発売日: 2004年8月30日
ジャンル: ガレージロック、インディーロック、ポストパンクリバイバル
The Libertinesは、イギリスのガレージロックバンド、ザ・リバティーンズのセルフタイトルでリリースされた2作目のアルバムであり、バンドの創造性と内部崩壊が混ざり合った作品である。前作Up the Bracketの成功に続き、バンドはさらに大きな注目を集めたが、ピーター・ドハーティとカール・バラーの不安定な関係やドハーティの個人的な問題が影響し、バンドの内部は次第に不和を抱えるようになった。その結果、このアルバムには友情と裏切り、愛憎入り交じる複雑な感情が反映されている。プロデューサーには再びミック・ジョーンズ(ザ・クラッシュ)を迎え、前作に比べてより洗練されたサウンドと成熟したリリックが展開されている。
このアルバムには、「Can’t Stand Me Now」や「What Became of the Likely Lads」など、バンドの内面的な葛藤を描いた楽曲が収録されており、彼らのエモーショナルで荒削りなスタイルが全編を通じて感じられる。The Libertinesは、ザ・リバティーンズの才能と壊れやすい絆が詰まったアルバムであり、彼らの最後の輝きを放つ瞬間を捉えた名作として評価されている。
トラックごとの解説
1. Can’t Stand Me Now
アルバムのオープニングを飾るシングル曲で、ドハーティとバラーの不和を描いた内容。ツインボーカルが互いに絡み合い、歌詞には友情と憎しみが交錯する。バンドの代表曲として知られ、彼らの関係を象徴する一曲。
2. Last Post on the Bugle
疾走感のあるギターリフと激しいビートが特徴のナンバー。歌詞には反抗的なテーマが含まれており、バンドのエネルギーが爆発するかのような楽曲。
3. Don’t Be Shy
シンプルで力強いリズムが印象的なトラックで、リバティーンズの粗削りなサウンドが際立つ。パンクの精神を感じさせる直球のメッセージが魅力。
4. The Man Who Would Be King
不穏でダークなトーンが漂う楽曲で、夢と現実の間で揺れ動く感情が描かれている。メロディの中に詩的で幻想的な要素が散りばめられている。
5. Music When the Lights Go Out
メランコリックで静かなバラードで、プラットとバラーの儚い友情が滲むような歌詞が印象的。アコースティックギターの温かみが楽曲に穏やかな雰囲気をもたらしている。
6. Narcissist
エネルギッシュでアップテンポなナンバーで、自己反省や自己愛についての歌詞が特徴。シンプルなギターワークとボーカルが際立つ一曲。
7. The Ha Ha Wall
前向きでアップビートな曲調の楽曲で、荒々しいギターリフと軽快なドラムが印象的。リバティーンズらしい無骨さとキャッチーさが同居している。
8. Arbeit Macht Frei
鋭いリフとダークなリリックが特徴的な一曲で、社会批判が込められている。重いテーマを扱いつつもリズミカルで、リバティーンズの挑戦的な一面が感じられる。
9. Campaign of Hate
攻撃的でストレートなナンバーで、バンドの持つ反抗的なエネルギーが爆発。シンプルな構成ながらも強烈なインパクトを与える。
10. What Katie Did
ポップで親しみやすいメロディが特徴の一曲で、恋愛と感傷がテーマ。リバティーンズの柔らかい一面が見える。
11. Tomblands
パンキッシュでエネルギッシュな楽曲で、鋭いギターとリズムが目立つ。リバティーンズのパンク精神が存分に発揮されたトラック。
12. The Saga
シンプルなギターリフとリズムが特徴の一曲で、バンドの葛藤と感情が歌詞に反映されている。ドハーティとバラーのボーカルが感情的に響く。
13. Road to Ruin
キャッチーでありながらも切ない曲調で、失望や葛藤が込められた歌詞が印象的。バンドの壊れやすい関係が暗示されている。
14. What Became of the Likely Lads
アルバムのラストを飾るエモーショナルなトラックで、バンドの友情と喪失を振り返る内容。切なさと希望が混ざり合う歌詞がリバティーンズらしい余韻を残す。
アルバム総評
The Libertinesは、ザ・リバティーンズの音楽的成熟と、内面的な葛藤が融合したアルバムであり、バンドの最もエモーショナルな瞬間を捉えた作品である。ドハーティとバラーの不安定な関係が音楽に反映され、友情と裏切り、希望と絶望が交錯する。前作Up the Bracketの粗削りなエネルギーに加え、本作ではより深い感情と洗練されたサウンドが展開されている。The Libertinesは、ザ・リバティーンズの象徴的な作品であり、UKロックの歴史に残る名盤として評価されている。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
Is This It by The Strokes
ザ・ストロークスのデビュー作で、リバティーンズと同じくガレージロックの荒削りなエネルギーが感じられる。
Silent Alarm by Bloc Party
感情的で鋭いサウンドが特徴の一枚。リバティーンズのエモーショナルなリリックやエネルギーを愛するリスナーにおすすめ。
Anthems for Doomed Youth by The Libertines
バンドの再結成後のアルバムで、過去の傷と成長が表現された作品。セルフタイトルに共鳴する部分が多い。
Whatever People Say I Am, That’s What I’m Not by Arctic Monkeys
アークティック・モンキーズのデビュー作で、若者の不安や反抗が歌われている。リバティーンズの共感と反抗が好きな人におすすめ。
The Clash by The Clash
リバティーンズに多大な影響を与えたクラッシュのデビューアルバム。パンクのエネルギーと社会批判が詰まっている。
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