アルバムレビュー:Pickin’ Up the Pieces by Poco

※本記事は生成AIを活用して作成されています。

発売日: 1969年5月19日
ジャンル: カントリー・ロック、フォーク・ロック、ウェストコースト・ロック


概要

『Pickin’ Up the Pieces』は、カントリー・ロックの先駆的バンド、Pocoのデビュー・アルバムであり、1969年という激動の時代において、アメリカン・ルーツ音楽とロックの融合という革新的なアプローチを提示した記念碑的作品である。
元バッファロー・スプリングフィールドのリッチー・フューレイとジム・メッシーナを中心に結成されたPocoは、後のイーグルスにも直接的な影響を与えることとなる“ハーモニー主体のロック”と“スチール・ギターを取り入れたカントリー感覚”を、このデビュー作ですでに完成させていた。

カントリー音楽の土臭さと、60年代西海岸ロックの爽やかな感性が絶妙に溶け合い、都会の若者たちが“自然回帰”を夢見た当時の時代性を色濃く映し出している。
アルバムタイトルには、“バッファロー・スプリングフィールド解散の破片を拾い上げて再構築する”という二重の意味も込められており、音楽的にも精神的にも“再出発”の記録となっている。


全曲レビュー

1. Foreword / What a Day

短いインストゥルメンタルの“Foreword”で幕を開け、晴れやかな「What a Day」へとつながるオープニング。
ハーモニーとアコースティック・ギターが爽やかに響き、まるで開けた空の下での新しい一日の始まりを描いているようだ。

2. Nobody’s Fool

リッチー・フューレイの甘やかなメロディが際立つ、愛の駆け引きをテーマにしたフォーク・ロック。
ペダル・スティールが切なさを加え、60年代的な恋愛観が柔らかく描かれる。

3. Calico Lady

西部の風景と女性像を結びつけたロマンティックな楽曲。
スチール・ギターとコーラスが織りなすサウンドは、まさに“カントリーロックの雛形”と呼ぶにふさわしい。
広大なアメリカ西部の空気感が充満する。

4. First Love

青春の一コマを切り取ったバラード。
“初恋”という普遍的なテーマに、素朴で美しい旋律がぴたりと寄り添う。
ナイーヴでありながら、決して青臭くない叙情性が光る。

5. Pickin’ Up the Pieces

タイトル曲にして、バンドのコンセプトを象徴するキートラック。
バッファロー・スプリングフィールド解散後の混乱を経て、“音楽を通して自分たちのかけらを集め直す”という決意が感じられる。
キャッチーなメロディと躍動感あるリズムが印象的。

6. Grand Junction

インストゥルメンタルのブルーグラス風楽曲で、スチール・ギターとバンジョーが主役。
演奏技術の高さとアンサンブルの心地よさが際立ち、アルバム中の良質なインタールードとなっている。

7. Consequently, So Long

やや内省的なトーンのバラード。
失恋や別離をテーマにしながら、サウンドはあくまで柔らかで、歌詞の寂しさとサウンドの美しさが絶妙な対比をなす。

8. Do You Feel It Too

リズミカルなギターと跳ねるようなピアノが心地よいミッドテンポのナンバー。
恋人との心のズレを“感じ取っているか?”と問いかけるリリックが印象的。
複数のリード・ヴォーカルが絶妙に絡み合うアレンジも秀逸。

9. Tomorrow

前向きなメッセージとカントリーの軽快さが溶け合った爽やかな楽曲。
「明日がある」というフレーズが、1969年という時代の不安と希望の両面を象徴する。
ポップとフォークの中間に位置する名曲。

10. Just in Case It Happens, Yes Indeed / Grand Junction / Consequently So Long (Reprise)

3部構成の組曲的エンディング。
1曲目のリプリーズとインストゥルメンタル“Grand Junction”の再登場によって、アルバム全体の流れに輪を閉じるような印象を与える。
バンドとしての構成力とストーリーテリングの妙が光る。


総評

『Pickin’ Up the Pieces』は、カントリー・ロックというジャンルを確立した歴史的作品であると同時に、バッファロー・スプリングフィールドの精神的な継承と超克を意味する“音楽による再生”の記録でもある。
Pocoが目指したのは、単なるカントリーの輸入でもなければ、ロックの装飾でもなく、“アメリカの原風景を現代の若者たちの心情に寄り添う形で描き直す”という芸術的試みであった。

その試みは、スチール・ギター、多声コーラス、アコースティックな響きによって見事に結実し、後のイーグルスやリンダ・ロンシュタット、ドゥービー・ブラザーズといったウェストコースト勢へと連なる音の血脈を生み出している。
リラックスした佇まいの中に、音楽に対する誠実な態度が詰まったこのアルバムは、今なお新鮮な魅力を放ち続けている。


おすすめアルバム(5枚)

  1. Buffalo Springfield – Again (1967)
     Pocoの出発点とも言えるバンドの傑作。カントリーとサイケの交差点。

  2. The Flying Burrito Brothers – The Gilded Palace of Sin (1969)
     同年のカントリーロック名盤。スチール・ギターとR&Bの融合が斬新。

  3. The ByrdsSweetheart of the Rodeo (1968)
     ロックバンドが本格的にカントリーへ接近した先駆的作品。

  4. EaglesDesperado (1973)
     Pocoからの直接的影響を感じさせる西部劇的カントリーロック。

  5. Loggins & Messina – Sittin’ In (1971)
     ジム・メッシーナによる別プロジェクト。Pocoの音楽性との連続性が明確。


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