アルバムレビュー：Reload by Metallica

アルバムレビュー

2024.12.08

発売日: 1997年11月18日
ジャンル: ハードロック、オルタナティブロック

Metallicaの7作目となる『Reload』は、前作『Load』と密接に関連する作品であり、同時期に作曲・レコーディングされた楽曲を収録した続編的なアルバムである。このアルバムでは、Metallicaのスラッシュメタルのルーツからさらに遠ざかり、ハードロックやオルタナティブロックに傾倒したサウンドが展開されている。

プロデューサーには再びボブ・ロックを迎え、『Load』と同様に洗練されたプロダクションが施されている。ブルース、サザンロック、オルタナティブロックの要素が強調される一方で、キャッチーなメロディやヘヴィなリフを持つ楽曲も収録されており、Metallicaの幅広い音楽性を堪能できる一枚となっている。歌詞には、人間の内面や社会的テーマが描かれ、バンドの成熟した視点が反映されている。

『Reload』は、『Load』の流れを受け継ぎながらも独立した魅力を持つアルバムであり、Metallicaがスラッシュメタル以外の音楽ジャンルに果敢に挑戦した証でもある。

1. Fuel

アルバムの幕開けを飾るエネルギッシュな楽曲で、「Give me fuel, give me fire!」という冒頭の叫びが象徴的。スピード感あふれるリフとヘットフィールドの力強いボーカルが、アルバム全体の活力を示す。

2. The Memory Remains

マリアンヌ・フェイスフルをゲストに迎えた異色の楽曲で、彼女の印象的なコーラスが楽曲に独特の雰囲気を与えている。スターの栄光と没落をテーマにした歌詞が、キャッチーなメロディと相まって心に残る。

3. Devil’s Dance

スローテンポのヘヴィなリフが特徴的な曲で、ダークな雰囲気が全体を支配している。誘惑や堕落をテーマにした歌詞が、Metallicaの陰鬱な一面を描き出す。

4. The Unforgiven II

名曲「The Unforgiven」の続編として制作されたバラード。前作のテーマを引き継ぎながらも、よりメロディアスでドラマチックな構成が特徴。ギターソロが特に美しく、感情的な深みを持つ。

5. Better than You

アップテンポで力強いリフを持つ楽曲で、競争心や自己陶酔をテーマにしている。グラミー賞を受賞した曲でもあり、キャッチーな構成が特徴。

6. Slither

ブルージーでグルーヴ感のある楽曲で、リズミカルなギターリフが耳に残る。歌詞には警告や誘惑といったテーマが含まれている。

7. Carpe Diem Baby

「今を生きる」というテーマを持つ楽曲で、ヘヴィなリフとキャッチーなメロディが特徴的。タイトル通り、力強くポジティブなメッセージを放つ。

8. Bad Seed

グルーヴ感のあるリフとブルースの影響が色濃い楽曲。リズムセクションが特に印象的で、全体に軽快な雰囲気が漂う。

9. Where the Wild Things Are

ダークで幻想的な楽曲で、子供時代の無邪気さと現実の厳しさの対比が描かれている。複雑な構成と独特の雰囲気が、アルバムの中でも異彩を放つ。

10. Prince Charming

力強いギターリフとヘットフィールドのボーカルが際立つ曲で、自己中心的なキャラクターをテーマにしている。楽曲全体に力強さとユーモアが感じられる。

11. Low Man’s Lyric

アコースティックギターとハーディ・ガーディがフィーチャーされたバラードで、物悲しさと温かみが共存する楽曲。歌詞には社会の片隅で生きる人々への共感が込められている。

12. Attitude

エネルギッシュでパンチの効いた楽曲で、自信や挑戦をテーマにしている。短くもインパクトのある一曲。

13. Fixxxer

アルバムを締めくくる壮大な楽曲で、内面的な葛藤や修復をテーマにしている。スローで重厚なリフと、エモーショナルなボーカルが聴き手を引き込む。

アルバム総評

『Reload』は、Metallicaがさらなる音楽的進化を追求した作品であり、ハードロックやオルタナティブロックの要素を豊富に取り入れている。『Load』の流れを受け継ぎつつも、より実験的で多様性のある楽曲群が揃っている点が特徴だ。スラッシュメタルの時代から離れたことで賛否両論を呼んだものの、バンドの幅広い音楽性を示す重要なアルバムと言える。