This Is How We Party by S.O.A.P.（1998）楽曲解説

楽曲レビュー

2025.06.30

1. 歌詞の概要
2. 歌詞のバックグラウンド
3. 歌詞の抜粋と和訳
4. 歌詞の考察
5. この曲が好きな人におすすめの曲
6. 90年代ユースカルチャーの象徴としての意義

1. 歌詞の概要

1998年にリリースされた「This Is How We Party」は、デンマーク出身の姉妹ポップデュオ、S.O.A.P.（Sisters of Asian Power）によるデビューシングルであり、彼女たちの最もよく知られた代表曲である。この楽曲は、ティーンエイジャーの無邪気で快活なパーティー文化をテーマにしており、親の目を盗んで夜中に友達と集まって騒ぐという、思春期ならではの小さな冒険を描いている。

その明快なビートと陽気なシンセサウンド、キャッチーなフックを持つこの曲は、リスナーにとって“青春の一夜”を凝縮したような、はじけるようなエネルギーを体感させる。歌詞の内容は決して複雑ではないが、だからこそ心を解き放つような純粋な楽しさが詰まっており、1990年代後半のユースカルチャーを象徴する楽曲のひとつと言えるだろう。

2. 歌詞のバックグラウンド

S.O.A.P.は、デンマークの姉妹、HeidiとSaseline Sørensenによって結成されたポップ・デュオで、彼女たちはアジア系のルーツを持ちつつも、ヨーロッパのポップシーンで活躍した異色の存在である。「This Is How We Party」は、彼女たちのデビューアルバム『Not Like Other Girls』に収録され、ヨーロッパ全域からオーストラリア、アメリカまで広くヒットを記録した。

この楽曲は特にオーストラリアで爆発的な人気を博し、トップ10にランクイン。アジア系アーティストがポップチャートで脚光を浴びるという点でも先駆的であり、同時に、欧州のユーロダンスとアメリカのティーンポップの橋渡し的な存在としても注目を集めた。

プロデューサーには、当時のダンスポップに精通したアイスランド出身のプロデューサーRemeeが参加しており、Bubblegum popとユーロダンスの良さを最大限に引き出している。MVでも彼女たちのカジュアルでティーンらしい衣装と、親しみやすい笑顔が印象的で、MTVなどでも頻繁にオンエアされた。

3. 歌詞の抜粋と和訳

We just wanna have some fun
　ただ楽しみたいだけなの

Get rowdy, get crazy
　はしゃいで、思いっきり騒いでさ

This is how we party
　これが私たちのパーティーのやり方よ

Foolin’ around till the sun comes up
　朝日が昇るまでバカ騒ぎしてるの

Let’s keep it goin’ all night
　一晩中このまま続けようよ

We’ll dance like nobody’s watchin’
　誰にも見られてないかのように踊るの

引用元：Genius Lyrics – S.O.A.P. / This Is How We Party

4. 歌詞の考察

この楽曲は「パーティーソング」でありながら、その背景には、ティーンエイジャーが社会や大人の目から自分たちの領域を切り開こうとする“青春の解放感”がある。大人の監視下を逃れ、自己表現の自由を求める心が、夜のパーティーというかたちで具現化されているのだ。

歌詞中の “foolin’ around till the sun comes up（朝日が昇るまでバカ騒ぎ）” や “dance like nobody’s watchin’（誰にも見られていないように踊る）” は、ある種の若者特有の無垢な反抗であり、社会の枠に縛られずに自分たちの“今”を謳歌したいという強い願望が見て取れる。

また、これらのフレーズには、“自由”の感覚があると同時に、“儚さ”も潜んでいる。一晩だけの夢、夜が明ければ現実が待っていると知っているからこそ、彼女たちはその瞬間を全力で楽しもうとしている。そういった意味で、この曲は単なるノリの良いパーティーチューンというだけでなく、青春のきらめきと儚さを音楽に閉じ込めた作品とも言えるだろう。