
発売日: 1996年5月6日
ジャンル: オルタナティヴ・ロック、パワー・ポップ、ポスト・グランジ
青春の衝動とギターポップの融合——Ashの名盤デビュー作
1996年にリリースされた1977は、北アイルランド出身のロックバンドAshのメジャーデビューアルバムであり、90年代のUKオルタナティヴ・ロック/ブリットポップシーンを代表する作品のひとつとされている。本作は、エネルギッシュなギターロックとポップなメロディの融合が特徴的で、リリース当時19歳だったフロントマンティム・ウィーラーの瑞々しいソングライティングが光る。
アルバムタイトル1977は、バンドメンバーの誕生年(1977年)と、『スター・ウォーズ』公開年をかけたものであり、SF的な遊び心がバンドのアイデンティティに組み込まれていることを象徴している。シングルカットされた「Girl from Mars」「Goldfinger」「Oh Yeah」はUKチャートでも成功を収め、バンドを一気にブレイクへと導いた。
本作は、グランジの影響を受けたノイジーなギターと、ブリットポップ的なキャッチーなメロディを融合させたサウンドが特徴的で、パワー・ポップ、ポスト・グランジ、ガレージロックの要素が絶妙にミックスされている。
全曲レビュー
1. Lose Control
アルバムの幕開けを飾る、疾走感あふれるナンバー。ノイジーなギターとエネルギッシュなドラムが炸裂し、リスナーを一気にAshの世界へ引き込む。
2. Goldfinger
本作の代表曲のひとつで、パワフルなギターリフと切ないメロディが印象的。ティム・ウィーラーのエモーショナルなボーカルと、キャッチーなサビが特徴的。
3. Girl from Mars
バンドの出世作となったアンセム的な楽曲。軽快なギターと、宇宙的な恋を描いた歌詞が印象的で、ブリットポップシーンの中でも異色の存在感を放つ。青春の瑞々しさが詰まった名曲。
4. I’d Give You Anything
ラフでガレージロック的な要素が強い楽曲。シンプルながらもエネルギッシュな演奏が魅力的。
5. Gone the Dream
メロディアスで少しセンチメンタルなナンバー。リバーブの効いたギターと、ソフトなボーカルが心地よい。
6. Kung Fu
パンク的な勢いのある楽曲で、アルバムの中でも最もアグレッシブなトラック。バンドの若さとエネルギーが詰まったファストナンバー。
7. Oh Yeah
甘酸っぱい青春の恋愛を描いた名曲。美しいギターフレーズとメロディが印象的で、アルバムの中でも特にエモーショナルな楽曲。
8. Let It Flow
ミドルテンポのオルタナティヴ・ロックナンバーで、メロディアスなギターと穏やかな雰囲気が特徴的。
9. Innocent Smile
ガレージロック的なシンプルな楽曲で、勢いのある演奏が魅力。
10. Angel Interceptor
浮遊感のあるギターリフと、ポップなメロディが際立つ楽曲。サビのメロディの美しさが印象的。
11. Darkside Lightside
アルバムのラストを飾る壮大な楽曲。幻想的なギターアレンジが、アルバム全体を締めくくるのにふさわしい余韻を残す。
総評
1977は、Ashが持つ青春の衝動と、キャッチーなメロディのセンスが最大限に発揮された名盤であり、90年代UKロックの中でも特に評価の高い作品である。
グランジとブリットポップの中間に位置するようなサウンドを持ちながら、パワー・ポップの影響も色濃く反映されており、「Goldfinger」「Girl from Mars」「Oh Yeah」といった楽曲は、バンドの代表曲として今なお愛されている。
エネルギッシュなギターサウンドと、瑞々しいメロディが融合した本作は、青春の甘酸っぱさを感じさせるロックアルバムを求めるリスナーに最適な一枚である。
おすすめアルバム
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Ash – Free All Angels(2001)
本作の延長線上にある、よりメロディアスで洗練された作品。 -
Weezer – Blue Album(1994)
パワー・ポップとノイジーなギターが融合した名盤で、1977と共通点が多い。 -
Supergrass – I Should Coco(1995)
ブリットポップとパンクの融合が見事な作品。1977の勢いあるサウンドに近い。 -
Foo Fighters – The Colour and the Shape(1997)
グランジの影響を受けたオルタナティヴ・ロックの名盤で、Ashのサウンドとも共鳴する部分が多い。 -
Oasis – Definitely Maybe(1994)
同時期のUKロックシーンを代表する作品で、Ashの影響を理解するのに最適。
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