アルバムレビュー:Smokin’ by Humble Pie

※本記事は生成AIを活用して作成されています。

Spotifyジャケット画像

発売日: 1972年3月**
ジャンル: ハードロック、ブルースロック、ブギーロック、スワンプ・ロック


煙の向こうに見えたのは、ロックの“業火”だった——ピーター・フランプトン脱退後、最も“焼け付いた”傑作

『Smokin’』は、Humble Pieが1972年に発表した通算5作目のスタジオ・アルバムであり、
前作『Performance: Rockin’ the Fillmore』で火がついた人気を、本格的なスタジオ音源で証明した代表作である。
また、ピーター・フランプトン脱退後初のアルバムであり、後任に鍵盤奏者のデイヴ・”クレム”・クレムソン(ex-Colosseum)を迎えて制作された。

タイトル通り、音は“スモーキー”で“ヘヴィ”、まさに煙を上げながら燃え盛るようなロックンロールの塊
スティーヴ・マリオットの咆哮と、スワンプロック調のざらついたアンサンブルが絡み合い、
ブルース、ゴスペル、R&B、ファンクなど、あらゆるブラック・ルーツをロックの言語で翻訳したような音像が展開される。

アルバムは全米6位のヒットを記録し、Humble Pie最大の成功作となった。


全曲レビュー

1. Hot ‘n’ Nasty

タイトル通り、“熱くて下品な”開幕チューン。
グルーヴィなキーボードと分厚いリフに乗せて、マリオットのがなるようなシャウトが炸裂する
ファンクとハードロックが出会った瞬間のような、爆発的なエネルギー。

2. The Fixer

ダークでヘヴィなミッドテンポ。
まるでザ・フーレーナード・スキナードを混ぜたような、英国と南部のハイブリッド感がある。
歌詞はやや謎めいており、マリオットの“問題解決屋”としての自己投影も?

3. You’re So Good for Me

意外なまでにメロディアスなスローバラード。
マリオットの柔らかい面が出たソウルフルで優しい一曲で、アルバムの緩急をつける存在。

4. C’mon Everybody

エディ・コクランのクラシックを、重戦車のようなリフで再構築したロックンロール・カバー
原曲の軽快さはほぼ消え、ブギーの極北ともいえるヘヴィ・グルーヴへと変貌している。

5. Old Time Feelin’

アコースティック・ギターを基調としたサザン・ゴスペル調のナンバー
泥臭くも温かいハーモニーが、Humble Pieの“ルーツへの敬意”を感じさせる。


6. 30 Days in the Hole

本作のハイライトにして、Humble Pie最大のアンセム
マリオットが“ドラッグで30日刑務所送りになった男の物語”をユーモアと皮肉で描く。
重たいリフ、粘りつくヴォーカル、コール&レスポンスの絶妙さ——
この曲を聴かずしてHumble Pieは語れない。

7. Road Runner

ホーンが躍動する、モータウン×ブギーロック的アレンジの異色作
レイ・チャールズやオーティス・レディングへの愛情が垣間見える。

8. I Wonder

ブルース・スタンダードのカバー。
マリオットがギターとヴォーカルで、“悲しみ”を美しく引き裂くようなスロー・ナンバー。

9. Sweet Peace and Time

エンディングにふさわしい、ハードで壮大なロック・バラード
“平和と時間をくれ”というタイトルが、このアルバム全体の荒々しさと切実さを象徴しているようでもある。


総評

『Smokin’』は、Humble Pieが真の意味で“自分たちのロック”を確立したアルバムである。
ピーター・フランプトンの華麗なギターが抜けたことによって、
音はより“肉厚”に、より“黒く”、より“火照った”ものになった。
そしてそこにあるのは、スティーヴ・マリオットという稀代のボーカリストの、魂の叫びと笑いと涙だ。

この作品が70年代のアメリカでヒットしたという事実は、
英国バンドがアメリカ南部のブルースやゴスペルを自らの声で鳴らすことに成功した瞬間を意味している。

Humble Pieは、ここで完全に“スモーキン”なバンドとなった。
もう煙の中からは、誰も彼らを止めることはできない。


おすすめアルバム

  • Faces – A Nod Is as Good as a Wink…
     泥酔ロックンロールの名作。マリオット的なヴォーカルの魅力を感じたいならこちら。
  • Lynyrd SkynyrdSecond Helping
     南部ロックとブルースの融合。『Smokin’』のアメリカ的感覚と響き合う。
  • Free – Fire and Water
     “間”と“魂”で聴かせる英国ブルースロック。マリオットとポール・ロジャースの比較も面白い。
  • ZZ TopTres Hombres
     テキサス産スワンプ・ブギーの極北。グルーヴとユーモアに共通点あり。
  • Joe Cocker – Mad Dogs & Englishmen
     ゴスペル、ソウル、R&Bをロック化した大編成バンドによる祝祭的名盤。マリオットの精神的同胞。

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