Volunteers by Jefferson Airplane（1969）楽曲解説

1. 歌詞の概要

“Volunteers“は、Jefferson Airplane（ジェファーソン・エアプレイン）が1969年にリリースしたアルバム『Volunteers』のタイトル曲であり、60年代後半の反戦運動とカウンターカルチャーを象徴する楽曲です。

この曲のテーマは、反体制運動、若者による社会変革、そして自由への渇望。歌詞の中には、当時の政治的状況への強い反発が込められており、ベトナム戦争やアメリカ政府の政策に対する怒りが表現されています。

特に、タイトルの”Volunteers”（志願兵）は皮肉として使われており、政府が若者たちをベトナム戦争に送り込むことへの批判が込められています。一方で、この言葉は**「自由のための戦士」**として、カウンターカルチャーの一員として立ち上がる若者たちのことも示唆していると解釈できます。

2. 歌詞のバックグラウンド

1969年といえば、アメリカではベトナム戦争が泥沼化し、反戦運動がピークを迎えていた時代でした。特に若者たちは徴兵制度に反発し、大規模なデモやプロテスト・ミュージックが次々と生まれていました。

Jefferson Airplaneは、ヒッピー・ムーブメントとカウンターカルチャーを代表するバンドであり、この楽曲はその精神を強く反映しています。”Volunteers”は、バンドの創設メンバーである**ポール・カントナー（Paul Kantner）とマーティ・バリン（Marty Balin）**によって作詞作曲されました。

この曲は1969年8月に開催された伝説のウッドストック・フェスティバルでも演奏され、まさにその時代の象徴的なアンセムとなりました。

レコーディング参加メンバー

ボーカル／ギター：ポール・カントナー
ボーカル：マーティ・バリン
ギター：ヨーマ・カウコネン
ベース：ジャック・キャサディ
ドラムス：スペンサー・ドライデン
ピアノ：ニッキー・ホプキンス（元The Rolling Stones）

ロックのダイナミズムとフォークのメッセージ性が融合したこの楽曲は、彼らの音楽スタイルを象徴するサウンドの一つと言えます。

3. 歌詞の抜粋と和訳

Lyrics:
“Look what’s happening out in the streets”
和訳：
「見てみろよ、街で何が起こってるか」

Lyrics:
“Got a revolution, got to revolution”
和訳：
「革命が始まった、俺たちの革命だ」

Lyrics:
“Hey now, it’s time for you and me”
和訳：
「さあ、俺たちの出番だ」

Lyrics:
“We are volunteers of America”
和訳：
「俺たちはアメリカの志願兵（ボランティア）だ」

Lyrics:
“This generation got no destination to hold”
和訳：
「この世代には、縛られるべき運命なんてない」

歌詞の中心にあるのは、**「革命」**という言葉です。”Got a revolution, got to revolution“というラインは、単なる反体制的なスローガンではなく、若者たちが自らの手で新しい社会を作るべきだというメッセージとして響きます。

また、”We are volunteers of America“というフレーズは、当時のアメリカ政府が「自由のための戦い」としてベトナム戦争を正当化していたことへの皮肉でもあります。「政府が徴兵制度を通じて戦争に駆り立てるのではなく、俺たちが真の自由のために志願するのだ」というメッセージが込められていると解釈できます。

（※歌詞の引用元: LyricsFreak）

4. 歌詞の考察

“Volunteers”は、1960年代後半のアメリカにおける若者たちの意識の変化を象徴する楽曲です。

この時代、アメリカの若者たちは単なる「反戦」を超えて、自分たちの価値観を再構築し、新しい社会を作ることを求めていました。ベトナム戦争に反対するだけでなく、政府、権威、資本主義の価値観そのものを疑問視し、より自由で平等な社会を目指そうとする動きが強まりました。

「革命」という言葉が象徴するもの
この曲の中で「革命」は単なる暴力的なものではなく、意識の変革や、新しい価値観の創造を指していると考えられます。
社会に対する怒りと希望の融合
“Volunteers”の歌詞には、怒りと希望が同居している。社会の現状に対する怒り（戦争、権威主義、体制批判）と、未来に対する希望（自由、平和、新しい社会の可能性）が交錯している。
音楽としてのパワフルなメッセージ
楽曲のテンポはアップビートで、ギターのカッティングが印象的。単なる抗議ソングではなく、ロックとしてのパワフルなエネルギーを持っている。