
発売日: 1998年2月24日
ジャンル: ロック、ポップロック、オルタナティブロック
90年代ポップロックの隠れた名作—Trainの原点を探るデビューアルバム
1998年にリリースされたTrainは、アメリカのロックバンドTrainのセルフタイトル・デビューアルバムであり、彼らのキャリアの出発点となる重要な作品である。本作は、90年代後半のポップロックシーンの中で独自の存在感を放ち、後の「Drops of Jupiter」(2001年)や「Hey, Soul Sister」(2009年)といった大ヒットに繋がるスタイルを確立するきっかけとなった。
シンプルなアコースティックギターを基調としたサウンドと、Pat Monahanのエモーショナルで力強いボーカルが特徴的であり、デビュー作ながらも洗練されたメロディとリリックが際立っている。特にシングル「Meet Virginia」は、米ビルボード・チャートで成功を収め、バンドの知名度を一気に高めるきっかけとなった。
全曲レビュー
1. Meet Virginia
本作の代表曲であり、Trainの名を広めた最初のヒット曲。個性的な女性像を描いた歌詞と、キャッチーなメロディが魅力的。Pat Monahanの感情豊かなボーカルが印象的で、アコースティックロックとオルタナティブのバランスが絶妙な一曲。
2. I Am
スローテンポでブルージーな楽曲。自己探求と内省的な歌詞が特徴で、シンプルなギターリフが心地よい。
3. Fillmore
アップビートでキャッチーなロックナンバー。サンフランシスコのFillmore地区をテーマにしたリリックが、バンドのルーツを感じさせる。
4. Free
グルーヴィーなリズムと力強いボーカルが特徴的な曲。自由を求める気持ちをストレートに表現したロックアンセムであり、ライブ映えするエネルギッシュな楽曲。
5. Blind
エモーショナルなバラードで、失恋の痛みをテーマにした感傷的な歌詞が心に響く。Pat Monahanのソウルフルな歌声が際立つ。
6. Eggplant
ユニークなタイトルと遊び心のあるリリックが印象的な曲。カントリー調のアレンジが施されており、バンドの幅広い音楽性が垣間見える。
7. Idaho
シンプルなアコースティックギターと、リラックスした雰囲気の曲。旅をテーマにしたロードムービーのような歌詞が、開放的な気分にさせる。
8. Days
メロディアスで感動的なバラード。人生の儚さや時間の流れについて歌った、ノスタルジックな雰囲気を持つ楽曲。
9. Rat
グルーヴィーなベースラインと、ブルースロック的なギターが特徴的な楽曲。Trainのオルタナティブロック要素が強く出ているトラック。
10. Swaying
アコースティック主体のスローナンバー。優しいメロディと心地よいリズムが特徴で、リラックスしながら聴ける楽曲。
11. Train
アルバムのタイトルを冠した楽曲で、バンドの自己紹介的な意味合いも持つ。ソウルフルなボーカルと、グルーヴ感のあるリズムが絶妙にマッチしたロックナンバー。
総評
Trainは、デビューアルバムながらも完成度の高い作品であり、Trainが後に世界的なバンドへと成長していく基盤を築いたアルバムである。本作では、アコースティック主体のシンプルなロックサウンドと、エモーショナルな歌詞が組み合わさり、90年代のポップロックの王道を行くスタイルを確立している。
特に「Meet Virginia」は、キャッチーなメロディとストーリー性のある歌詞が見事に融合し、バンドの代表曲のひとつとして今も愛されている。また、「Free」や「Blind」のような楽曲では、彼らの持つエネルギッシュな一面や、感情表現の豊かさが際立っている。
後の作品に比べると、サウンドの幅はやや狭いものの、アコースティックロックとオルタナティブロックの中間を行く絶妙なバランスが、デビュー作としての魅力を引き立てている。
Trainの原点を知りたいリスナーにとって、本作は必聴の一枚であり、シンプルでありながらも心に残るメロディと歌詞が詰まった、90年代ポップロックの隠れた名盤と言える。
おすすめアルバム
- Train – Drops of Jupiter (2001)
- 本作の延長線上にあり、より洗練されたサウンドが特徴。「Drops of Jupiter」が大ヒット。
- Counting Crows – August and Everything After (1993)
- 90年代のアコースティックロックの名盤。Trainの音楽性とも共通点が多い。
- Matchbox Twenty – Yourself or Someone Like You (1996)
- 90年代ポップロックを代表する作品で、本作と同じくストーリーテリングのある楽曲が特徴。
- The Goo Goo Dolls – Dizzy Up the Girl (1998)
- Trainと同じく、オルタナティブロックとアコースティックサウンドを融合させた作品。
- John Mayer – Room for Squares (2001)
- Trainのアコースティックサウンドと親和性が高い、シンガーソングライター的な作品。
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- Trainのアコースティックサウンドと親和性が高い、シンガーソングライター的な作品。
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