Life Round Here by James Blake（2013）楽曲解説

楽曲レビュー

2025.03.222025.04.24

1. 歌詞の概要

“Life Round Here” は、James Blake が2013年にリリースした2ndアルバム “Overgrown” に収録された楽曲で、社会の不安、日常の単調さ、そしてその中でのもがきを描いた ミニマルでありながらも深い楽曲です。

歌詞は非常にシンプルで断片的ですが、「ここでの生活は簡単じゃない」 というメッセージが強く伝わってきます。主人公は、退屈で厳しい日常を生き抜くことの難しさ を語りつつ、その中での「愛」や「希望」の可能性についても探っています。

音楽的には、James Blake の特徴である静と動のコントラストを生かしたビートと、リズミカルなボーカルが特徴 で、繰り返されるシンプルなリフが楽曲全体に中毒性のあるグルーヴ を生み出しています。

James Blake は、ロンドン出身のシンガーソングライター、プロデューサーであり、ポスト・ダブステップ、R&B、ソウル、ミニマリズムを融合させた独自のスタイル で高い評価を得ています。

アルバム “Overgrown” は、彼の音楽がより洗練され、静寂と重低音のコントラストを活かしたサウンド で、ポップスとエクスペリメンタル・ミュージックの中間を探る作品となりました。

“Life Round Here” は、その中でも特にユニークな楽曲で、James Blake のリズミカルなボーカルと、ループするミニマルなサウンドが特徴的な楽曲 となっています。

また、この曲は2013年に Chance the Rapper をフィーチャーしたリミックスバージョンもリリースされ、R&Bとヒップホップの融合 という新しい解釈が加わりました。

原詞（抜粋）
Part time love is the life round here
We’re never done
Everything feels like touchdown on a rainy day

和訳
この街では、恋愛だって中途半端なもの
でも終わりはない
すべてが雨の日のタッチダウンみたいに感じる

歌詞の全文はこちら

この曲の歌詞は非常に抽象的ですが、「この街での生活は、いつもどこか満たされない」 というテーマが根底にあります。

「Part time love is the life round here」（この街では、恋愛だって中途半端なもの）
→ これは、人間関係が一時的で、深く結びつくことが難しい環境を描写 していると考えられます。恋愛も、友情も、すべてがどこか表面的で、深く続くことがないという、孤独感のあるフレーズです。
「Everything feels like touchdown on a rainy day」（すべてが雨の日のタッチダウンみたいに感じる）
→ この比喩は、何をしてもスムーズにいかず、どこか苦しい状況にあることを表現 しているように感じられます。アメリカンフットボールにおける「タッチダウン」は成功の象徴ですが、それが「雨の日」であることで、達成してもどこかスッキリしない、報われない感覚 を示唆しているのかもしれません。

この曲全体を通して、James Blake は 「無意味な日常」「満たされない感情」「逃れられない環境」 というテーマを描いており、リスナーに共感や想像の余地を与える作りになっています。