発売日: 1978年12月1日
ジャンル: ソフトロック、ブルーアイドソウル、ポップロック
「Minute by Minute」は、The Doobie Brothersにとって転換期となったアルバムであり、バンドに新たなリーダーシップをもたらしたMichael McDonaldの影響が色濃く表れた作品である。彼のソウルフルなボーカルと鍵盤を中心にしたサウンドは、従来のサザンロックやカントリーロックから一線を画し、より都会的で洗練されたブルーアイドソウルやソフトロックの方向へと進化している。アルバムは商業的に大成功を収め、特にシングル「What a Fool Believes」はグラミー賞を受賞し、バンドにとっての新たな章を開いた。ハーモニーボーカルとファンク、ジャズ、ポップの要素を取り入れたサウンドが、The Doobie Brothersの多面的な音楽性を象徴する。
各曲ごとの解説:
- Here to Love You
「Here to Love You」は、アルバムのオープニングを飾るソウルフルな楽曲で、Michael McDonaldのリードボーカルが際立つ。ファンキーなリズムと、洗練されたコード進行が、彼の影響力を如実に示しており、アルバムのトーンを設定する一曲。 - What a Fool Believes
このアルバムの代表曲である「What a Fool Believes」は、ポップでキャッチーなメロディと、複雑なコード進行が魅力。Michael McDonaldとKenny Logginsが共作したこの曲は、哀愁漂う歌詞と軽快なリズムが特徴で、1979年のグラミー賞「最優秀レコード賞」を受賞した。特に、McDonaldのファルセットボーカルが楽曲に洗練された感情を与えている。 - Minute by Minute
「Minute by Minute」は、アルバムのタイトル曲で、ブルーアイドソウルの要素が強く感じられるメロウなバラード。Michael McDonaldの深いボーカルと、バックコーラスとの美しいハーモニーが楽曲を引き立てている。恋愛の葛藤と感情の揺れをテーマにした歌詞が、落ち着いたトーンの中で語られている。 - Dependin’ on You
「Dependin’ on You」は、バンドのギタリストPatrick SimmonsとMcDonaldの共作で、軽快なリズムが特徴のポップロックナンバー。ギターとキーボードの絡みが心地よく、バンドの特徴であるハーモニーボーカルが楽曲に豊かさを与えている。 - Don’t Stop to Watch the Wheels
「Don’t Stop to Watch the Wheels」は、よりファンク寄りの楽曲で、タイトなリズムとMcDonaldのリードボーカルが際立つ。ホーンセクションが加わり、ダンサブルで都会的なサウンドがアルバムに活気を与えている。 - Open Your Eyes
「Open Your Eyes」は、柔らかいギターリフが心地よいミッドテンポの楽曲で、Patrick Simmonsがリードボーカルを務めている。フォークロックの要素が残されたバラードで、シンプルながらも美しいメロディが特徴だ。 - Sweet Feelin’
「Sweet Feelin’」は、メロウで心地よいバラードで、Michael McDonaldの温かみのあるボーカルが曲の中心となっている。甘く優しいメロディが楽曲に落ち着きを与え、彼のソウルフルな一面が存分に発揮されている。 - Steamer Lane Breakdown
「Steamer Lane Breakdown」は、Patrick Simmonsによるインストゥルメンタルのブルーグラス調の楽曲で、アルバムの中で異彩を放っている。アコースティックギターを中心に展開される軽快なリズムが、アルバム全体にバランスをもたらしている。 - You Never Change
「You Never Change」は、力強いリズムと洗練されたアレンジが特徴のファンキーな楽曲。ホーンセクションが加わり、躍動感のある演奏が楽曲全体を引き締めている。バンドのダイナミックなサウンドが楽しめる一曲。 - How Do the Fools Survive?
アルバムの締めくくり「How Do the Fools Survive?」は、ジャズとソウルの要素が融合した壮大な楽曲。Michael McDonaldのボーカルと、バンド全体のアンサンブルが非常に緻密で、情感豊かなフィナーレを飾っている。
アルバム総評:
「Minute by Minute」は、The Doobie BrothersがMichael McDonaldを中心に据え、新たな音楽的方向性を打ち出したアルバムである。従来のサザンロックやカントリーロックから、都会的で洗練されたブルーアイドソウルやソフトロックへと進化し、バンドのサウンドに新たな息吹を吹き込んだ。このアルバムは、彼らにとって商業的にも大成功を収め、「What a Fool Believes」のようなグラミー賞受賞曲も生み出した。バンドのハーモニーボーカルやソウルフルな演奏が存分に発揮され、リスナーを魅了する作品である。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚:
- Silk Degrees by Boz Scaggs
同じくブルーアイドソウルとソフトロックが融合したアルバムで、Michael McDonaldとBoz Scaggsの共演もあり、共鳴する部分が多い。 - Aja by Steely Dan
複雑なアレンジとジャズ、ロック、ポップの融合が特徴の名作。The Doobie Brothersの洗練されたサウンドに通じる要素が詰まっている。 - Takin’ It to the Streets by The Doobie Brothers
Michael McDonaldが加入した最初のアルバムで、ブルーアイドソウルとロックの要素が見事に融合され、バンドの進化が感じられる。 - Off the Wall by Michael Jackson
ソウルフルでダンサブルな要素が強いアルバムで、「Minute by Minute」と同じ時代背景のサウンドを楽しめる。 - Blue Desert by Marc Jordan
ソフトロックとブルーアイドソウルが融合したアルバムで、洗練されたサウンドが好きなリスナーにおすすめ。
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