One in a Million by The Romantics(1983)楽曲解説

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1. 歌詞の概要

「One in a Million」は、The Romanticsザ・ロマンティックス)が1983年にリリースした4枚目のスタジオ・アルバム『In Heat』に収録されたシングルであり、彼らにとって「Talking in Your Sleep」に次ぐヒット曲となった。タイトルの「One in a Million(100万人に1人の存在)」が示す通り、この曲は唯一無二の恋人に対する賞賛と驚き、そして恋に落ちた瞬間の高揚感をストレートに描いたラブソングである。

語り手は、偶然の出会いによって恋に落ち、その相手の持つ特別さを強く感じている。その感情はロマンティックであると同時に、恋愛初期に訪れる“この人しかいない”という熱烈な確信が込められており、非常にエネルギッシュかつ爽快なメッセージ性を持っている。

全体としては、当時のアメリカン・ポップロックの王道ともいえる明快なコード進行、キャッチーなサビ、そしてダンサブルなビートが特徴で、The Romanticsの持つポップセンスが最も洗練された形で表出している一曲だ。

2. 歌詞のバックグラウンド

「One in a Million」は、1983年に発表されたアルバム『In Heat』の中でも、「Talking in Your Sleep」に続いてシングルカットされた作品であり、バンドとして最も商業的に成功した時期を象徴する重要なナンバーである。
当時のThe Romanticsは、それまでのガレージロック的なパワーポップ路線から一歩進み、80年代的なプロダクション――ドラムマシン、シンセベース、広がりのあるミックス――を積極的に取り入れたサウンドへと進化していた。

この楽曲はBillboard Hot 100チャートで37位を記録し、全米でのラジオ放送やMTVでのヘビーローテーションにより、バンドのメインストリーム進出をさらに後押しした存在となった。バンドのトレードマークともいえる赤と黒の衣装、タイトな演奏、そしてダンサブルなビートが、彼らを“クールな恋の伝道師”として多くの若者に印象づけた。

3. 歌詞の抜粋と和訳

Some girls do just fine
それなりにいい子はいるけれど

They never get it right
でも、何かがちょっと違うんだ

ここでは、過去の恋愛や他の出会いを否定するのではなく、何かが物足りなかったことを回想している。語り手は、“完璧ではない”日々を振り返ることで、今の相手との違いを際立たせている。

You’re one in a million
君は100万人に1人の特別な存在だよ

このサビのフレーズは、まさにこの曲の核となる言葉であり、恋に落ちた者が感じる絶対的な感覚――“この人しかいない”という確信をそのまま言葉にしている。

That I’ve been waiting for
僕がずっと待ち望んでいた存在さ

この一節は、単なる運命の出会いを超えて、時間をかけて探し求めてきた“理想の相手”にようやく巡り合えた歓びが込められている。シンプルでありながら、深い感情を伝える力を持っている。

※引用元:Genius – One in a Million

4. 歌詞の考察

「One in a Million」は、語り手が自分の人生において感じてきた“欠けたピース”が、相手との出会いによって埋められたという**“完成の瞬間”を描いた楽曲である。それは単なる恋の始まりではなく、長い時間を経てようやくたどり着いた確信、あるいは人生のなかで一度きりの特別な出会い**を称えるものであり、その強さが全編にわたって貫かれている。

歌詞においては、相手の魅力を詳細に描写するのではなく、“他の誰とも違う”“唯一無二の存在”という抽象的な言葉を繰り返すことにより、愛が論理や条件を超えた“感覚”であることを示唆している。このアプローチは、恋愛を理屈ではなく“感じるもの”として捉える、パワーポップの美学とも深く共鳴している。

また、語り手が過去の出会いや自分自身の経験を否定することなく、その延長線上で今の相手を見つけたという点において、大人のラブソングとしての奥行きも持ち合わせている

5. この曲が好きな人におすすめの曲

  • Magic by The Cars
    出会いの驚きと喜びを、ニュー・ウェイヴの洗練されたサウンドで描いた一曲。

  • You Might Think by The Cars
    独自の視点で恋の強烈さを描いた、ポップでユーモラスなラブソング。
  • I Melt with You by Modern English
    世界が変わるような恋を、ポストパンク的な感性で描く永遠の名曲。

  • The One Thing by INXS
    官能的かつ情熱的に“一番”を歌う80sロックの隠れた名曲。

  • Don’t You Want Me by The Human League
    男女間のすれ違いと、関係性の変化を描いたシンセ・ポップの名作。

6. 100万人に1人の出会いが、人生を変える――ポップソングの奇跡

「One in a Million」は、80年代という時代のサウンドをまといながらも、どの時代のリスナーにも届く普遍的な恋の真理――“この人だけは特別”という感情をまっすぐに歌い上げている。

キャッチーなメロディ、軽快なテンポ、そして語り手の情熱。それらが三位一体となって、この曲は今もなお数多くの映画やラジオ、TV番組で使用され続けている。それは、どこかで“本当に大切な誰か”に出会った人たちが、必ずこの曲の気持ちに共鳴してしまうからだ。

ロマンスは突然に、そして確信的に訪れる――そんな奇跡のような瞬間を、「One in a Million」は最もシンプルでポップな方法で切り取ってみせた。
それはまさに、ラブソングの理想形であり、ポップソングの永遠の使命なのかもしれない。

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