アルバムレビュー:L.A. Woman by The Doors

※本記事は生成AIを活用して作成されています。

発売日:1971年4月19日

ジャンル:Blues Rock / Psychedelic Rock / Rock

概要

L.A. Womanは、The Doorsが1971年に発表した6作目のスタジオ・アルバムであり、Jim Morrison存命中に完成した最後のスタジオ作である。前作までプロデュースを担ったPaul A. Rothchildが制作途中で離れ、バンドはエンジニアのBruce Botnickと共同でセルフ・プロデュースした。ロサンゼルスの彼らのリハーサル・スペースを録音場所として使い、よりライブに近い環境で制作されたことも、アルバムの生々しい響きにつながっている。

音楽的には初期の幻想的なサイケデリアから離れ、The Doorsの根にあったブルースを前面へ出している。Ray Manzarekのオルガンとピアノ、Robby Kriegerのギター、John Densmoreの柔軟なドラムに、ベーシストJerry ScheffとギタリストMarc Bennoが加わり、演奏には以前より厚い低音と自然なグルーヴが生まれた。「Cars Hiss by My Window」のようなブルースから「Love Her Madly」の簡潔なポップ、長尺の「L.A. Woman」「Riders on the Storm」まで、同じ基礎から異なる曲調を引き出している。

歌詞ではロサンゼルスという都市、道路、夜、欲望、孤独、移動が何度も現れる。Morrisonの声も初期の若々しいバリトンから荒く太いものへ変化しており、その疲労感がブルース中心のサウンドによく合う。結果として本作は、初期のThe Doorsへ戻った作品ではなく、ブルースという原点を1971年時点の彼らの経験と演奏力で作り直したアルバムになった。

全曲レビュー

1. 「The Changeling」

硬いギターとオルガン、跳ねるリズムが絡み、ファンクの感触を持ったロックでアルバムを始める。Morrisonは「変わる者」という題名通り、固定された自己から離れて別の状態へ移る人物を演じるように歌い、声には挑発的な勢いがある。Scheffのベースが低い位置で細かく動くため、従来のDoors以上にリズムの身体性が強い。再出発を思わせる内容と、簡潔で力強い演奏がよく噛み合ったオープナーだ。

2. 「Love Her Madly」

Krieger作の軽快なポップ・ロックで、乾いたギターとManzarekの鍵盤が短いフレーズを交換しながら進む。親密な相手が去ってしまう状況を扱いながら、演奏は重苦しくならず、サビにはすぐ覚えられる明快さがある。「狂おしいほど愛する」という題名と、相手を引き留められない状況のずれが曲の切なさを作る。アルバムのブルース色を保ちながら、The Doorsのポップな作曲能力も見せる曲である。

3. 「Been Down So Long」

Furry Lewisの曲名にもつながるブルースの定型句を用い、長く落ち込んでいたため上向きの状態すら奇妙に感じるという逆説を中心にする。KriegerとMarc Bennoのギターが絡み、Morrisonは整った歌声より、しゃがれた叫びやブルース的な節回しを前へ出す。形式そのものは伝統的だが、バンドがブルースを借り物として演奏するのではなく、自分たちの疲労感に合う言語として使っていることが重要である。

4. 「Cars Hiss by My Window」

ゆっくりした12小節ブルースを基礎に、窓の外を車が通り過ぎる夜の情景を描く。派手な展開を避け、ギターとピアノ、ベースが広い隙間を残すため、部屋に一人で外の音を聞いているような距離感が生まれる。Morrisonの低い声も疲れた独白に近く、終盤には声をギターのように使った即興的な表現まで現れる。都市の孤独を最小限の演奏で見せる一曲だ。

5. 「L.A. Woman」

疾走するリズムにピアノ、オルガン、ギターが次々と絡む長尺曲で、ロサンゼルスを華やかな夢の街としてだけではなく、欲望と孤独が混在する場所として描く。Morrisonは街を女性の姿と重ねながら、その内部を車で走り抜けるように場面を変えていく。中盤ではテンポ感を落として「Mr. Mojo Risin’」というアナグラムを反復し、そこから再び加速する。都市、人物、バンド演奏が一体となった本作の中心曲である。

6. 「L’America」

低く不穏なギターと鍵盤から始まり、明るいアメリカ像とは異なる奇妙な風景を作る。タイトルは「America」に定冠詞を付けたような響きを持ち、歌詞でも国そのものを説明するより、南へ向かう旅や商品、欲望のイメージを断片的に置く。リズムは行進のような硬さと揺れを行き来し、Morrisonの低い声がその上を漂う。アルバム後半へ暗いサイケデリアを戻す曲である。

7. 「Hyacinth House」

Manzarekのオルガンがクラシカルな旋律を奏で、ブルース中心のアルバムに一時的な静けさを作る。歌詞では友人や身近な空間に触れながら、「自分を必要としてくれる人」を探すような孤独が表面へ出る。ヒヤシンスという美しい植物のイメージとは対照的に、Morrisonの歌唱には疲れがあり、居心地のよい場所にいても落ち着けない人物のように聞こえる。短い曲ながら後半の内省を深めている。

8. 「Crawling King Snake」

John Lee Hookerで知られるブルース曲を取り上げ、The Doorsのルーツを最も直接的に示す。Densmoreのドラムは急がず、Scheffのベースとともに重い反復を作り、その上をKriegerのギターが這うように動く。Morrisonは歌詞の性的な比喩を芝居がかった演技にせず、低く太い声で押し出す。古いブルースの反復性が、The Doors特有の催眠的な演奏と自然に接続している。

9. 「The WASP (Texas Radio and the Big Beat)」

Morrisonの詩的な朗唱とブルース/ファンクのグルーヴを結びつけた曲である。ラジオ、音楽、アメリカ南部をめぐるイメージが連続し、通常のヴァースとサビによる物語より、言葉のリズムそのものが演奏を導く。Manzarekの鍵盤とリズム隊はMorrisonの声へ細かく反応し、朗読を伴奏付きの詩ではなくバンド演奏の一部にする。詩人としてのMorrisonとブルース歌手としてのMorrisonが交差する瞬間だ。

10. 「Riders on the Storm」

雨と雷の音、Fender Rhodesの冷たい響き、Scheffの滑らかなベースによって、アルバム最後に突然広い夜の空間が現れる。歌詞は嵐の中を走る者、道路上の殺人者、家族や愛をめぐる言葉を並べ、現実的な犯罪の恐怖と寓話的な死の気配を重ねる。Morrisonの通常の歌声にささやきを重ねた録音も不安を強める。最後は演奏が雨の中へ溶け、明確な終止よりも旅が続いているような感覚を残す。

総評

L.A. Womanでは、The Doorsを構成していた複数の要素が、それまで以上に自然な形で一緒に鳴っている。ブルース、ジャズ的な即興、サイケデリックな音響、ポップな作曲、Morrisonの詩が、別々の実験としてではなくバンドの演奏へ吸収されているからだ。特にJerry Scheffのベースが加わったことで低音の動きが豊かになり、Manzarekがベースの役割から自由になったことも、鍵盤の表現を広げている。

録音の生々しさも大きな長所である。楽器を完全に磨き上げて巨大なスタジオ作品にするより、メンバー同士が同じ場所で反応している感覚が残されている。「Been Down So Long」や「Crawling King Snake」はその直接性がブルースとよく合い、「L.A. Woman」では長い演奏の中でテンポと熱量が変化する面白さにつながる。技巧を見せるために長く演奏するのではなく、グルーヴを維持することで時間を引き延ばしている。

Morrisonの変化も作品を決定づけている。1967年の初期作品にあった神秘的で若い声とは違い、本作では低音が太くなり、かすれや疲労も聞こえる。それは純粋な歌唱技術という意味では荒さでもあるが、「Cars Hiss by My Window」の孤独やタイトル曲の都市生活にはむしろ適している。歌詞でも抽象的な黙示録だけでなく、道路、車、部屋、ラジオといった具体的なものが増え、神話と日常の距離が縮まった。

結果としてL.A. Womanは、The Doorsの終着点であると同時に、まだ先へ進めそうな音を持つ作品になった。発売から約3か月後にMorrisonが死去したため「Riders on the Storm」を予言的な別れとして聞きたくなるが、作品自体を死への序章だけに還元する必要はない。むしろブルースへ戻ることで演奏の自由を取り戻し、ロサンゼルスという自分たちの土地を初期とは違う目で描けるようになったアルバムである。その成熟したバンド感こそが、偶然にもMorrison在籍期最後となった本作を特別なものにしている。

おすすめアルバム

Morrison Hotel by The Doors

1970年の前作。初期のサイケデリアからブルースとR&Bへ大きく軸を戻し、L.A. Womanの生々しい演奏へ道を開いた。「Roadhouse Blues」を含め、二作の連続性が特に分かりやすい。

The Doors by The Doors

1967年のデビュー作。オルガン、ブルース、ジャズ、Morrisonの詩的な歌唱という基本形がすでに完成している。L.A. Womanと比べると、同じ要素が4年間でどれほど土臭く変化したかが見える。

Let It Bleed by The Rolling Stones

1969年作。ブルースやカントリーという米国音楽の古い形式を、退廃や暴力を含む同時代のロックへ作り替えている。伝統への回帰を後退ではなく新しい表現へ変える点で本作と共通する。

Electric Mud by Muddy Waters

1968年作。伝統的なシカゴ・ブルースへ強烈なエレクトリック・サウンドとサイケデリアを持ち込み、ブルースと当時のロックが接近した一例である。The Doorsが立っていた両者の境界を別方向から確認できる。

Déjà Vu by Crosby, Stills, Nash & Young

1970年作。音楽性はよりフォーク/カントリー寄りだが、1970年前後のロサンゼルス周辺で、アメリカ音楽のルーツと当時のロックを高度なバンド演奏へ結びつけた作品である。L.A. Womanとは異なる角度から、同時代の西海岸ロックの成熟を聞くことができる。

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