Long as I Can See the Light by Creedence Clearwater Revival(1970)楽曲解説

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1. 歌詞の概要

「Long as I Can See the Light」は、別れと旅立ちをテーマにした深い感傷を感じさせる楽曲である。ジョン・フォガティの歌詞は、物理的な距離を超えた心の距離や、将来に向けた希望と不安を描いている。語り手は、出発の時を迎え、愛する人に向かって「どんなに離れていても、僕が光を見ている限り、君を感じることができる」と告げる。これは、別れの悲しみとともに、心の中で互いに繋がり続けるという、精神的な絆の象徴とも言える。

曲のサウンドは、クリーンで温かなアコースティックギターと、心地よいドラムビートが支え、フォガティの歌声がその感情をより深く掘り下げる。歌詞の中に現れる「光」は、文字通りの光であり、また精神的な指針、希望を象徴するものとしても受け取ることができる。

2. 歌詞のバックグラウンド

「Long as I Can See the Light」は、CCRのアルバム『Cosmo’s Factory』(1970)の終盤に位置する楽曲であり、アルバム全体が持つアメリカン・ルーツ・ロックのスタイルとは異なり、より静かな、感傷的なトーンが特徴的だ。これはアルバムの最後に収められるにふさわしい、感情的にクライマックスとなる一曲でもある。

ジョン・フォガティは、この曲を「旅立ちとその後の心のつながり」について書いたと語っている。1960年代後半から1970年代初頭にかけての社会的混乱と変動の中で、個人がどのように愛や絆を保ち続けるのか、という問いが内包されている。

アルバム『Cosmo’s Factory』は、CCRが商業的に大成功を収める過程で作られた作品であり、その音楽的な多様性を反映している。「Long as I Can See the Light」は、バンドのエレキロックに対するアコースティック的なアプローチを際立たせており、その曲調の変化は、彼らの音楽における深さと広がりを示すものだ。

3. 歌詞の抜粋と和訳

以下に、歌詞の一部とその日本語訳を紹介する。

引用元:Lyrics © BMG Rights Management

Put a candle in the window

― 窓にろうそくを灯して

‘Cause I feel I’ve got to move

― だって僕は動かなきゃならない気がするから

Though I’m goin’, goin’

― ここを去るけれど

I’ll be comin’ home soon

― すぐに帰ってくるよ

Long as I can see the light

― 僕がその光を見る限り

4. 歌詞の考察

「Long as I Can See the Light」の歌詞には、希望と帰属感が深く根ざしている。

冒頭の「Put a candle in the window(窓にろうそくを灯して)」というフレーズは、物理的な灯りであると同時に、道を照らすシンボルとしても解釈できる。このろうそくは、遠くにいる相手を待つという“招待状”であり、また「自分を待っていてくれる場所」への希望の灯でもある。この灯りが「帰るべき場所」として歌われることで、語り手の旅路と帰還の物語が描かれる。

歌詞の中で「I’m going, going」や「I’ll be comin’ home soon」など、出発と帰還の反復が織り交ぜられることで、再会への約束とともに、物理的な距離が心のつながりには影響しないことが強調されている。特に「Long as I can see the light(僕がその光を見る限り)」というフレーズには、どんなに遠く離れても心の中で互いに繋がっていられる、というメッセージが込められている。

フォガティのボーカルは、静かで控えめながら、確かな決意が伝わる。この曲は、別れの哀しみよりも、むしろ「前に進む勇気」を与えてくれる力を持っている。

5. この曲が好きな人におすすめの曲

  • The Weight by The Band
    旅と帰郷、そしてその途中で交わされる人々の絆をテーマにした楽曲。感傷的でありながらも、温かな希望に満ちている。

  • Tangled Up in Blue by Bob Dylan
    出発と再会、過去と未来が交錯する物語を描いた名曲。音楽的にも歌詞的にも、長い旅を経て辿り着く場所を表現している。

  • Landslide by Fleetwood Mac
    人生の変化と、その変化に直面する勇気についての歌。静かな歌詞と音が、「Long as I Can See the Light」と共鳴する。

  • Going to California by Led Zeppelin
    新しい土地に向かう旅路を描いた、旅立ちと希望の歌。アコースティックなサウンドが、この曲に近い感覚を共有している。

6. 別れと希望を織り交ぜた静かな旅路

「Long as I Can See the Light」は、CCRにおける感情的な深みと、彼らの音楽が持つ普遍的な魅力を象徴する楽曲である。出発と帰還、別れと再会、そして光という象徴的な要素が、音楽を通じて美しく描かれている。

特にそのアコースティックなサウンドは、CCRが単なるロックバンドであることを超え、より静かで情緒的な側面を引き出している。この曲は、前進する力と、遠く離れていても変わらない絆を信じる心を、優しく、確かに伝えてくれる。

また、フォガティの歌声は、感情の奥深くを掘り下げるように静かに響き、リスナーに旅路の中での希望と勇気を与えてくれる。この曲を聴いていると、どんな道も、どんな場所も、心の中にある「光」を信じれば乗り越えられるという気持ちが湧き上がる。

「Long as I Can See the Light」は、別れと希望が交差する時にこそ響く、普遍的なメッセージを持った名曲である。

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