アルバムレビュー：Is This It by The Strokes

アルバムレビュー

2024.11.12

発売日: 2001年7月30日
ジャンル: ガレージロック、インディーロック

Is This Itは、The Strokesのデビューアルバムで、ガレージロックリバイバルの幕開けを告げた21世紀初頭の名作として知られる。本作は、粗削りで直球なサウンドとキャッチーなメロディで、ニューヨークのアンダーグラウンドシーンから一気にメインストリームへと駆け上がった。Julian Casablancasの淡々としつつも独特なボーカルと、シンプルかつエッジの効いたギターリフが印象的で、若者の退廃感と都会的なクールさが融合したサウンドが大きな魅力である。このアルバムは、メロディックなギターサウンドとシンプルなリズムにより、90年代ロックとは一線を画し、新たなロックの時代を切り開いた。

アルバムのプロデュースはGordon Raphaelが担当し、全体的にローファイな質感が漂っており、バンドの生々しいエネルギーとクールな雰囲気を引き出している。Is This Itは、瞬く間に多くのファンを獲得し、リリースから20年以上経った今も色褪せることなく、ロックシーンに影響を与え続けている。このアルバムをきっかけに、The Strokesはガレージロックシーンの象徴的存在となり、他のバンドにも大きな影響を与えた。

トラックごとの解説

1. Is This It
アルバムのタイトル曲で、シンプルでありながらどこか憂いを感じさせる一曲。ベースラインが心地よく、無機質なボーカルが都会的な冷たさを漂わせている。

2. The Modern Age
アップテンポでエネルギッシュなナンバー。鋭いギターリフと軽快なビートが、バンドの若々しいエネルギーを感じさせる。

3. Soma
冷たく、淡々としたサウンドが特徴で、虚無感とリズムの疾走感が絶妙に融合している。退廃的でありながらも心地よいメロディが耳に残る。

4. Barely Legal
キャッチーなギターリフとエネルギッシュなビートが特徴の楽曲。青春の不安と期待が入り混じった歌詞が、若者のリアルな感情を表現している。

5. Someday
軽快なリズムとシンプルなギターサウンドが特徴のポップな楽曲。失恋や友情への想いが歌われており、ノスタルジックな雰囲気が漂う。

6. Alone, Together
重厚でダークなトーンが漂う一曲。哀愁漂うメロディと疾走感があり、The Strokesのエモーショナルな側面が見える。

7. Last Nite
バンドの代表曲で、ダンサブルなビートとキャッチーなギターリフが印象的なナンバー。パーティー感と失望が交錯する歌詞とメロディが中毒性を持っている。

8. Hard to Explain
エレクトロ風のリズムと独特のメロディが心地よい楽曲で、Julian Casablancasの冷めたボーカルが楽曲を引き締めている。混乱や葛藤をテーマにした歌詞が特徴。

9. New York City Cops
ニューヨークに対する皮肉が込められたアップテンポのトラック。ギターリフとエネルギッシュなビートが展開され、ライブでの人気曲。

10. Trying Your Luck
感傷的なメロディが印象的で、切ない恋愛や失望をテーマにした歌詞が心に響く。緩やかなビートとギターが美しいコントラストを生む。

11. Take It or Leave It
アルバムを締めくくるエネルギッシュなトラックで、バンドの個性が詰まった一曲。挑発的な歌詞と疾走感のあるメロディが心地よく響く。

アルバム総評

Is This Itは、シンプルでありながらも深い情感が詰まったアルバムで、若者の無気力感や都会生活のクールさを表現した傑作である。The Strokesはこのデビュー作で、ニューヨークのアンダーグラウンドシーンから一躍注目を浴び、ガレージロックリバイバルの先駆者として知られるようになった。アルバム全体を通して、ローファイなサウンドとシンプルなビートが、バンドの持つエネルギーと独特のムードを引き立てている。バンドの代表曲「Last Nite」や「Someday」など、青春の憂いと歓びを感じさせるトラックが揃い、ロックのクラシックとして多くのリスナーに愛され続ける一枚である。