発売日: 2003年8月27日
ジャンル: インダストリアル・メタル、ポストパンク、オルタナティブ・メタル
2003年の「Killing Joke」は、バンドにとって自己再生のような作品であり、原点に立ち返りながらも新しい方向性を模索した力作である。前作「Democracy」から7年のブランクを経てリリースされた本作は、怒りと情熱が詰まったダークでヘヴィなサウンドが特徴。メタリックなギターリフと重厚なリズムセクションが支配するトラックが並び、攻撃的なインダストリアルメタルサウンドが全編にわたって展開される。プロデュースにはアンディ・ギルが参加し、さらにニルヴァーナやフー・ファイターズのドラマーであるデイヴ・グロールが全曲に参加したことで、アルバム全体にパワフルでタイトなエネルギーが漲っている。
歌詞のテーマは政治腐敗、環境破壊、戦争などの社会問題が中心であり、フロントマンのジャズ・コールマンは現代社会に対する強烈な批判をボーカルに込めている。彼のカリスマ性と、バンドの壮絶な演奏が相まって、アルバムは怒りと絶望の感情を音で具現化したかのような迫力を持つ作品に仕上がっている。バンドはここでよりヘヴィでメタリックなサウンドへと進化し、ポストパンクからインダストリアル・メタルへの変遷を力強く証明している。
トラックごとの解説
1. The Death & Resurrection Show
アルバムの幕開けを飾る代表的なトラックで、反復するギターリフと激しいビートがリスナーを圧倒する。ジャズ・コールマンの激情あふれるボーカルが響き渡り、バンドの力強いメッセージが伝わる。
2. Total Invasion
政治的メッセージを含んだ一曲で、攻撃的なギターと重低音が特徴。タイトルの通り、「侵略」や「支配」に対する怒りが歌われ、Killing Jokeの反骨精神が炸裂している。
3. Asteroid
スピード感溢れるインダストリアルメタルのトラックで、ギターリフが鋭く、ダイナミックな展開が特徴的。デイヴ・グロールのドラムが曲に爆発的なエネルギーを加えている。
4. Implant
反復的なリズムとダークなメロディが印象的な一曲。冷たいシンセサウンドが不安を煽り、テクノロジーや管理社会への批判が込められている。
5. Blood on Your Hands
ヘヴィなリフと陰鬱なボーカルが特徴のトラックで、戦争とその犠牲者への怒りが歌詞に込められている。絶望感が漂いながらも力強さが感じられるナンバー。
6. Loose Cannon
キャッチーなメロディと攻撃的なギターが融合した曲で、リズムがリスナーを引き込み、タイトルの通り「暴走する存在」を表現している。
7. You’ll Never Get to Me
アルバム中でもメロディアスな楽曲で、抑えたトーンの中に抗う意思が込められている。社会への反抗と自己主張がテーマで、感情の深さが伝わる一曲。
8. Seeing Red
パワフルなリズムとヘヴィなギターが中心のトラックで、怒りに満ちたボーカルが鮮烈。暴力的なエネルギーと反骨心が感じられる。
9. Dark Forces
重々しいサウンドが支配的なトラックで、シリアスなムードが漂う。メタリックなギターリフとダークなリリックがアルバム全体のテーマと調和している。
10. The House That Pain Built
アルバムを締めくくる壮大なトラックで、過去と痛みを乗り越えるテーマが描かれている。ギターとドラムが一体となり、重厚で感動的なエンディングを迎える。
アルバム総評
「Killing Joke (2003)」は、Killing Jokeがそのキャリアの中でメタリックかつ攻撃的なサウンドを探求した野心的な作品である。デイヴ・グロールの力強いドラムが加わることで、アルバムはこれまで以上にダイナミックで迫力に満ちたものとなり、怒りや絶望といった感情が生々しく伝わってくる。「The Death & Resurrection Show」や「Asteroid」など、強烈なインパクトを持つトラックが揃い、リスナーに対して圧倒的なインパクトを与える。Killing Jokeの社会批判的な姿勢と音楽的進化を象徴する「Killing Joke (2003)」は、バンドの新たなフェーズを開いた名盤であり、インダストリアル・メタルファンやポストパンクのファンにとって必聴の一枚である。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
With Teeth by Nine Inch Nails
ヘヴィなインダストリアルロックサウンドが特徴のアルバムで、Killing Jokeのダークでメタリックな要素が好きなリスナーにぴったり。
Songs for the Deaf by Queens of the Stone Age
デイヴ・グロールがドラムで参加したハードロックの名作。Killing Jokeのパワフルなリズムと重厚なギターサウンドが好きなリスナーにおすすめ。
Psalm 69 by Ministry
インダストリアルメタルの名盤で、Killing Jokeの攻撃的なサウンドとエネルギーが好きなファンにぴったりの作品。
The Downward Spiral by Nine Inch Nails
内省的かつ暴力的なインダストリアルロックの傑作で、Killing Jokeの暗いテーマとメタリックなサウンドが共鳴する一枚。
Angel Dust by Faith No More
オルタナティブメタルと実験的なサウンドが融合した名盤で、Killing Jokeのエッジの効いたサウンドが好きなリスナーにおすすめ。
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