アルバムレビュー：Indigo by Chris Brown

発売日: 2019年6月28日
ジャンル: R&B、ポップ、ヒップホップ、エレクトロポップ

壮大なボリュームで魅せるChris Brownの音楽的集大成

2019年、Chris Brownは9thアルバムIndigoをリリースし、全32曲という圧倒的なボリュームで彼の音楽的な多様性を存分に発揮した。本作は、2017年のHeartbreak on a Full Moon（45曲収録）に続く超大作であり、R&B、ポップ、ヒップホップ、ダンスミュージックの要素を織り交ぜながら、Chris Brownのヴォーカルとプロダクションの進化を示す作品となっている。

本作からは、「No Guidance（feat. Drake）」「Undecided」「Heat（feat. Gunna）」といったヒット曲が生まれ、特に「No Guidance」はBillboard Hot 100でトップ5にランクインし、Chris Brownのキャリアの中でも特に成功した楽曲の一つとなった。また、Drakeとのコラボは、両者の長年の確執を終結させた象徴的な瞬間としても注目された。

全体として、アルバムはChris Brownの得意とするエネルギッシュなダンストラックから、メロウなR&Bバラード、そしてヒップホップ寄りの楽曲まで、多彩なスタイルが融合した作品となっている。

全曲レビュー

1. Indigo

アルバムのタイトル曲。幻想的なシンセとメロディアスなヴォーカルが印象的なオープニングナンバー。

2. Back to Love

Michael Jacksonを彷彿とさせるダンスナンバー。ポジティブなメッセージが込められている。

3. Come Together (feat. H.E.R.)

H.E.R.とのコラボによるスムーズなR&Bトラック。洗練されたサウンドが魅力的。

4. Temporary Lover (feat. Lil Jon)

アップテンポのクラブ向け楽曲。Lil Jonのエネルギッシュなフックが特徴的。

5. Emerald / Burgundy (feat. Juvenile & Juicy J)

2つのパートからなるトラック。前半はダークなヒップホップ、後半はメロウなR&Bに展開する。

6. Red

ミッドテンポのR&Bナンバー。ロマンティックな雰囲気が漂う。

7. All I Want (feat. Tyga)

Tygaとの再コラボによるパーティーチューン。サマーアンセムとしても楽しめる。

8. Wobble Up (feat. Nicki Minaj & G-Eazy)

クラブ向けのバウンシーなトラック。Nicki MinajとG-Eazyのバースが楽曲に華を添える。

9. Need a Stack (feat. Lil Wayne & Joyner Lucas)

ヒップホップ色の強い楽曲。Lil WayneとJoyner Lucasのラップが存在感を放つ。

10. Heat (feat. Gunna)

R&Bとトラップの融合が光る楽曲。Gunnaのフロウが加わり、スムーズな仕上がりに。

11. No Guidance (feat. Drake)

アルバムの最大のヒット曲。Drakeとのコラボが話題となり、メロウなビートと印象的なフックが特徴的な一曲。

12. Girl of My Dreams

甘くロマンティックなR&Bトラック。

13. Natural Disaster / Aura

2部構成の実験的な楽曲。前半はエレクトロポップ調、後半はメロウなR&Bバラードへと展開。

14. Don’t Check on Me (feat. Justin Bieber & Ink)

Justin Bieberとの感傷的なR&Bバラード。

15. Sorry Enough

エモーショナルなメロディが際立つバラード。

16. Juice

軽快なビートが心地よいアップテンポのR&Bナンバー。

17. You Like That

ミッドテンポのグルーヴィーな楽曲。

18. Troubled Waters

クラシックなR&Bテイストが特徴的なスローナンバー。

19. Take a Risk

トラップとR&Bを融合させたモダンな楽曲。

20. Lurkin’ (feat. Tory Lanez)

Tory Lanezを迎えたヒップホップ色の強い楽曲。

21. Trust Issues / Act In

R&Bバラードとアップテンポなトラックの2部構成。

22. Cheetah

ダンスフロア向けのエネルギッシュな楽曲。

23. Undecided

感情的なメロディが特徴のR&Bポップナンバー。

24. BP / No Judgement

スムーズなR&Bサウンドと、ポップ寄りのフックが融合した楽曲。

25. Side Nigga

大胆なテーマを扱ったヒップホップ寄りの楽曲。

26. Throw It Back

ミディアムテンポのクラブ向けトラック。

27. All on Me

バラードとダンストラックの中間的なサウンドが特徴。

28. Sexy

エネルギッシュなダンストラック。

29. Early 2K (feat. Tank)

2000年代R&Bへのオマージュを込めた楽曲。

30. Dear God

アルバムの締めくくりとなるスピリチュアルなメッセージが込められた楽曲。

総評

Indigoは、Chris Brownの音楽的な成熟と進化を示したアルバムであり、R&B、ヒップホップ、ポップ、エレクトロといった多様なジャンルを取り入れた作品となっている。特に、「No Guidance」はキャリアを代表するヒット曲の一つとなり、アルバムの中でもハイライトとなっている。

一方で、全32曲という長さは賛否が分かれる要素でもあり、全曲を通して聴くのはやや負担になるかもしれない。しかし、それぞれの楽曲が独自のスタイルを持っており、プレイリスト感覚で楽しめるのも本作の特徴だ。Chris Brownのファンにとっては、多彩なサウンドを堪能できる贅沢な一枚となっている。

アルバムレビュー：Indigo by Chris Brown

壮大なボリュームで魅せるChris Brownの音楽的集大成