アルバムレビュー:The Eternal by Sonic Youth

※本記事は生成AIを活用して作成されています。

発売日:2009年6月9日

ジャンル:オルタナティヴ・ロック、ノイズ・ロック、インディー・ロック、アート・ロック、ポストパンク

概要

Sonic YouthのThe Eternalは、2009年に発表された16作目のスタジオ・アルバムであり、結果的にバンド最後のスタジオ・アルバムとなった作品である。1980年代のニューヨーク・アンダーグラウンドから登場したSonic Youthは、ノーウェイヴ以後の実験精神、変則チューニング、フィードバック、ノイズ、ポストパンク、現代美術的な感覚をロック・バンドの形式へ持ち込み、アメリカン・インディー/オルタナティヴ・ロックのあり方を大きく変えた。EVOL、Sister、Daydream Nation、Goo、Dirty、Washing Machine、Murray Streetなどを通じて、彼らは地下性とメジャー性、即興性とポップ性、ノイズとメロディの間を行き来してきた。

The Eternalは、長年在籍したGeffenを離れ、Matador Recordsから発表された作品である。このレーベル移籍は、音楽的にも象徴的な意味を持つ。Sonic Youthは1990年代以降、メジャー・レーベルに所属しながらアンダーグラウンド精神を保ち続けたバンドだったが、本作では再びインディー・レーベルへ戻ることで、より自然体で、比較的ストレートなバンド・サウンドを鳴らしている。メジャー期後半の作品に見られた実験的な長尺展開や音響的な深みを残しつつも、全体としてはコンパクトで、ロック・アルバムとしての推進力が強い。

この時期のSonic Youthには、ベーシストとしてMark Iboldが正式に加わっている。Pavementで知られるIboldの加入により、Kim Gordonがベースだけでなくギターやヴォーカルにより自由に関われるようになり、バンドのギター・アンサンブルはさらに厚みを増した。Thurston Moore、Lee Ranaldo、Kim Gordonのギターが交差し、Mark Iboldのベースが低音を支え、Steve Shelleyのドラムが全体をタイトにまとめる。この5人編成のバンドとしての充実感が、本作の大きな特徴である。

音楽的には、The EternalはSonic Youthの複数の時代を横断するような作品である。初期のノイズ・ロック的な鋭さ、Daydream Nation期のギターの絡み合い、1990年代メジャー期のオルタナティヴ・ロックとしての力強さ、2000年代作品に見られる広がりのある音響が、一枚の中に比較的分かりやすい形で整理されている。アルバム全体は非常にエネルギッシュで、キャリア後期のバンドとは思えないほど前のめりな瞬間が多い。

しかし、本作は単なる原点回帰ではない。Sonic Youthが長年培ってきたノイズの扱い、コードの濁り、ギターの持続音、ポップなメロディの中に不協和音を忍ばせる方法は、ここでも非常に成熟している。若いバンドのように衝動だけで突き進むのではなく、長年の経験を持つバンドが、自分たちの語法を再びロックの形へ凝縮している。そのため、本作には勢いと同時に余裕もある。

歌詞面では、現代文化への皮肉、アートやカウンターカルチャーへの参照、身体性、ジェンダー、暴力、神秘主義、都市、死、反体制的な人物へのオマージュが散りばめられている。Sonic Youthの歌詞は常に、明確な物語よりも断片的なイメージや文化的参照によって構成されることが多いが、本作でもその姿勢は変わらない。タイトルのThe Eternalは、「永遠なるもの」を意味し、バンドの歴史、地下文化の持続、ロックの反復性、死後にも残る音や記憶を連想させる。

特に本作は、Sonic Youthが過去を総括するような湿った回顧に陥っていない点が重要である。結果的にはラスト・アルバムとなったが、制作時点では別れの作品として構想されたわけではない。そのため、終末感よりも、バンドがまだ現在形で鳴っている感覚が強い。最後の作品でありながら、遺言のような静けさではなく、むしろ再始動のような活力を持っている。そこに、本作の独特な位置づけがある。

全曲レビュー

1. Sacred Trickster

アルバム冒頭の「Sacred Trickster」は、The Eternalの勢いを象徴するオープニング曲である。タイトルは「聖なるトリックスター」を意味し、神話や民俗学における境界を撹乱する存在を連想させる。トリックスターは、秩序を壊し、権威をからかい、聖と俗を混ぜ合わせる存在であり、Sonic Youthというバンドの姿勢にもよく重なる。

音楽的には、短く鋭いノイズ・ロックであり、Kim Gordonのヴォーカルが前面に出る。ギターは荒く、ドラムはタイトで、曲は一気に駆け抜ける。キャリア後期のアルバムの冒頭としては驚くほど攻撃的で、バンドがまだ十分に鋭い牙を持っていることを示している。

歌詞では、アート、身体、挑発、女性的な反抗性が入り混じる。Kim Gordonの声は、説明するのではなく、挑発する。彼女はSonic Youthにおいて常に、ロックの男性中心的な言語をずらし、冷やかし、時に破壊する存在だった。この曲でも、聖なるものと猥雑なものが同時に響く。

「Sacred Trickster」は、アルバム全体の宣言として非常に効果的である。Sonic Youthはここで、過去を穏やかに振り返るのではなく、まだ秩序をかき乱す存在として登場する。聖なるトリックスターというタイトルは、バンド自身への自己紹介のようにも聞こえる。

2. Anti-Orgasm

「Anti-Orgasm」は、タイトルからして非常にSonic Youthらしい挑発性を持つ楽曲である。オーガズム、快楽、身体的解放を否定するような言葉は、性的なイメージを扱いながら、それを単純な快楽主義へ還元しない姿勢を示している。Sonic Youthは長年、性、身体、ジェンダー、メディアにおける欲望の表象を批評的に扱ってきたが、この曲もその延長線上にある。

音楽的には、重いギター・リフと反復する構成が特徴で、バンド全体のグルーヴが強い。曲は単純に爆発するのではなく、じわじわと圧力を高める。Thurston MooreとKim Gordonのヴォーカルが絡み合い、男女の声が対立しながら同じ空間に存在する。これはSonic Youth特有の緊張感である。

歌詞のテーマは、身体の政治性として読める。オーガズムは快楽の頂点として語られがちだが、それもまた文化的・商業的に管理されたイメージになりうる。Anti-Orgasmという言葉は、快楽そのものの否定ではなく、商品化され、期待され、演出された快楽への拒否として響く。

この曲は、アルバム序盤に重い身体性を与える。Sonic Youthのロックは、単に身体を解放する音楽ではない。身体がどのように見られ、欲望され、管理され、抵抗するかを、ノイズと反復の中で考える音楽でもある。

3. Leaky Lifeboat (for Gregory Corso)

「Leaky Lifeboat (for Gregory Corso)」は、タイトルにBeat Generationの詩人Gregory Corsoへの献辞を含む楽曲である。Sonic Youthは文学、現代詩、アンダーグラウンド・カルチャーとの関係が深いバンドであり、この曲はその文化的系譜を明確に示している。Leaky Lifeboat、つまり「水漏れする救命ボート」というイメージは、救済の不完全さ、沈みかけた避難場所を象徴する。

音楽的には、比較的メロディアスで、疾走感のあるギター・ロックとして進む。だが、ギターの響きにはいつものように濁りと揺れがあり、単純な爽快感にはならない。Thurston Mooreの歌唱は軽やかだが、背後には沈みかけるボートのような不安がある。

歌詞のテーマは、詩的な逃走と救済の失敗として読める。Beat詩人たちは、制度や規範から逃れようとした存在だった。しかし、その逃走の乗り物である救命ボートは水漏れしている。つまり、カウンターカルチャーの夢や詩的自由も、完全な救済にはならない。Sonic Youthはその不完全さを知りながら、なおその系譜に連なる。

「Leaky Lifeboat」は、本作の中でSonic Youthの文化的記憶を担う曲である。ロック、詩、アンダーグラウンドの歴史が、軽快なギター・ソングの中に圧縮されている。

4. Antenna

「Antenna」は、本作の中でも比較的開放的で、メロディアスな楽曲である。タイトルのアンテナは、受信、感応、信号、見えない波を捉える装置を意味する。Sonic Youthの音楽そのものも、都市やノイズや文化の微細な信号を拾うアンテナのように機能してきた。この曲は、その感覚を非常に美しく表現している。

音楽的には、ギターの絡み合いが非常に印象的である。ノイズはあるが、攻撃的というより、空間を広げるために使われている。Thurston Mooreのヴォーカルは比較的穏やかで、曲全体に風通しの良さがある。後期Sonic Youthの成熟したギター・アンサンブルがよく表れた曲である。

歌詞では、見えない信号を受け取ること、遠くにあるものとつながることがテーマになっているように響く。アンテナは、自分の内側ではなく外部からの波を拾う。これは音楽を聴くこと、他者とつながること、時代の気配を感じ取ることの比喩としても読める。

「Antenna」は、The Eternalの中でも特に美しい瞬間である。Sonic Youthのノイズは、ここでは破壊のためではなく、通信のために鳴っている。歪んだギターが、見えない電波のように空間を満たす。

5. What We Know

「What We Know」は、Lee Ranaldoがリード・ヴォーカルを取る楽曲であり、本作の中でもタイトなロック色が強い一曲である。Lee Ranaldoの楽曲は、Sonic Youthのアルバムにおいてしばしば独特の詩的な硬質さを持つが、この曲もその例に漏れない。タイトルは「私たちが知っていること」を意味し、知識、記憶、経験、共有された認識をテーマにしている。

音楽的には、ギター・リフが力強く、バンド全体がしっかりと前へ進む。Ranaldoの声は、Thurston Mooreの夢遊的な歌唱やKim Gordonの挑発的な歌唱とは異なり、どこか語り部のような硬さを持つ。曲は短めで、集中度が高い。

歌詞では、何を知っているのか、何を共有しているのかが問われる。長いキャリアを持つバンドにとって、「知っていること」は単なる情報ではない。音の出し方、ノイズの扱い、互いの呼吸、文化の記憶。それらすべてが蓄積された知識である。しかし、知っていることがすべてを救うわけではない。

「What We Know」は、Sonic Youthが経験豊かなバンドであることを示す曲である。若い衝動だけではなく、長年の実践から生まれた確信がある。だが、その確信は閉じたものではなく、なお問いとして鳴っている。

6. Calming the Snake

「Calming the Snake」は、タイトル通り「蛇を鎮める」ことを意味する楽曲であり、Kim Gordonのヴォーカルが強烈な存在感を放つ。蛇は、誘惑、危険、知恵、性、変身を象徴する古典的なモチーフである。その蛇を鎮めるという行為は、内側にある衝動や毒を制御しようとすることとして読める。

音楽的には、非常に不穏で、低くうねるようなギターが印象的である。曲は荒々しく、Kim Gordonの声は呪術的ですらある。Sonic Youthの中でも彼女が担ってきた、身体性、儀式性、反商業的な冷たさが強く表れている。

歌詞のテーマは、欲望や毒との対峙である。蛇は外部の敵であると同時に、自分の中にいるものでもある。鎮めることは殺すことではない。つまり、危険な力を完全に排除するのではなく、その力と共存し、コントロールしようとする姿勢がある。これはSonic Youthのノイズの扱いにも似ている。ノイズを消すのではなく、鳴らしながら制御する。

「Calming the Snake」は、本作の中でも特に原始的で儀式的な曲である。バンド後期の作品でありながら、初期のノーウェイヴ的な危険さを思い出させる。

7. Poison Arrow

「Poison Arrow」は、毒矢を意味するタイトルを持つ楽曲であり、Sonic Youthらしい鋭さとポップ性が同居している。毒矢は、遠くから放たれ、身体に刺さり、時間をかけて作用する。これは言葉、欲望、音楽、記憶の比喩としても機能する。

音楽的には、比較的明快なギター・ロックとして聴けるが、コードの響きやギターの絡みは独特である。Sonic Youthのポップな側面が出ている一方で、どこか不穏な毒が残る。Thurston Mooreの歌唱は淡々としており、毒の作用を冷静に見ているように響く。

歌詞では、誰かの言葉や行為が毒矢のように刺さる感覚が描かれる。ロックの歌詞において傷つける言葉や恋愛の痛みはよくあるテーマだが、Sonic Youthはそれを過剰に感傷的には扱わない。むしろ、毒がどのように身体や意識へ入り込むかを、抽象的に表現する。

「Poison Arrow」は、本作の中で比較的聴きやすい曲でありながら、Sonic Youth特有の棘を持っている。甘いメロディの中に毒がある。そのバランスが魅力である。

8. Malibu Gas Station

「Malibu Gas Station」は、Kim Gordonがヴォーカルを取る楽曲であり、セレブリティ文化、消費、女性イメージ、ロサンゼルス的な表層を扱うSonic Youthらしい曲である。マリブのガソリンスタンドという場所は、日常的でありながら、ハリウッド的なイメージ、車社会、パパラッチ、消費文化と結びつく。

音楽的には、ゆったりとしたグルーヴと不穏なギターが組み合わされ、曲全体に煙るような空気がある。Kim Gordonの声は、冷たく観察するようでありながら、どこか疲れている。彼女のヴォーカルは、対象を批評するだけでなく、その対象に巻き込まれる感覚も持っている。

歌詞では、女性セレブリティ、メディアの視線、車、商品化された身体が断片的に現れる。ガソリンスタンドは一時的な停止の場所であり、燃料を補給する場所である。だが、ここではそれが消費文化の舞台になる。女性の身体やイメージもまた、メディアによって消費される燃料のように扱われる。

「Malibu Gas Station」は、Kim Gordonが長年扱ってきたテーマの集大成的な一曲である。セレブリティを批判するだけでなく、その輝きと空虚さを同時に音にしている。

9. Thunderclap for Bobby Pyn

「Thunderclap for Bobby Pyn」は、Bobby Pyn、すなわちDarby Crashの初期名に捧げられたようなタイトルを持つ楽曲である。Darby Crashはロサンゼルスのパンク・バンドThe Germsのフロントマンであり、短く激しい生涯を送った人物である。Sonic Youthはここで、パンクの亡霊、地下文化の伝説、自己破壊的なカリスマへ目を向けている。

音楽的には、比較的疾走感があり、パンク的な勢いを持つ。だが、Sonic Youthらしく、単純なパンク・リヴァイヴァルではなく、ギターの揺れや不協和音が加わることで、より複雑な響きになっている。曲は短くエネルギッシュで、タイトルにある雷鳴のような一撃感がある。

歌詞のテーマは、パンクの記憶と死である。Darby Crashのような存在は、カウンターカルチャーの中で神話化される。しかし、その神話の背後には若すぎる死と自己破壊がある。Sonic Youthは、その人物を単純に美化するのではなく、音の一撃として記憶する。

「Thunderclap for Bobby Pyn」は、本作の中でパンクへの直接的な接続を示す曲である。Sonic Youthはニューヨークのアート・ロック的文脈に属しながら、アメリカ西海岸のパンク神話とも深くつながっている。その記憶がここで鳴っている。

10. No Way

「No Way」は、タイトル通り拒絶の言葉を掲げる楽曲である。非常にシンプルなタイトルだが、Sonic Youthにとって「No」と言うことは重要な態度である。権威、商業性、ロックの定型、ジェンダー規範、文化的な安定に対して、彼らは常に何らかの形で否定を突きつけてきた。

音楽的には、直線的で力強いロック曲である。ギターは鋭く、ドラムはタイトで、曲はコンパクトにまとまっている。複雑な構成よりも、拒絶のエネルギーが前に出ている。後期のバンドでありながら、このような短く強い曲を自然に鳴らせる点に、Sonic Youthの持続力がある。

歌詞のテーマは、拒否と限界である。「No way」という言葉は、単なる否定ではなく、これ以上は進まない、そこには従わないという境界線の表明でもある。Sonic Youthの音楽では、ノイズが境界を壊す一方で、こうした拒絶の言葉が新しい境界を作る。

「No Way」は、アルバム後半の中でストレートなエネルギーを与える曲である。複雑な文化的参照よりも、ロック・バンドとしての即効性が前面にある。

11. Walkin Blue

「Walkin Blue」は、Lee Ranaldoがリードを取る楽曲であり、アルバム終盤に落ち着いた陰影を与える。タイトルにはブルースの伝統が感じられるが、ここでのブルースは古典的な12小節形式というより、歩き続けること、移動しながら抱える憂鬱として響く。

音楽的には、比較的ゆったりとしたテンポで、ギターの広がりが美しい。Lee Ranaldoの歌唱は、語りと歌の中間にあり、詩的な雰囲気を持つ。Sonic Youthの中でRanaldoの楽曲は、しばしば都市の記憶や移動感を持つが、この曲にもその感覚がある。

歌詞では、歩くこと、青い気分、時間の流れが重なる。歩き続けることは、逃避ではなく、状態としての移動である。立ち止まることができず、しかし明確な目的地もない。そのような現代的な漂流感がある。

「Walkin Blue」は、The Eternalの中で成熟した詩情を持つ曲である。バンドの攻撃性だけでなく、長い時間を歩いてきた者の静かな感覚が表れている。終盤にふさわしい深みを持つ。

12. Massage the History

アルバム最後を飾る「Massage the History」は、7分を超える長尺曲であり、The Eternalの終曲として非常に重要である。タイトルは「歴史をマッサージする」と訳せるが、これは歴史を癒やす、揉みほぐす、あるいは都合よく操作するという複数の意味を持つ。Sonic Youthのように長い歴史を持つバンドが最後にこのタイトルを置くことは、非常に象徴的である。

音楽的には、静かな導入から徐々にギターの層が広がり、後期Sonic Youthらしい長い音響空間が形成される。Kim Gordonのヴォーカルは、力強く叫ぶのではなく、どこか儚く、回想的に響く。ギターはノイズを伴いながらも、荒々しい破壊ではなく、時間の残響のように鳴る。

歌詞のテーマは、歴史、記憶、身体、親密さ、過去との関係である。歴史は固定されたものではなく、触れられ、揉みほぐされ、時に歪められる。バンドの歴史、個人の歴史、文化の歴史。すべてがこの曲の中で曖昧に重なっていく。

終曲として「Massage the History」は非常に感慨深い。結果的にSonic Youth最後のスタジオ・アルバムの最後の曲となったため、後から聴くとバンドの歴史そのものに触れているように感じられる。しかし、曲は明確な別れを告げるわけではない。ただ、長い時間を鳴らし、その残響を空間に残す。Sonic Youthらしい、開かれた終わり方である。

総評

The Eternalは、Sonic Youthのラスト・アルバムとして聴くと非常に興味深い作品である。一般的な意味での「最後のアルバム」にありがちな、過度に感傷的な回顧や、静かな幕引きのムードはほとんどない。むしろ、本作にはバンドが再びインディー・ロックの現在へ戻り、自分たちの音をコンパクトかつ力強く鳴らしている感覚がある。結果的な終章でありながら、音楽そのものは非常に生き生きとしている。

本作の魅力は、Sonic Youthの語法が非常に整理された形で提示されている点にある。変則チューニングによるギターの濁り、ノイズとメロディの共存、Kim Gordonの挑発的なヴォーカル、Thurston Mooreの夢遊的な歌、Lee Ranaldoの詩的な硬質さ、Steve Shelleyの的確なドラム、Mark Iboldの安定した低音。それらが過剰に散らばらず、アルバム全体を通じて比較的明快に響いている。

特に5人編成の効果は大きい。Mark Iboldの加入によって低音が安定し、Kim Gordonがより自由にギターと声でアルバムの質感を作れるようになった。これにより、ギター・アンサンブルは厚みを増し、バンド全体の音は後期作品としてはかなり力強いものになっている。Sonic Youthは常にギターのバンドだったが、本作ではそのギターが若々しい攻撃性と成熟した構築性を同時に持っている。

歌詞面では、Sonic Youthらしい文化的参照が豊富である。Gregory Corso、Bobby Pyn、セレブリティ文化、身体、蛇、毒矢、歴史。これらのモチーフは、バンドが長年接続してきたアンダーグラウンド文化、詩、パンク、フェミニズム、アート、都市的な視線を反映している。The Eternalというタイトルは、単に永遠性をロマンティックに語るものではない。むしろ、地下文化の記憶やノイズの精神が、形を変えながら残り続けることを示している。

一方で、本作はSonic Youthの最も革新的な作品ではない。Daydream Nationのような歴史的な衝撃、EVOLやSisterのような不穏な実験性、GooやDirtyのような時代との鋭い接続、Murray Streetのような深い音響的広がりと比べると、The Eternalは比較的分かりやすく、過去の要素を再統合した作品といえる。その意味では、バンドの新しい地平を切り開いたアルバムというより、長年の美学を後期のバンド・サウンドとして再び活性化したアルバムである。

しかし、その再活性化の力は大きい。キャリア30年近いバンドが、ここまで瑞々しいノイズ・ロックを鳴らしていること自体が重要である。「Sacred Trickster」や「Anti-Orgasm」には鋭さがあり、「Antenna」には美しさがあり、「Malibu Gas Station」にはKim Gordonらしい文化批評があり、「Massage the History」には長い時間の残響がある。アルバム全体として、Sonic Youthの代表的な魅力が広く含まれている。

本作をラスト・アルバムとして考えると、「Massage the History」という終曲は非常に象徴的である。Sonic Youthは自分たちの歴史を大きな記念碑として固定するのではなく、揉みほぐし、揺らし、ノイズの中に溶かして終わる。これは彼ららしい終わり方である。明確な結論や感動的な別れではなく、ギターの残響が続き、歴史がまだ動いているように感じられる。

日本のリスナーにとってThe Eternalは、Sonic Youth後期への入口として非常に聴きやすい作品である。初期の過激なノイズや、長尺の実験作に比べると、曲は比較的コンパクトで、バンドのロックとしての力が分かりやすい。一方で、歌詞や文化的参照、ギターの構造にはSonic Youthらしい奥行きが十分にある。初めて聴く場合にも、後期の成熟したバンド像をつかみやすいアルバムである。

総合的に見て、The EternalはSonic Youthの最後のスタジオ・アルバムとして、非常に力強く、誇り高い作品である。終わりを意識した静かな遺言ではなく、まだノイズを鳴らし、まだ文化を撹乱し、まだギターの可能性を探るバンドの姿がここにある。永遠とは、変わらず残ることではない。鳴らされた音が形を変えながら残響し続けることである。The Eternalは、その残響を確かに刻んだアルバムである。

おすすめアルバム

1. Sonic Youth – Daydream Nation(1988年)

Sonic Youthの代表作であり、アメリカン・インディー・ロック史に残る重要アルバムである。長尺のギター・アンサンブル、変則チューニング、都市的な詩情、ノイズとメロディの融合が高い完成度で結実している。The Eternalのギターの絡み合いの原点を知るために必聴である。

2. Sonic Youth – Murray Street(2002年)

2000年代Sonic Youthの中でも特に評価の高い作品であり、長く広がるギター・サウンドと柔らかなメロディが特徴である。The Eternalの後期バンドとしての成熟を理解するうえで重要な前史となる。

3. Sonic Youth – Rather Ripped(2006年)

The Eternalの前作であり、比較的コンパクトでメロディアスなSonic Youthを味わえる作品である。ノイズの過激さを抑え、楽曲としての明快さを前面に出したアルバムで、本作への流れを理解しやすい。

4. Sonic Youth – Goo(1990年)

メジャー移籍第一作であり、Sonic Youthのノイズ・ロックとポップ性が広く開かれた形で結びついた作品である。Kim Gordonの存在感、文化的参照、オルタナティヴ・ロックとしての強度を理解するうえで重要である。

5. Pavement – Crooked Rain, Crooked Rain(1994年)

Mark Iboldが在籍したPavementの代表作であり、脱力したインディー・ロック、皮肉な歌詞、メロディアスなギター・サウンドが特徴である。The Eternalに参加したIboldの背景を知るうえでも関連性があり、1990年代アメリカン・インディーの別の側面を理解できる。

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