インタビュアー: テイラースウィフトの音楽は、カントリーからポップ、フォークまで幅広いジャンルを網羅していて、彼女の進化には様々な音楽的影響が感じられますよね。今日は、テイラーに影響を与えた音楽やアーティストについて、それぞれの視点からお話を伺いたいと思います。まずは、マーカス、ヒップホップやR&Bシーンに詳しいあなたからお願いします。
Embed from Getty Imagesマーカス・スティール:
テイラーのキャリアの初期はカントリーミュージックだったけど、近年のアルバム、特に『1989』からはポップスの要素が非常に強くなった。彼女の音楽に直接ヒップホップやR&Bの影響が出ているわけではないけど、やっぱり現代のポップ音楽にはヒップホップのビートやリズムがどこかしら取り入れられている。それに、彼女がよくコラボしているアーティストたちも影響力が大きいね。例えば、ドレイクとか、彼らのリズムやプロダクションが、ポップミュージック全体に与えた影響は無視できない。
それに、彼女が少し大胆な姿勢を取り始めたのもヒップホップの影響だと思う。アルバム『Reputation』では、ビートが重めで、リリックももっと挑発的になったし、ビジュアルもどこかカニエ・ウェスト的なアプローチが感じられる部分がある。テイラーの音楽性には、間接的にそういったヒップホップアーティストたちの「強さ」を反映しているところがあると思うね。
ソフィー・ベネット:
そうね、マーカスが言うように、ポップシーン全体がヒップホップの影響を受けているのは間違いないけど、テイラーが最も影響を受けたのは、やはりポップミュージックの先駆者たちだと思うわ。例えば、彼女が公然と尊敬しているシャナイア・トゥエインやフェイス・ヒルのようなカントリー系ポップアーティスト。テイラーがデビューした当初、彼女は明らかにこの二人から影響を受けていて、カントリーポップの旋律やストーリーテリングのスタイルが彼女のサウンドに反映されているの。
でも、特に『1989』でのポップ転向を考えると、やはりマドンナやアニー・レノックスのような80年代のアイコンたちが大きな影響を与えていると思うわ。アルバム全体がシンセポップやニューウェーブの要素を取り入れていて、「Style」や「Out of the Woods」なんかはまさに80年代を思わせるトラックよ。特にアニー・レノックスは、パワフルで感情的な女性アーティストとして、テイラーが目指しているところに近い存在だと思う。
アレックス・グリーンフィールド:
その通りだね。テイラーのシンセポップ転向は、本当に80年代のニューウェーブやポップに影響を受けてる。特に『1989』のアルバム全体に漂うその冷たいシンセサウンドは、完全にデペッシュ・モードやペット・ショップ・ボーイズの影響を感じさせるよ。
でも、テイラーが持っているもう一つの重要な要素は、彼女のストーリーテリングの技術だ。これはカントリーミュージックから強く影響を受けているんだけど、もう一つの重要なインスピレーションとしては、ジョニ・ミッチェルみたいなフォーク系シンガーソングライターだと思うんだ。テイラーは「All Too Well」や「The Last Great American Dynasty」など、かなり複雑で細やかなストーリーテリングをするけど、その技術は確実にジョニ・ミッチェルから受け継がれていると思う。特に彼女のアルバム『folklore』と『evermore』は、フォークやインディーロックに大きく傾倒していて、ボン・イヴェールやザ・ナショナルといったアーティストとのコラボレーションが、彼女の音楽にさらに深みを与えている。
ナオミ・フェルナンデス:
そうね、テイラーの『folklore』と『evermore』の時期には、インディーフォークやエレクトロニカの影響もかなり感じられるわ。彼女はここで一気にミニマルなアプローチにシフトしたけど、その背後には間違いなくボン・イヴェールやアーロン・デスナー(ザ・ナショナル)の存在が大きい。特にデスナーとのコラボは、彼女の音楽の質感に新しい風を吹き込んでいるわ。彼はザ・ナショナルでやってきたような、深いリリックやシンセサウンドをテイラーに提供しているし、それが彼女の新しい方向性に繋がっている。
また、もう少し抽象的だけど、イモージェン・ヒープのようなエレクトロニカアーティストの影響も、テイラーの音楽には見られるわ。彼女は以前、イモージェンと一緒に「Clean」を制作していて、そのトラックのクリアでシンプルなサウンドは、エレクトロニカやインディーポップのエッセンスが混ざり合ってるの。テイラーのこうしたアーティスティックな進化は、音楽テクノロジーや新しいサウンドデザインにも対応しているところが面白いわよね。
デイビッド・リチャードソン:
確かに、テイラーが最近取り入れているインディーフォークの要素は彼女の成熟を示しているね。でも忘れちゃいけないのは、彼女の音楽には常にポップのメロディーラインが根底にあるってことさ。テイラーが一貫して影響を受けてきたのは、やっぱり彼女が育ったカントリーの伝統なんだ。彼女がキャリア初期に尊敬していたダイアナ・クラールや、ドリー・パートンのようなカントリーのレジェンドたちの影響が、彼女のストーリーテリングとメロディ作りに生き続けていると思う。
そして、テイラーが時代ごとに様々なジャンルを取り入れつつも、常にメロディーの美しさを保っているところは、どこかザ・ビートルズ的な進化を感じるんだよね。彼女もまた、時代や音楽シーンの変化に柔軟に対応しながら、自分のアイデンティティを守ってきたわけだから。
インタビュアー: なるほど、皆さんの視点で見ても、テイラー・スウィフトの音楽性は多くのアーティストやジャンルから影響を受け、進化してきたことがよく分かります。彼女の幅広い音楽性とその背景にあるインスピレーションは、今後もさらに新しい方向性を見せてくれるのかもしれませんね。
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