもその傷が癒えないことが描かれている。特に、**「Like my father’s come to pass(父が逝ってしまったように)」**というラインは、ビリー・ジョーの父親の死に対する率直な悲しみを表している。
2. 歌詞のバックグラウンド
「Wake Me Up When September Ends」は、ビリー・ジョー・アームストロングが10歳のときに父親を亡くした経験をもとに書かれた楽曲である。
ビリー・ジョーの父、アンディ・アームストロング(Andy Armstrong)は、1982年9月に食道がんで亡くなった。その直後、彼は深い悲しみに襲われ、「9月が終わるまで起こさないでくれ」と母に言ったという。この言葉が、この楽曲のタイトルとして使用されている。
アルバム『American Idiot』は、アメリカの政治や社会をテーマにしたロック・オペラだが、この楽曲だけはビリー・ジョーの個人的な経験を綴った例外的な楽曲となっている。そのため、政治的なメッセージは含まれておらず、純粋に個人的な喪失と成長について歌われた楽曲である。
しかし、2004年のリリース以降、この曲はアメリカ同時多発テロ事件(9.11)や、イラク戦争で亡くなった兵士たちへの追悼の歌としても受け取られるようになり、多くの人々にとって感動的な楽曲となった。
3. 歌詞の抜粋と和訳
[Verse 1]
Summer has come and passed
夏が過ぎ去り
The innocent can never last
無邪気な時間は決して長くは続かない
Wake me up when September ends
9月が終わったら起こしてくれ
Like my father’s come to pass
父が逝ってしまったように
Seven years has gone so fast
7年があっという間に過ぎ去った
Wake me up when September ends
9月が終わったら起こしてくれ
[Chorus]
Here comes the rain again
また雨が降り出す
Falling from the stars
星のように降り注ぐ雨
Drenched in my pain again
俺の痛みを濡らすように
Becoming who we are
俺たちは俺たちになっていくんだ
(引用元: Genius)
4. 歌詞の考察
「Wake Me Up When September Ends」の歌詞は、喪失、時間の経過、そして過去を乗り越えようとする努力をテーマにしている。
- 「Summer has come and passed, the innocent can never last(夏が過ぎ去り、無邪気な時間は決して長くは続かない)」
- ここでの「夏」は、楽しかった子供時代を象徴し、それが終わってしまったことへの悲しみを示している。
- 「Wake me up when September ends(9月が終わったら起こしてくれ)」
- これは、父を亡くした9月という月を、できることなら飛ばしてしまいたいという願望を表している。
- 「Here comes the rain again, falling from the stars(また雨が降り出す、星のように降り注ぐ雨)」
- 雨は、悲しみや喪失感を象徴しているが、「星のように降り注ぐ」という表現が付け加えられることで、どこか幻想的で美しさも感じさせる。
- 「Becoming who we are(俺たちは俺たちになっていくんだ)」
- これは、過去の経験を通して人は成長していくことを示している。喪失は辛いものだが、それが人を形成する要素にもなる、というメッセージが込められている。
全体として、この楽曲は喪失の悲しみを乗り越える過程を描きながら、時間の流れとともに成長していくことの大切さを伝えている。
5. この曲が好きな人におすすめの曲
- “Boulevard of Broken Dreams” by Green Day
- 孤独と自己探求をテーマにした、感傷的なバラード。
- “The Scientist” by Coldplay
- 別れと喪失をテーマにした、美しく切ない楽曲。
- “Hurt” by Johnny Cash(または Nine Inch Nails)
- 喪失や後悔を深く掘り下げた名曲。
- “Fix You” by Coldplay
- 癒しと希望をテーマにした、感動的な楽曲。
6. 「Wake Me Up When September Ends」の影響と特筆すべき点
- 9.11やイラク戦争の追悼ソングとしての受容
- 歌詞のテーマが喪失と時間の経過を扱っているため、多くのリスナーが9.11の犠牲者や戦争で亡くなった人々を思い出す楽曲として聴くようになった。
- ミュージックビデオのストーリー
- ミュージックビデオでは、恋人同士が戦争によって引き裂かれる様子が描かれており、イラク戦争に対する批判的なメッセージが込められている。
- ライブパフォーマンスの象徴
- Green Dayのライブでは、観客がこの曲の歌詞を一緒に歌うことが多く、特に感動的な瞬間となることが多い。
7. 結論
「Wake Me Up When September Ends」は、喪失と成長をテーマにした感動的なバラードであり、Green Dayの楽曲の中でも特に多くの人々の心に響く作品である。
この曲は、ビリー・ジョーの個人的な悲しみから生まれたものだが、その普遍的なテーマゆえに、世界中のリスナーにとって特別な意味を持つ楽曲となった。
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