アルバムレビュー：The Romantics by The Romantics

アルバムレビュー

2025.03.13

発売日: 1980年1月4日
ジャンル: パワーポップ、ニューウェーブ、ロックンロール

エネルギッシュなロックンロールが炸裂するデビュー作
全曲レビュー
総評
おすすめアルバム
- 関連記事:

エネルギッシュなロックンロールが炸裂するデビュー作

1980年にリリースされたThe Romanticsのセルフタイトル・デビューアルバムThe Romanticsは、70年代後半のパワーポップ・ムーブメントの流れを汲みつつ、ロックンロールの原点回帰的なシンプルなサウンドを追求した作品だ。
デトロイト出身の彼らは、パンクのDIY精神と60年代のブリティッシュ・インヴェイジョンの影響を融合させ、キャッチーなメロディとシンプルながらも勢いのあるギターワークを武器に、エネルギッシュな楽曲を展開する。

本作には、彼らの代表曲のひとつである「What I Like About You」が収録されており、後のパワーポップ・クラシックとして語り継がれることとなる。

全曲レビュー

When I Look in Your Eyes
- 明るくエネルギッシュなオープニングナンバー。シンプルなギターリフと軽快なビートが、アルバム全体の方向性を象徴している。
Tell It to Carrie
- パワーポップらしいキャッチーなメロディが特徴の一曲。60年代のブリティッシュ・インヴェイジョンの影響を色濃く感じさせる楽曲。
First in Line
- ストレートなロックンロール。勢いのあるギターとコーラスが楽曲にダイナミズムを与えている。
Keep in Touch
- ややダンサブルな要素を持ち、ニューウェーブ的なアプローチが垣間見える楽曲。リズムセクションが際立っている。
Girl Next Door
- 典型的なパワーポップ・ソングで、青春的な歌詞とキャッチーなメロディが魅力。The Romanticsらしいシンプルな楽曲構成が光る。
What I Like About You
- バンドの代表曲であり、キャリアを象徴する一曲。シンプルな3コードのロックンロールに、手拍子やコーラスを絡めたキャッチーなアレンジが特徴的。後のパワーポップやガレージロックバンドにも影響を与えた。
She’s Got Everything
- The Kinksのカバー。オリジナルのガレージロック的なエネルギーを残しつつ、The Romanticsらしいパワーポップ・アレンジが加わっている。
Till I See You Again
- ミドルテンポのバラード調の楽曲。アルバムの中では落ち着いたトーンを持ち、コントラストを生んでいる。
Hung on You
- ギターリフとドラムがタイトに絡む、疾走感のあるナンバー。アルバムの中でも特にライブ映えしそうな楽曲。
Little White Lies
- スピーディーでパンチの効いた楽曲。ラストを締めくくるにふさわしい、ストレートなロックンロールナンバー。

総評

The Romanticsは、パワーポップの名盤としてだけでなく、シンプルなロックンロールの魅力を再発見させてくれる作品だ。彼らのサウンドは、70年代後半のパンク・ムーブメントの影響を受けつつも、60年代のブリティッシュ・インヴェイジョンのキャッチーな要素を引き継ぎ、分かりやすく親しみやすい形で表現されている。

特に「What I Like About You」は、今なおパーティーや映画のサウンドトラックなどで頻繁に使用されるなど、長く愛されるロックンロール・アンセムとなっている。シンプルで勢いのある楽曲が多く、爽快感のあるサウンドが詰まった本作は、パワーポップファンだけでなく、純粋に楽しいロックンロールを求めるリスナーにとっても魅力的な一枚だ。