発売日: 2007年2月6日
ジャンル: パワーポップ、サイケデリックロック、インディーロック
New Magnetic Wonderは、The Apples in Stereoによる6作目のスタジオアルバムで、エレファント6コレクティブの精神を引き継ぎながらも、さらに洗練されたサウンドが際立つ作品である。サイケデリックなポップとパワーポップの要素が融合し、キャッチーなメロディと遊び心のあるプロダクションが特徴。ロバート・シュナイダーがアルバム全体を通して緻密に作り上げた楽曲群は、シンセサイザーやエレクトロニクスを大胆に取り入れ、バンドのサウンドに新たな要素を加えている。アルバム全体は、エネルギッシュでありながらも時折ノスタルジックで、サイケデリックポップの伝統と未来を繋ぐ重要な一枚となっている。
各曲ごとの解説:
- Can You Feel It?
アルバムのオープニングトラックは、エネルギッシュでキャッチーなパワーポップ。明るいシンセと軽快なギターリフが印象的で、ロバート・シュナイダーのボーカルがポップな雰囲気を一層引き立てている。歌詞はリスナーを楽しませるポジティブなメッセージを含んでおり、アルバム全体の楽しいトーンを設定する。 - Skyway
メロディックなギターフレーズと軽快なリズムが際立つトラック。キャッチーなサウンドとともに、ノスタルジックな雰囲気を感じさせる。空を飛ぶような広がりのあるメロディが、自由と開放感を表現している。 - Mellotron 1
短いインストゥルメンタルで、レトロなメロトロンのサウンドが幻想的な雰囲気を作り出している。シンセやストリングスのような音が折り重なり、アルバム全体のサイケデリックなトーンを強調している。 - Energy
アルバムの代表曲で、明るくポジティブなエネルギーに満ちたパワーポップの名曲。キャッチーなギターリフと心地よいメロディが、リスナーに元気を与える。歌詞は前向きで楽観的な内容であり、シュナイダーのボーカルがさらにその明るいメッセージを強調している。 - Same Old Drag
ややメランコリックなトーンを持ちながらも、しっかりとキャッチーなメロディが引き立つトラック。ギターとシンセサウンドが巧みに組み合わさり、軽快なリズムが耳に心地よい。人生の単調さを描写しつつも、前向きなエネルギーが感じられる。 - Joanie Don’t U Worry
この曲はアップテンポで、キャッチーなメロディラインとリズムが印象的。軽やかなビートとエレクトロニックな要素がミックスされ、ノスタルジックな雰囲気を持ちながらも現代的なポップサウンドが光る。 - Sunndal Song
エレガントでノスタルジックなギターリフが、曲全体に温かみを与えている。サイケデリックな要素と軽やかなポップの要素が融合した美しいトラックで、浮遊感のあるコーラスがリスナーを心地よく包み込む。 - Droplet
短いインストゥルメンタルで、シンセの音が滴るように反響する。ミニマルなサウンドデザインが、アルバム全体のサイケデリックなトーンをつなぐ役割を果たしている。 - Play Tough
アップテンポで、ギターリフと力強いリズムが曲全体を牽引する。シュナイダーのボーカルがメロディを乗り越え、明るくキャッチーなサウンドが展開される。楽曲はシンプルながらも中毒性があり、エネルギッシュなポップソングとして際立っている。 - Sun Is Out
サイケデリックな要素が強く、ドリーミーな雰囲気が漂う曲。アコースティックギターとソフトなボーカルが柔らかな光を感じさせ、穏やかで温かみのある一曲となっている。 - Mellotron 2
再び登場するメロトロンを中心とした短いインストゥルメンタル。アルバムのサイケデリックな要素を強調し、聴く者を夢の中へ誘うような効果を持っている。 - Open Eyes
穏やかなギターメロディと控えめなボーカルが、内省的なトーンを強調する。静かながらも深い感情が表現されたこの曲は、アルバムの中でも特にメランコリックな一曲。 - Crimson
エネルギッシュなギターリフとリズムが中心となった楽曲で、アルバムの中でも特にパワーポップの要素が強調されている。元気が出るようなポップなメロディがリスナーに響く。 - Pre-Crimson
短いインストゥルメンタルで、次の曲「Crimson」へとつながる序曲的な役割を果たしている。 - Beautiful Machine Parts 1-2
実験的なサウンドとメロディが交錯するトラックで、サイケデリックな要素が強調されている。シンセサイザーとギターが織りなすサウンドスケープが独特で、アルバム全体のテーマを締めくくる役割を果たしている。 - Beautiful Machine Parts 3-4
前の曲の延長線上にあり、サイケデリックな雰囲気をさらに深めたインストゥルメンタル。静かなエンディングに向かって曲が進行し、アルバムを美しく締めくくる。
アルバム総評:
New Magnetic Wonderは、The Apples in Stereoのパワーポップとサイケデリックな要素が見事に融合した作品である。キャッチーなメロディと実験的なサウンドデザインがアルバム全体に散りばめられ、シュナイダーのポップなソングライティングが輝く。特に「Energy」や「Same Old Drag」のような楽曲は、バンドの魅力を最大限に引き出しており、リスナーにポジティブで前向きなメッセージを伝える。シンセやエレクトロニクスを効果的に取り入れたサウンドは、エレファント6コレクティブの精神を受け継ぎながらも、バンドの新しい可能性を感じさせる。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚:
- Bee Thousand by Guided by Voices
ローファイでキャッチーなパワーポップが特徴のアルバムで、シンプルな構成とポップなメロディがNew Magnetic Wonderと共通する。 - In the Aeroplane Over the Sea by Neutral Milk Hotel
感情的で内省的な歌詞とサイケデリックな音楽性が融合した作品。エレファント6コレクティブの中でも特に深いテーマを持つアルバムで、The Apples in Stereoのファンにも響く。 - Tone Soul Evolution by The Apples in Stereo
New Magnetic Wonderの前作で、よりクラシックなサイケデリックポップのアプローチを楽しめる。メロディの美しさとバンドのエネルギーが感じられる。 - Dusk at Cubist Castle by The Olivia Tremor Control
サイケデリックな要素と実験的なアレンジが特徴のアルバムで、複雑なサウンドとポップなメロディがNew Magnetic Wonderと共鳴する。 - Electric Version by The New Pornographers
キャッチーなパワーポップの名作。シンセサイザーや複雑なアレンジが際立っており、The Apples in Stereoのポップセンスを楽しむリスナーにおすすめ。
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