発売日: 1983年11月21日
ジャンル: ニューウェーブ、シンセポップ
アルバム全体の印象
『Seven and the Ragged Tiger』は、Duran Duranの3枚目のスタジオアルバムであり、バンドが世界的なスーパースターへと成長したピークの時期にリリースされた作品だ。本作では、華やかでエネルギッシュなサウンドがさらに進化し、エキゾチックでファンタジックな要素が加わっている。
アルバム制作時には、成功のプレッシャーや創作上の試行錯誤があったものの、結果として「The Reflex」や「Union of the Snake」といったヒット曲を生み出した。特に「The Reflex」は、バンド初の全米チャート1位を獲得し、MTVの全盛期において彼らの人気を決定づけた。
音楽的には、シンセサウンドとギターのバランスが絶妙で、リズムセクションの躍動感が際立つ。歌詞は幻想的で抽象的なテーマを扱っており、バンドの個性が色濃く反映されている。『Seven and the Ragged Tiger』は、Duran Duranの商業的成功と音楽的野心を象徴する作品であり、80年代ポップカルチャーの重要な一章を飾るアルバムだ。
トラックごとの解説
1. The Reflex
アルバムを代表するヒット曲で、リミックスバージョンは全米1位を獲得。複雑なリズムとシンセサウンドが絡み合い、躍動感あふれるダンサブルなトラック。歌詞の意味は抽象的だが、エネルギッシュな演奏が印象的。
2. New Moon on Monday
ポップでメロディアスな楽曲で、切なくも前向きな雰囲気が漂う。キャッチーなサビとシンセの美しいフレーズが際立つ一曲で、シングルとしても成功を収めた。
3. (I’m Looking For) Cracks in the Pavement
アップテンポでエキゾチックな雰囲気を持つトラック。現代社会の不安や自己探求をテーマにした歌詞が、幻想的なサウンドと調和している。
4. I Take the Dice
軽快なリズムとポップなメロディが特徴のトラック。ギターとシンセが絶妙に絡み合い、人生のリスクや偶然性をテーマにした歌詞が込められている。
5. Of Crime and Passion
力強いギターリフが印象的な楽曲で、リズムセクションのエネルギーが際立つ。歌詞には誘惑や欲望がテーマとして描かれており、スリリングな展開が楽しめる。
6. Union of the Snake
アルバムのリードシングルで、ダークでミステリアスな雰囲気を持つトラック。独特なメロディラインと躍動感のあるリズムが融合し、バンドのクリエイティブな一面を示している。
7. Shadows on Your Side
ギターとシンセがリードする疾走感のある楽曲。歌詞には、光と影、内面的な葛藤がテーマとして描かれている。サビの盛り上がりが爽快感を与える一曲。
8. Tiger Tiger
インストゥルメンタルトラックで、アルバム全体に漂うエキゾチックな雰囲気を象徴している。控えめなシンセサウンドとメロディが、幻想的でリラックスしたムードを作り出す。
9. The Seventh Stranger
アルバムを締めくくるエモーショナルなバラード。Mark Le Bonのボーカルが楽曲の中心となり、幻想的な歌詞と繊細なアレンジがアルバム全体を感動的にまとめ上げている。
アルバム総評
『Seven and the Ragged Tiger』は、Duran Duranが商業的成功を極める中で制作されたアルバムであり、彼らの個性とスタイルが全開となった作品だ。華やかでポップなサウンドと、抽象的で幻想的なテーマが融合し、バンドの多面的な音楽性が楽しめる。
特に「The Reflex」や「New Moon on Monday」、「Union of the Snake」は、バンドの代表曲として今なお愛されており、MTV時代の象徴的な楽曲として記憶されている。エキゾチックなサウンドスケープとエネルギッシュな演奏がアルバム全体を通じて一貫しており、Duran Duranのキャリアの中でも特に輝かしい一枚だ。
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