![]()
モダン・クラシック・ロックを知るなら、まず定番アーティストから
モダン・クラシック・ロックは、1960〜70年代に確立されたクラシックロックの語法を、現代的な録音やインディーロック以降の感覚で更新するアーティストを捉える際に使われる呼び方である。明確な境界線を持つジャンルというより、ブルースロック、ハードロック、サイケデリックロックなどの伝統を現代へ引き継ぐ音楽をまとめて語るためのカテゴリーと考えるとわかりやすい。
そのため、入り口では個々のアーティストを聴き比べることが重要である。Led ZeppelinやThe Rolling Stonesを思わせるギターリフを前面に出すバンドもいれば、1970年代のサイケデリアやサザンロック、グラムロックを再解釈するバンドもいる。ここでは、2000年代以降のシーンを中心に、モダン・クラシック・ロックを理解するうえで押さえておきたい10組を紹介する。
モダン・クラシック・ロックとはどんなジャンルか
モダン・クラシック・ロックの土台にあるのは、1960年代後半から1970年代に発展したブルースロック、ハードロック、サイケデリックロック、サザンロックなどである。太いギターリフ、ドラムとベースによる生々しいグルーヴ、力強いボーカル、ギターソロといった要素が重要になる。
一方、単純な「昔のロックの再現」とは限らない。現代のバンドはインディーロックやオルタナティブロック、ガレージロックなどを通過しており、ヴィンテージ志向の音色と現代的な作曲・プロダクションを組み合わせている。2000年代以降にアナログ感の強いロックが繰り返し注目されてきたことも、この流れを考えるうえで重要である。
特に隣接しているのがブルースロックである。ギターとボーカルの掛け合い、ブルース由来のフレーズ、即興性のある演奏は、多くのモダン・クラシック・ロック系アーティストに共通する。
モダン・クラシック・ロックの定番アーティスト10選
1. The Black Keys
The Black Keysは、アメリカ・オハイオ州アクロンで結成されたDan AuerbachとPatrick Carneyによるデュオである。2000年代初頭から活動し、荒削りなブルースロックを出発点にしながら、より大きなロックサウンドへ発展していった。
代表作『Brothers』では、ファズの効いたギター、タイトなドラム、ソウルやブルースの感覚をポップな楽曲へ落とし込んでいる。クラシックロック的なルーツを持ちながら、現代のリスナーにも入りやすい音作りが特徴だ。初心者なら、まず「Tighten Up」から聴くと彼らのリズム感とメロディの強さをつかみやすい。
{{artist_card Black Keys}} {{album_card by The Black Keys}} {{song_card Up by The Black Keys}}
2. Rival Sons
Rival Sonsは、カリフォルニア州ロングビーチで結成されたロックバンドである。ブルースロックとハードロックを基盤にした豪快な演奏で知られ、2010年代以降のクラシックロック・リバイバルを代表する存在のひとつとなった。
Jay Buchananの力強いボーカルとScott Holidayのギターが中心で、Led ZeppelinやFreeなどを連想させる重量感がある。一方で、単なる1970年代風の再現に終わらず、コンパクトな楽曲構成と現代的な迫力を備えている。代表作のひとつ『Pressure & Time』は、ハードなモダン・クラシック・ロックを知る格好の入口である。
{{artist_card Sons}} {{album_card & Time by Rival Sons}}
3. Greta Van Fleet
Greta Van Fleetは、アメリカ・ミシガン州フランケンマスで結成されたバンドである。2010年代後半に急速に注目を集め、クラシックロックの影響を明快に打ち出したことで、この潮流を広く知らしめた。
Josh Kiszkaの高音域を生かしたボーカル、Jake Kiszkaのギターリフ、ダイナミックなリズム隊が大きな特徴である。初期にはLed Zeppelinとの比較が盛んに行われたが、その後はフォークやプログレッシブロック的な要素も拡大した。まずは「Highway Tune」を聴けば、彼らのストレートなハードロック志向がよくわかる。
{{artist_card Van Fleet}} {{song_card Tune by Greta Van Fleet}}
4. The White Stripes
Detroit周辺のガレージロック・シーンから登場したThe White Stripesは、Jack WhiteとMeg Whiteによるデュオである。2000年代のガレージロック・リバイバルを代表する存在だが、ブルースと古典的ロックンロールを現代へ接続したという点でも重要である。
ギター、ドラム、ボーカルを中心とした極端にシンプルな編成から、強烈なリフとダイナミクスを生み出した。『Elephant』収録の「Seven Nation Army」はその象徴であり、巨大なリフを中心に曲を成立させるロックの基本的な魅力を再確認できる。
{{artist_card White Stripes}}
5. Wolfmother
Wolfmotherはオーストラリア・シドニーで結成されたバンドである。2000年代半ばに登場し、1970年代型ハードロック、サイケデリックロック、ストーナーロックの要素を大胆に取り込んだ。
Andrew Stockdaleの高音ボーカルと太いギターリフが中心で、初期の代表曲「Woman」や「Joker and the Thief」には、クラシックなハードロックの即効性が詰まっている。デビューアルバム『Wolfmother』は、ヴィンテージな音色と2000年代的な勢いを一度に味わえる作品であり、初心者にもわかりやすい。
{{artist_card}}
6. The Struts
The Strutsはイングランドで結成されたロックバンドである。Luke Spillerの華やかなフロントマン像を中心に、グラムロックや1970年代のスタジアムロックを現代的なポップ感覚で再構成している。
QueenやThe Rolling Stonesなどを思わせる派手さがある一方、楽曲は非常にキャッチーである。大合唱できるコーラスや明快なギターサウンドを重視しているため、重厚なブルースロックよりもポップな入口を探している人に向いている。ライブ映えするクラシックロックの精神を現代へ持ち込んだタイプのバンドだ。
7. Dirty Honey
Dirty Honeyはロサンゼルスを拠点に活動するロックバンドで、2010年代後半から注目を集めた。ブルースを基盤としたハードロックを鳴らし、1980年代以前の大音量ロックを現代のプロダクションで蘇らせている。
Marc LaBelleのボーカルとJohn Nottoのギターを軸にした演奏は、AerosmithやGuns N’ Rosesなどにつながるアメリカン・ハードロックの系譜を感じさせる。リフ、ギターソロ、強いサビという王道の構成が多く、クラシックロックを普段あまり聴かない人にも構造がつかみやすい。
8. The Sheepdogs
The Sheepdogsはカナダ・サスカチュワン州サスカトゥーン出身のバンドである。サザンロック、ブルースロック、1970年代のルーツロックから強い影響を受けたサウンドを特徴としている。
ツインギター的なアンサンブルや温かみのあるコーラス、オルガンなどを生かした編曲は、The Allman Brothers BandやLynyrd Skynyrdなどの流れを思わせる。ハードロック一辺倒ではなく、カントリーやソウルにつながるグルーヴも聴けるため、モダン・クラシック・ロックのルーツ志向を理解するのに適した存在である。
9. Crown Lands
Crown Landsはカナダのロックデュオである。Kevin ComeauとCody Bowlesによる編成で、ハードロックからプログレッシブロックまでを射程に入れたスケールの大きなサウンドを展開している。
初期のブルース/ハードロック色に加え、Rushを想起させる複雑な構成や長尺曲にも取り組んでいる点が特徴だ。クラシックロックの中でも、単純なリフ主体の音楽だけでなく、変拍子や組曲的な展開を好む人に向いている。モダン・クラシック・ロックからプログレッシブロックへ進む際の橋渡しにもなるバンドである。
10. Larkin Poe
Larkin PoeはRebecca LovellとMegan Lovellの姉妹を中心とするアメリカのバンドである。ブルース、ルーツロック、サザンロックを基盤とし、とりわけスライドギターを前面に出したサウンドで知られる。
古いデルタブルースやアメリカ南部の音楽的伝統を参照しながら、ドラムやギターには現代的な重量感がある。モダン・クラシック・ロックを「1970年代ハードロックの復刻」だけで捉えず、その源流であるブルースやルーツミュージックまで掘り下げたい人におすすめである。
まず聴くならこの3組
最初の1組として聴きやすいのはThe Black Keysである。ブルースの語法を明確に残しながら楽曲がコンパクトで、ロック以外のリスナーにも届きやすいメロディを備えている。『Brothers』を入口にすれば、ヴィンテージな音色と現代的なロックの接点をつかみやすい。
よりストレートなハードロックを求めるならGreta Van Fleetがわかりやすい。高音ボーカル、大きなギターリフ、派手なドラムというクラシックロックの特徴が明快で、過去のハードロックへさかのぼって聴くきっかけにもなる。
もう少し重厚な演奏を聴きたいならRival Sonsがおすすめだ。ブルースロックの身体的なグルーヴとハードロックの迫力が強く、1970年代の音楽を参照しつつも現代のバンドとして成立している。この3組を聴き比べれば、モダン・クラシック・ロックの主要な方向性が見えてくるはずである。
関連ジャンルへの広がり
モダン・クラシック・ロックからさらに掘り下げるなら、まずブルースロックを聴いてみたい。The Black KeysやRival Sons、Larkin Poeなどが使うギターのフレーズやグルーヴの源流が見えやすくなり、1960〜70年代のロックがブルースをどのように発展させたのかも理解しやすくなる。
一方、WolfmotherやCrown Landsのようなスケール感や実験性が気に入った場合は、サイケデリックロック方面へ広げるのも面白い。ファズギター、反復するリフ、長尺の展開など、クラシックロックが持っていた実験的な側面をより深く味わえる。
まとめ
モダン・クラシック・ロックには、ひとつの決まった音があるわけではない。The Black Keysのブルース志向、Rival SonsやGreta Van Fleetのハードロック、The White Stripesのガレージロック、The Sheepdogsのサザン/ルーツ志向、Crown Landsのプログレッシブな展開など、それぞれが異なる角度からロックの伝統を更新している。
初心者なら、まずThe Black Keys、Greta Van Fleet、Rival Sonsの3組から聴き始めると違いをつかみやすい。そこからギターリフを重視するならWolfmother、華やかなロックを求めるならThe Struts、ブルースの源流へ進みたいならLarkin Poeというように広げていけばよい。
モダン・クラシック・ロックを入口にすると、現在のバンドを楽しむだけでなく、その背景にあるブルースロック、ハードロック、サイケデリックロック、サザンロックなどへ自然にさかのぼることができる。新旧のロックをつなげながら聴いていくことこそ、このカテゴリーを楽しむうえで最もわかりやすい方法なのである。

コメント