アルバムレビュー：Kablammo! by Ash

アルバムレビュー

2025.03.09

発売日: 2015年5月25日
ジャンル: オルタナティヴ・ロック、パワー・ポップ

「アルバムは作らない」という宣言を破って——Ash、待望の復活作
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総評
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「アルバムは作らない」という宣言を破って——Ash、待望の復活作

2015年にリリースされたKablammo!は、Ashが2007年のTwilight of the Innocents以来、8年ぶりに発表したスタジオアルバムである。バンドは前作リリース後、「今後はシングルのみをリリースし、アルバムは作らない」と宣言していたが、最終的にその方針を覆し、フルアルバムの制作に踏み切った。

本作は、バンドの原点に立ち返り、ポップ・パンクとパワー・ポップのエネルギーを再び前面に押し出した作品となっている。前作で見せたシンフォニックなアレンジやドラマティックな要素よりも、シンプルでストレートなロックンロールが中心であり、初期の1977やFree All Angelsを彷彿とさせるキャッチーな楽曲が揃っている。

本作からは、「Cocoon」「Machinery」「Free」がシングルカットされ、バンドの健在ぶりを示した。ポップでありながらエネルギッシュなサウンドを取り戻したことで、多くのファンに歓迎された作品となった。

全曲レビュー

1. Cocoon

本作のリードシングルであり、パンク的な疾走感とキャッチーなメロディが特徴的な楽曲。わずか2分台のコンパクトな構成ながら、バンドのエネルギーを凝縮したようなトラック。

2. Let’s Ride

ミドルテンポのロックナンバーで、力強いギターリフとシンガロングしやすいコーラスが印象的。ライブ映えする一曲。

3. Machinery

エモーショナルなメロディが光る楽曲。ポップ・ロック的なアプローチが強く、シングル向けの洗練されたサウンドが特徴。

4. Free

イントロのギターアルペジオが美しく、爽快感のあるナンバー。「自由」というテーマが力強く歌われ、バンドの開放的なエネルギーを感じさせる。

5. Go! Fight! Win!

タイトル通り、アグレッシブなナンバー。ギターのリフとドラムのビートが前面に押し出されており、バンドの持つロックンロールのスピリットを体現している。

6. Moondust

本作の中でも異色の楽曲で、バラード調のスローな展開と、壮大なメロディが印象的。バンドの持つエモーショナルな側面が際立つ。

7. Evel Knievel

キャッチーなロックンロールナンバーで、シンプルなコード進行と勢いのある演奏が魅力。

8. Hedonism

パワーポップ的なアプローチが強い楽曲。80年代のニューウェーブの影響を感じさせるシンセの使い方が特徴的。

9. Bring Back the Summer

軽快なアコースティックギターと、シンガロングできるコーラスが特徴のナンバー。青春のノスタルジーを感じさせる、バンドのポップな一面が際立つ楽曲。

10. Do You Wanna Rock?

バンドのパンク・ロック精神を体現した楽曲。シンプルながらも力強いロックンロールナンバーで、ライブ向きの一曲。

11. Teenage Wildlife

アルバムを締めくくる楽曲で、青春の終焉を描くようなエモーショナルなメロディが印象的。アルバム全体を総括するような余韻を残す。

総評

Kablammo!は、Ashが「アルバムを作らない」という宣言を覆し、バンドの原点に立ち返った作品であり、ポップ・パンクとパワー・ポップの魅力をストレートに打ち出した快作である。

前作Twilight of the Innocents（2007年）がシンフォニックで壮大なサウンドを志向していたのに対し、本作ではよりシンプルでエネルギッシュなロックンロールへと回帰。特に「Cocoon」「Machinery」「Free」などの楽曲は、初期の1977やFree All Angelsを思わせるキャッチーさと勢いを持っている。

また、「Moondust」や「Bring Back the Summer」といった楽曲では、バンドのエモーショナルな側面も際立ち、単なる原点回帰にとどまらず、新たな可能性を示した。

結果的に、本作は「Ashはまだまだ現役である」ことを証明したアルバムであり、バンドの長いキャリアの中で、重要な転換点となった作品である。

初期のAshが好きなリスナーや、シンプルなロックンロールを求めるファンに最適なアルバムであり、バンドの魅力を再確認できる一枚となっている。