発売日: 1966年5月11日
ジャンル: ブリティッシュロック / リズム＆ブルース / モッズロック
イギリスのロックバンドSmall Facesのセルフタイトルデビューアルバム『Small Faces』は、1960年代半ばのブリティッシュロックとモッズムーブメントを象徴する作品である。バンドのエネルギッシュな演奏とSteve Marriottの力強いボーカルが特徴で、リズム＆ブルースの影響が色濃いロックサウンドが展開されている。このアルバムは、後にサイケデリックロックに進化する前の、彼らの初期の荒削りなロックンロールのエッセンスを詰め込んだ一枚であり、当時の若者文化に強く結びついた情熱的なサウンドが特徴だ。
各曲ごとの解説:
1. Shake
アルバムは、エネルギッシュな「Shake」で幕を開ける。Sam Cookeのカバー曲で、アップテンポのリズム＆ブルースサウンドが炸裂し、Marriottのソウルフルなボーカルが際立つ一曲だ。バンドのモッズらしい勢いと活気に満ちたオープニングトラックである。
2. Come On Children
「Come On Children」は、力強いギターリフとドラムが絡み合うロックナンバー。Marriottのシャウト気味のボーカルが熱く、リズムセクションもタイトにまとめられている。若者のエネルギーと反抗的なスピリットが感じられる一曲だ。
3. You Better Believe It
「You Better Believe It」は、ブルースの要素を色濃く感じさせるトラック。テンポの速いリズムとグルーヴィーなベースラインが特徴で、ギターソロも鮮やかに響き渡る。全体的に勢いのあるサウンドが特徴的で、バンドの演奏力の高さが伺える。
4. It’s Too Late
「It’s Too Late」は、スローでソウルフルなバラード。Marriottの感情豊かなボーカルが際立ち、メロディアスなギターが楽曲を引き立てている。初期のSmall Facesのロマンチックな一面が垣間見える、哀愁漂う曲だ。
5. One Night Stand
「One Night Stand」は、リズム＆ブルースに根ざした軽快なナンバー。アップテンポでリズミカルなギターリフとドラムが駆け抜ける、シンプルでありながらキャッチーな楽曲だ。バンドの若々しいエネルギーが感じられる。
6. What’cha Gonna Do About It
バンドのデビューシングルであり、彼らの代表曲の一つ「What’cha Gonna Do About It」。強烈なギターリフとソウルフルなボーカルが絶妙に絡み合い、攻撃的で力強いサウンドが展開される。モッズロックのアンセムとして愛される曲だ。
7. Sorry She’s Mine
「Sorry She’s Mine」は、スローなテンポのラブソングで、Marriottの感情的なボーカルが際立つ一曲。メロディアスなギターとベースが美しく絡み合い、彼らのロマンチックな一面を引き出している。シンプルなアレンジながら、感情のこもった演奏が魅力だ。
8. Own Up Time
「Own Up Time」は、インストゥルメンタルトラックで、バンドの演奏技術が前面に押し出された曲。アップテンポのビートと、ギターやオルガンが生み出すキャッチーなフレーズが印象的で、短いながらもスリリングなサウンドが楽しめる。
9. You Need Loving
「You Need Loving」は、ブルース色の強い曲で、後にLed Zeppelinが「Whole Lotta Love」でこの曲をインスパイアしたことでも知られる。Marriottの力強いボーカルと、グルーヴィーなギターリフが特徴的で、バンドのソウルフルな側面が光るトラックだ。
10. Don’t Stop What You’re Doing
「Don’t Stop What You’re Doing」は、軽快なロックンロールナンバー。シンプルな構成ながら、リズムが力強く、バンドの一体感が感じられる。ダンサブルなビートとキャッチーなメロディが心地よい一曲だ。
11. E Too D
「E Too D」は、ブルースやR&Bの影響が強いインストゥルメンタルトラック。バンドの演奏が際立ち、ギター、ドラム、ベースが一体となって生み出すグルーヴが素晴らしい。ジャムセッションのような雰囲気があり、ライブでの盛り上がりが期待できる。
12. Sha-La-La-La-Lee
アルバムの最後を飾る「Sha-La-La-La-Lee」は、キャッチーで明るいポップソング。サビのコーラスが印象的で、当時のヒットチャートを賑わせた一曲。バンドのポップで軽快な一面を示しており、楽しく終わるアルバムの締めくくりにふさわしいトラックだ。
アルバム総評:
Small Facesのデビューアルバム『Small Faces』は、1960年代のモッズムーブメントのエネルギーとリズム＆ブルースの影響を強く感じさせる作品であり、バンドの荒削りな魅力が詰まった一枚だ。Steve Marriottの力強いボーカルとバンドのタイトな演奏が特徴で、後にサイケデリックロックへと進化する前の、バンドのルーツが色濃く反映された音楽が楽しめる。特に「What’cha Gonna Do About It」や「Sha-La-La-La-Lee」など、キャッチーでエネルギッシュな楽曲が揃っており、ブリティッシュロックの黎明期を象徴する名作として評価されている。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚:
- My Generation by The Who
同じくモッズムーブメントを象徴するアルバム。エネルギッシュなロックサウンドと反抗的な歌詞が、Small Facesのサウンドと共鳴する。 - The Kinks by The Kinks
リズム＆ブルースとロックンロールの融合が特徴のデビューアルバム。Small Facesのファンには、The Kinksのシンプルで力強いロックサウンドが響くだろう。 - Out of Our Heads by The Rolling Stones
R&Bとロックンロールを融合させた作品で、Small Facesの初期のブルース的な要素が好きな人に最適。 - Ogden’s Nut Gone Flake by Small Faces
Small Facesのサイケデリック期の傑作で、より実験的でカラフルなサウンドが特徴。彼らの音楽の進化を感じられるアルバムだ。 - Face to Face by The Kinks
ブリティッシュロックの代表的なアルバムで、キャッチーなメロディとリリカルな歌詞が特徴。Small Facesのポップな一面が好きなリスナーにおすすめ。
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