発売日: 2014年11月17日
ジャンル: サイケデリックポップ、アートポップ、ローファイ
pom pomは、Ariel Pinkの10作目にしてソロ名義で初のフルレングスアルバムで、彼の音楽キャリアの中でも最もカラフルで多様性に満ちた作品である。このアルバムでは、サイケデリックポップ、ニューウェーブ、グラムロック、シンセポップといった幅広い音楽スタイルが融合し、Ariel Pinkの奇妙でユーモアに満ちた音楽世界が広がっている。ローファイな質感を持ちながらも、ポップでキャッチーなメロディが随所に散りばめられており、彼の音楽的な実験精神が詰め込まれたユニークな作品となっている。Ariel Pinkらしい奇抜な歌詞と、どこか懐かしくも未来的なサウンドが印象的なアルバムだ。
各曲ごとの解説:
- Plastic Raincoats in the Pig Parade
アルバムの冒頭を飾るこの曲は、カラフルで不思議な雰囲気に満ちている。キッチュなサウンドと、子供の遊びをテーマにした歌詞が、Ariel Pinkのポップセンスとシュールなユーモアを引き立てる。ファンタジーのような楽しい一曲で、アルバム全体の奇妙なトーンを設定している。 - White Freckles
シンセサウンドと疾走感のあるビートが印象的なトラック。ボーカルはリズミカルで、歌詞は奇抜かつ意味深なイメージを散りばめている。グラムロックとニューウェーブが融合したようなエネルギッシュな曲で、ポップでありながらもエッジの効いたサウンドが魅力的。 - Four Shadows
ダークでミステリアスな雰囲気が漂う曲で、シンセの不気味なリフが強調されている。ボーカルは囁くようで、ゴシック的な要素を感じさせる。サウンド全体がシリアスかつ幻想的なトーンで統一され、アルバムの中でも異色の存在だ。 - Lipstick
Ariel Pinkらしいサイケデリックなサウンドと、ニューウェーブ的なシンセサウンドが融合したトラック。甘美なメロディとノスタルジックな雰囲気が漂い、歌詞には恋愛にまつわるテーマが描かれている。シンプルな構成ながらも、エモーショナルで耳に残る一曲。 - Not Enough Violence
冷たいシンセリフとダークな雰囲気が特徴のトラック。ニューウェーブとシンセポップの要素が強く、Ariel Pinkのボーカルが緊張感のあるリズムに乗って展開する。エネルギッシュでありながらも、どこか退廃的なムードが漂う。 - Put Your Number in My Phone
アルバムの中で最もポップでキャッチーな曲の一つ。シンプルなメロディとリズムに、電話番号を交換するというユーモラスな歌詞が乗せられた、リラックスしたムードのトラック。Ariel Pinkの柔らかいボーカルが心地よく響き、楽曲全体のノスタルジックな雰囲気を引き立てている。 - One Summer Night
甘く切ないバラードで、50年代のドゥーワップの要素が取り入れられている。レトロなサウンドと、シンプルなアレンジが印象的で、Ariel Pinkの多彩な音楽性が感じられるトラック。ノスタルジックなメロディとシンプルなギターが美しく調和している。 - Goth Bomb
激しいビートと歪んだギターサウンドが炸裂する、パンクとノイズが融合した一曲。エネルギッシュでアグレッシブなサウンドが、Ariel Pinkの実験的な音楽性を際立たせる。パンクの要素が色濃く出た、異彩を放つトラックだ。 - Dinosaurs Carebears
ファンタジックでシュールな曲名が示す通り、子供のような無邪気さと幻想的なサウンドが組み合わさっている。奇妙な歌詞と変則的なリズムが、サイケデリックでありながらも遊び心のある雰囲気を作り出している。 - Negativ Ed
ニューウェーブ的なリズムとポップなメロディが共存するこの曲は、Ariel Pinkのひねりの効いた歌詞とユニークなサウンドデザインが特徴。シンセサウンドが前面に出ており、ポップながらもどこか不穏なムードが漂う。 - Sexual Athletics
ファンキーなリズムとシンセサウンドが絡み合った楽曲で、タイトル通り、官能的なテーマが歌詞に含まれている。ディスコやファンクの要素を感じさせるサウンドでありながら、奇抜な要素も強く、Ariel Pinkらしいトラック。 - Jell-O
短く軽快なインストゥルメンタルで、リズムとメロディがシンプルに展開される。遊び心のあるサウンドが、次のトラックへのブリッジとして機能している。 - Black Ballerina
ディスコ調のビートに、エレクトロポップとファンクの要素が加わったダンサブルなトラック。Ariel Pinkのボーカルがリズミカルに展開され、ユーモラスな歌詞が楽曲に独特のスパイスを加えている。ダンサブルでありながらも実験的な一曲。 - Picture Me Gone
アルバムの中でも特にエモーショナルなトラック。歌詞には、デジタル時代の人間関係や喪失感がテーマとなっており、シンプルなギターとメロディが心に深く響く。感傷的なトーンとAriel Pinkの繊細なボーカルが印象的な一曲だ。 - Exile on Frog Street
サイケデリックで夢幻的なサウンドスケープが広がるインストゥルメンタル。エフェクトがかかったシンセサウンドが、宇宙的な広がりを感じさせ、アルバムのクライマックスに向けた準備をするかのような役割を果たしている。 - Dayzed Inn Daydreams
アルバムを締めくくるエモーショナルなトラック。シンプルなギターリフとシンセサウンドが重なり、Ariel Pinkのボーカルが内省的な感情を表現している。夢の中にいるような浮遊感と、どこか寂しさを感じさせるトーンがアルバムを美しく締めくくっている。
アルバム総評:
pom pomは、Ariel Pinkの音楽的多様性と奇抜なセンスが炸裂した作品であり、ポップなメロディと実験的なサウンドが見事に融合している。ローファイな質感を保ちながらも、ニューウェーブやファンク、パンクといったジャンルを取り入れ、彼の独自の音楽世界がさらに進化したアルバムだ。特に「Put Your Number in My Phone」や「Dayzed Inn Daydreams」は、Ariel Pinkのポップセンスが光る楽曲であり、キャッチーでありながらも深みのある音楽体験を提供している。奇妙さとポップさが絶妙にバランスされたこのアルバムは、彼のキャリアの中でも重要な位置を占める作品だ。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚:
- Person Pitch by Panda Bear
サイケデリックなサウンドとポップセンスが融合したソロアルバム。ノスタルジックで実験的な要素が、Ariel Pinkの音楽性と共鳴する。 - Halcyon Digest by Deerhunter
ドリーミーでエクスペリメンタルなサウンドスケープが広がるアルバム。ローファイでありながらも洗練されたサウンドが、Ariel Pinkのファンに響く。 - Twin Fantasy by Car Seat Headrest
インディーロックの名作で、ローファイな録音と感情的な歌詞が特徴。実験的でありながらもキャッチーな要素が、pom pomと共通している。 - Mature Themes by Ariel Pink’s Haunted Graffiti
pom pomの前作で、より実験的なアプローチが特徴的なアルバム。シュールでポップな要素が好きなリスナーにはおすすめ。 - Strange Mercy by St. Vincent
ポップと実験音楽の融合が魅力のアルバムで、Ariel Pinkの奇抜なサウンドアプローチに共鳴する作品。独創的なギターとサウンドデザインが特徴。
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