Twist of Fate by Olivia Newton-John(1983)楽曲解説

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1. 歌詞の概要

「Twist of Fate(運命のねじれ)」は、オリヴィア・ニュートン=ジョンが1983年にリリースしたシングルであり、映画『Two of a Kind(セカンド・チャンス)』のサウンドトラックからの代表曲として知られている。
楽曲の中心にあるのは、**「思いがけない運命の導き」**によって恋に落ちたふたりの物語。感情ではなく理性が働きすぎる現代にあって、心の奥底から突き上げるような出会いが「偶然のねじれ」によって訪れるという、ロマンチックでシリアスなテーマが描かれている。

タイトルにある「Twist of Fate」は、偶発的で予測不可能な運命のいたずらを意味し、恋愛が「論理」や「計画」とは無関係に訪れるものであることを強調している。
歌詞では、迷いや不安の中で“信じること”を選び取ろうとする感情の揺らぎが、しなやかでパワフルなボーカルにのせて表現されている。

2. 歌詞のバックグラウンド

「Twist of Fate」は、オリヴィア・ニュートン=ジョンとジョン・トラボルタが『グリース』以来5年ぶりに再共演した映画『Two of a Kind』の主題歌として書き下ろされた。
映画そのものはコメディ・ファンタジー色が強く、評価は分かれたが、サウンドトラックは全米で成功を収め、特にこの曲はBillboard Hot 100で最高5位を記録するヒットとなった。

作詞作曲を手がけたのは、当時ヒット曲を量産していたPeter BeckettとSteve Kipnerのコンビであり、プロデュースは長年のパートナーであるJohn Farrarが担当。
シンセベースとドラマチックなストリングス、80年代特有の煌びやかなアレンジが、オリヴィアのエレガントかつ芯の強いボーカルと見事に調和している。

この楽曲は、オリヴィアがそれまでのカントリー~ポップ路線からよりモダンでアーバンなスタイルにシフトしていた時期の象徴的な作品であり、成熟した女性像を確立した1曲として高く評価されている。

3. 歌詞の抜粋と和訳

以下は「Twist of Fate」の印象的な一節。引用元は Genius Lyrics。

Do we deserve a second chance?
私たちはやり直すチャンスに値するの?

How did we fall into this circumstance?
なぜこんな状況に落ちてしまったの?

We weren’t so straight and narrow
私たちは決して真面目な道だけを歩いてきたわけじゃない

This is much more than we deserve
でも、こんな展開は望外のものかもしれない

A twist of fate, a change of heart
運命のねじれ、心の変化

Cure me with your sweet love
あなたの優しい愛で、私を癒して

I’m dreaming of a second start
私は“やり直し”を夢見ている

このように、歌詞には葛藤と希望が交錯し、運命に翻弄されながらも再生を信じようとする人物像が浮かび上がる。

4. 歌詞の考察

「Twist of Fate」は、典型的なラブソングのように聞こえながらも、実は**“愛は理屈ではなく奇跡である”**という普遍的なメッセージを内包している。

登場人物たちは決して「完璧な恋人」ではない。失敗を重ね、過ちも犯してきた。
それでも「運命のひとひねり(Twist of Fate)」が、ふたりを再び引き寄せる。これは、偶然をきっかけに人生を変える“出会い”の奇跡を描いた物語でもある。

歌詞の中でたびたび語られる“second chance(やり直しの機会)”という言葉には、赦しと成長、そして希望が込められている。
それは単に恋人同士の再出発ではなく、“過去の自分との和解”でもあるのだ。

オリヴィアの歌唱は、この複雑な感情の流れを実に巧みに表現している。
静かに始まり、サビで力強く飛翔するその声には、**「信じることの力」**が確かに宿っており、聴き手の心にじんわりと染み込んでくる。

5. この曲が好きな人におすすめの曲

  • Make a Move on Me by Olivia Newton-John
    同じくJohn Farrarプロデュースの80sポップ。自立した女性像を描く軽快な一曲。

  • Heart Attack by Olivia Newton-John
    恋の衝動性と混乱を描いたダンサブルなラブソング。緊張感と切なさが共通する。
  • What a Fool Believes by The Doobie Brothers
    過去の愛への執着と現実のギャップを描いた、洗練されたAORバラード。

  • Waiting for a Star to Fall by Boy Meets Girl
    恋と運命を信じて待ち続ける感情を、美しいサウンドで包んだ名曲。

  • Live to Tell by Madonna
    恋の傷を抱えながらも生きる力を探すバラード。内省的な語りが「Twist of Fate」と響き合う。

6. “運命のひとひねり”がもたらす再生の物語

「Twist of Fate」は、単なる恋愛の歌ではない。
それは、過去に躓いた人間が、もう一度“誰かを信じてみよう”と心を開く、その瞬間を捉えた再生の讃歌なのである。

恋は時に計画通りにはいかない。むしろ、偶然の中でこそ、本当の出会いが生まれる。
そんな“不確かさの中の確かさ”を、この楽曲は静かに、そして力強く歌い上げる。

オリヴィア・ニュートン=ジョンのキャリアの中でも、もっともドラマティックで、大人びた感情を表現した1曲。
それは、聴くたびに心の奥にある希望を照らし出してくれる、人生の節目にこそふと聴きたくなる楽曲なのである。

そして私たちは、こうした曲に出会うたび、気づかされるのだ。
「運命のねじれ」は、実は“心が変わろうとする瞬間”に、必ず起きているのだということに。

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