1. 歌詞の概要
「Step On」は、イギリスのマッドチェスター(Madchester)シーンを代表するバンドHappy Mondaysが1990年にリリースした楽曲で、アルバム『Pills ‘n’ Thrills and Bellyaches』に収録されています。この曲は、実はオリジナル楽曲ではなく、1971年にリリースされたジョン・コンゴス(John Kongos)の「He’s Gonna Step On You Again」のカバーです。しかし、Happy Mondaysのバージョンは、90年代初頭のレイブ文化とダンス・ロックの融合を象徴するアイコニックな楽曲となりました。
歌詞の内容は、権力や支配的な存在に対する皮肉や反抗のメッセージを持つと解釈されることが多く、Happy Mondays流の脱力したユーモアも含まれています。「He’s gonna step on you again(また君を踏みつけるだろう)」というラインは、抑圧的な存在や社会の構造への挑戦を示唆しているとも言えます。
2. 歌詞のバックグラウンド
Happy Mondaysは、1980年代後半から1990年代初頭にかけて、マッドチェスター・ムーブメントを牽引したバンドのひとつであり、彼らの音楽は、アシッド・ハウス、ファンク、ロックを融合させたサイケデリックなサウンドが特徴です。「Step On」は、バンドの代表曲のひとつであり、特にフロントマンの**ショーン・ライダー(Shaun Ryder)**のカリスマ的なパフォーマンスが際立つ楽曲です。
このカバーは、Happy Mondaysのサウンドに合うように大胆にアレンジされており、ジョン・コンゴスのオリジナルよりもダンサブルで、グルーヴ感が強い仕上がりになっています。また、ギタリストの**マーシャル・ジェファーソン(Marshall Jefferson)**がプロデュースに関与し、当時のアシッド・ハウスの要素も取り入れられました。
この曲は、リリース当時にイギリスのシングルチャートでトップ5入りを果たし、Happy Mondaysを国際的に知らしめるきっかけとなりました。今でも、90年代ダンス・ロックを象徴するクラシックとして、多くのファンに愛されています。
3. 歌詞の抜粋と和訳
以下に「Step On」の歌詞の一部を抜粋し、日本語訳を添えます。
原文:
You’re twistin’ my melon, man
You know you talk so hip, man
You’re twistin’ my melon, man
和訳:
お前は俺のメロン(頭)をねじ曲げてるぜ
ほんとに気取った話し方をするな
お前は俺のメロンをねじ曲げてる
原文:
Hey rainmaker, come away from that man
You know he’s gonna take away your promised land
和訳:
おい 雨を降らせる奴よ そいつから離れろ
奴はお前の約束の地を奪うつもりだからな
原文:
He’s gonna step on you again
He’s gonna step on you again
He’s gonna step on you again
He’s gonna step on you
和訳:
奴はまたお前を踏みつけるだろう
奴はまたお前を踏みつけるだろう
奴はまたお前を踏みつけるだろう
奴はお前を踏みつける
歌詞の完全版は こちら で確認できます。
4. 歌詞の考察
「Step On」の歌詞は、直接的なストーリーを語るものではなく、象徴的なフレーズが散りばめられた抽象的な構成になっています。特に、「You’re twistin’ my melon, man(お前は俺のメロンをねじ曲げてるぜ)」というラインは、Happy Mondaysの象徴的なフレーズとして知られており、**「頭を混乱させる」「イライラさせる」**というスラング的な意味を持っています。
また、「Hey rainmaker, come away from that man(おい、雨を降らせる奴よ、そいつから離れろ)」というフレーズは、「rainmaker(雨を降らせる人)」が何らかの成功者やリーダー的存在を指しており、誰かがその人物を利用しようとしているというメッセージを含んでいる可能性があります。
タイトルの「Step On(踏みつける)」は、権力や支配的な存在に対する反抗の象徴とも取れるため、この曲は単なるダンス・ロックソングではなく、社会的なメッセージを含んでいるとも解釈できます。
一方で、Happy Mondaysの歌詞はしばしば意味を明確にしないスタイルを取るため、聴く人によってさまざまな解釈が可能です。ショーン・ライダーの特徴的なボーカルと、脱力感のあるユーモアが、この曲を単なる抗議歌ではなく、ダンスフロアで楽しめるアンセム的な楽曲に仕立て上げています。
5. この曲が好きな人におすすめの曲
- “Fool’s Gold” by The Stone Roses
マッドチェスター・ムーブメントを代表するバンドの一曲で、ファンクとロックの融合が特徴。 - “Loaded” by Primal Scream
アシッド・ハウスとロックの要素を取り入れた、Happy Mondaysと同じ時代を象徴するアンセム。 - “I Wanna Be Adored” by The Stone Roses
マッドチェスターの代表的な楽曲で、幻想的なサウンドとミニマルな歌詞が魅力。 - “Unbelievable” by EMF
Happy Mondaysのファンク・ロック的な要素を受け継いだ90年代のヒット曲。
6. 「Step On」の影響と評価
「Step On」は、Happy Mondaysのキャリアにおいて最も商業的に成功した楽曲であり、イギリスのシングルチャートで5位を記録しました。これは、バンドにとって最大のヒットであり、マッドチェスター・ムーブメントを象徴する楽曲のひとつとして広く認識されています。
この曲は、90年代初頭のダンス・ロックの流れを決定づけた楽曲のひとつとしても評価されており、現在でもクラブやフェスティバルで頻繁にプレイされる定番曲となっています。また、Happy Mondaysのライブでは欠かせない楽曲であり、ショーン・ライダーのカリスマ的なパフォーマンスと共に観客を熱狂させる一曲となっています。
「Step On」は、マッドチェスターの象徴的な楽曲であり、ダンス・ロックの進化に大きな影響を与えた名曲である。今なお、多くのリスナーに愛される90年代のクラシックである。
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