Some Might Say by Oasis(1995)楽曲解説

 

1. 歌詞の概要

「Some Might Say」は、Oasisにとって初の全英チャート1位を獲得した楽曲であり、彼らのセカンド・アルバム『(What’s the Story) Morning Glory?』のリードシングルとして1995年にリリースされた。

この曲の中心にあるのは、「世の中は見方次第」というテーマだ。ある人はこう言うかもしれないし、また別の人は違うことを言うかもしれない。その不確かさの中でも、自分なりの道を歩もうとする姿勢が、力強くそして爽快なサウンドに乗せて表現されている。

歌詞には日常の些細な出来事や矛盾したイメージがちりばめられ、それらが織りなすのは、リアルでありながらもどこか幻想的な風景である。人生における苦しさや滑稽さ、そしてそれでも前に進もうとする意志が、比喩や語呂合わせを交えたユニークな言語感覚で描かれているのだ。

2. 歌詞のバックグラウンド

「Some Might Say」は、Oasisの音楽性の中でも特に初期のブルース・ロックやハード・ロックからの影響が強く表れた楽曲である。ノエル・ギャラガーのリフは明快であり、リアム・ギャラガーのボーカルはここでもエッジの効いた存在感を放っている。

またこの曲は、ドラマーのトニー・マッキャロルが在籍していた最後のレコーディング作品でもある。トニーはこのシングルのリリース後に脱退し、以後バンドはアラン・ホワイトを迎え入れることになる。

歌詞についてノエルは、「この曲は貧しさから立ち上がろうとする人々の物語でもある」と語っており、イギリスの労働者階級出身である自分たちの視点を投影したものだと明かしている。

3. 歌詞の抜粋と和訳

以下は「Some Might Say」の中でも印象的なパートである。引用元は Genius Lyrics。

Some might say that sunshine follows thunder
人によっては、「雷の後には太陽が差す」と言うかもしれない

Go and tell it to the man who cannot shine
でもそんなことを、輝くことのできない男に言ってみろよ

Some might say that we should never ponder
「深く考えるべきじゃない」なんて言う人もいる

On our thoughts today ‘cause they hold sway over time
「今日の思考なんて、時間の流れには関係ない」ってさ

Some might say we will find a brighter day
でも僕らは、もっと明るい日々を見つけられると信じているんだ

こうしたリリックは、希望と皮肉が交差するOasis特有の世界観を体現している。

4. 歌詞の考察

この曲の最大の魅力は、「Some might say」という曖昧で相対的な表現を繰り返すことで、絶対的な真理をあえて否定している点にある。

人生の出来事には様々な解釈があり、どんなに困難な状況でも、それを「輝きの前触れ」と見ることができるかもしれないし、ただの不幸と受け取ることもできる。Oasisはこの曖昧さを肯定することで、聴き手に「自分自身の見方を大切にせよ」と語りかけているようだ。

また、「Go and tell it to the man who cannot shine」という皮肉には、単なる励ましが時に無意味であることへの現実的な目線も含まれている。これはOasisの特徴でもある、“理想と現実の狭間を泳ぐ言葉”の典型例である。

ノエルの歌詞はしばしば難解で象徴的だが、この曲では日常のイメージ——歯ブラシ、風呂の中の水、凍ったロープなど——を用いることで、より身近で視覚的な印象を与えている。それによって、哲学的ともいえるテーマが、よりロックンロール的な感覚で聴き手に届くのだ。

5. この曲が好きな人におすすめの曲

  • Roll With It by Oasis
    同じく『Morning Glory』収録のロックンロール・アンセム。自分のやり方を貫けというメッセージが響く。
  • Live Forever by Oasis
    「Some Might Say」と同様、希望と反骨精神が混ざり合った初期の代表曲。
  • Step Into My World by Hurricane #1
    ブリットポップ後期のバンドによる壮大な一曲で、Oasisに通じるサウンドとスピリットを持つ。
  • The Changingman by Paul Weller
    Oasisにも多大な影響を与えた“モッド・ファーザー”による一曲。変化と自己探求をテーマにした歌詞が印象的。
  • Alright by Supergrass
    若者の奔放な自由さとエネルギーを描いた代表曲で、Oasisとは異なる角度から“同時代の息吹”を感じさせる。

6. 「見方次第」で世界は変わる——Oasis的哲学の象徴

「Some Might Say」は、Oasisが単なるロックバンドではなく、一種の“思想”を内包した存在であることを示した楽曲でもある。

当時のイギリス社会は階級格差や経済的停滞といった問題を抱えており、若者たちは未来に対して不安と不満を抱えていた。そんな中でOasisは、「自分の道を信じろ」「他人の価値観に流されるな」といったメッセージを、歯切れの良いギターとリフレインを通じて届けた。

そしてこの曲は、彼らの初のNo.1ヒットとして、ブリットポップの勢いが本格化する転換点となった。

不確かで、矛盾に満ちていて、それでも前を向いていく。そんなOasisの本質が、「Some Might Say」には凝縮されている。人生の真理は一つではない。だからこそ、誰かが言う「真実」ではなく、自分自身の言葉と視点で未来を描け——そのメッセージは、時代を越えて響き続ける力を持っているのだ。

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