
発売日: 2017年7月7日(EP)
ジャンル: オルタナティヴ・ロック、ポップ・ロック
新たな音楽的挑戦と進化——The All-American Rejectsの最新形
2017年にリリースされたSweatは、The All-American Rejectsにとって5年ぶりの新作であり、2012年のアルバムKids in the Street以降、バンドがどのように進化したのかを示す重要なEPとなった。本作では、ポップ・パンクの枠を完全に超え、ファンク、ポップ・ロック、エレクトロの要素を取り入れた斬新なサウンドが展開されている。
特に、リードトラック「Sweat」は、ダンサブルなグルーヴとファンキーなギターリフが際立ち、従来のオルタナティヴ・ロックとは異なる新境地を切り開いている。一方で「Close Your Eyes」は、壮大で感傷的なメロディを持ち、バンドのエモーショナルな側面を強調している。
本作は、バンドの方向性を示すものとして発表されたが、フルアルバムには繋がらず、以降のバンドの活動は不透明となった。しかし、音楽的に成熟した新たなアプローチを示した点で、バンドのキャリアの中でも特異な位置を占めるEPとなっている。
全曲レビュー
1. Sweat
本作のタイトルトラックであり、バンドの新しいサウンドを象徴する楽曲。ファンキーなベースラインとダンサブルなリズムが特徴的で、これまでのThe All-American Rejectsとは大きく異なるアプローチが取られている。歌詞は、ナイトライフや自己解放をテーマにしており、グルーヴィーな雰囲気が漂う。
2. Close Your Eyes
エモーショナルでシネマティックなバラード。静かに始まり、徐々に壮大なクライマックスへと展開する楽曲で、タイソン・リッターの感情的なヴォーカルが際立つ。恋愛や別れ、内省をテーマにした歌詞が、バンドの持つメロディアスな魅力を最大限に引き出している。
総評
Sweatは、The All-American Rejectsが従来のポップ・パンクやパワー・ポップのスタイルを脱却し、新たな音楽的方向性を模索した作品である。本作では、ファンクやエレクトロの要素を取り入れた「Sweat」と、壮大で感情的な「Close Your Eyes」という対照的な2曲が収録されており、バンドの多様な音楽性を示すEPとなっている。
ただし、本作はフルアルバムに繋がらなかったため、バンドの今後の方向性が曖昧になったことも事実である。しかし、楽曲のクオリティ自体は高く、特に「Sweat」はバンドのキャリアの中でもユニークな楽曲として位置付けられる。
ファンにとっては、バンドの新たな側面を楽しめる貴重な作品であり、今後の展開を期待させるEPであった。
おすすめアルバム
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The All-American Rejects – Kids in the Street(2012)
ポップ・パンクからオルタナティヴ・ロックへと進化した前作で、本作の実験的な要素に繋がる作品。 -
Maroon 5 – Overexposed(2012)
ファンキーなポップ・ロックの要素が共通し、「Sweat」の雰囲気に近い楽曲が多い。 -
Panic! At The Disco – Death of a Bachelor(2016)
ジャズやエレクトロを融合させたオルタナティヴ・ポップロックで、「Sweat」のグルーヴ感に共鳴する要素がある。 -
Foster the People – Supermodel(2014)
インディー・ロックとエレクトロ・ポップの融合が、本作のサウンドに近い。 -
Walk the Moon – Talking Is Hard(2014)
シンセを多用したダンサブルなロックが特徴で、「Sweat」のスタイルと共通する要素を持つ。
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