1. 歌詞の概要
“I Feel the Earth Move” は、Carole King の 1971 年の名盤『Tapestry』に収録された楽曲の一つであり、アルバムの冒頭を飾るエネルギッシュなピアノロックナンバーです。この曲は、恋愛の高揚感をダイナミックな比喩を使って表現した歌詞が特徴で、「地面が揺れるほどの愛の感覚」をテーマにしています。
この楽曲の大きな魅力は、Carole King の力強いピアノの演奏と、ソウルフルなボーカルです。アルバム『Tapestry』には、”It’s Too Late” や “You’ve Got a Friend” などの穏やかで内省的な曲も含まれていますが、“I Feel the Earth Move” はそれらとは対照的に、情熱的でリズミカルな楽曲となっています。アップテンポな曲調と熱のこもった歌唱は、恋に落ちたときの興奮とエネルギーを見事に表現しています。
この曲は、『Tapestry』からのシングルとして “It’s Too Late” の A面とダブルA面シングルとしてリリースされました。結果的に “It’s Too Late” が Billboard Hot 100 で 1 位を獲得する大ヒットとなりましたが、“I Feel the Earth Move” もラジオで頻繁に流され、1970年代を代表する楽曲の一つとして知られるようになりました。
2. 歌詞のバックグラウンド
この曲の歌詞は、Carole King 自身の個人的な恋愛経験や感情をもとに書かれたと言われています。曲の中で描かれているのは、恋愛の初期に感じる圧倒的な興奮と熱情であり、それを「地面が揺れる」という大胆な比喩で表現しています。
音楽的には、ソウルやリズム＆ブルース（R&B）の影響を強く受けたピアノ主導のロックサウンドが特徴です。Carole King はもともと Brill Building（ニューヨークの有名なソングライターたちが集まる音楽スタジオ）の作曲家として活動しており、数々のヒット曲を生み出してきましたが、この曲では彼女のルーツである R&B の要素が強く表れています。
また、この楽曲の力強いピアノ演奏は、Carole King の卓越したミュージシャンとしての才能を示すものでもあります。彼女はもともとピアニストとしてキャリアをスタートさせており、”I Feel the Earth Move” のドライブ感あふれるピアノリフは、この曲の魅力を際立たせる重要な要素となっています。
3. 歌詞の抜粋と和訳
以下は、楽曲の印象的な部分の歌詞とその和訳です。
歌詞抜粋（英語）
I feel the earth move under my feet
I feel the sky tumbling down
I feel my heart start to trembling
Whenever you’re around
和訳（日本語）
足元の地面が揺れるのを感じる
空が崩れ落ちるのを感じる
心が震え始める
あなたがそばにいるだけで
この歌詞では、恋に落ちたときの感情が自然現象になぞらえられています。愛の力があまりに強く、物理的な現象として「地震」のように感じられるという表現は、非常にダイナミックで視覚的なイメージを持っています。
歌詞抜粋（英語）
Oh baby, when I see your face
Mellow as the month of May
Oh darling, I can’t stand it
When you look at me that way
和訳（日本語）
ベイビー、あなたの顔を見ると
5月の陽気のように穏やかで
でも、その目で見つめられると
もう耐えられない
ここでは、恋愛のときめきがストレートに表現されています。「5月の陽気のように穏やか」という表現は、相手の存在が心を落ち着かせる一方で、その視線には抗えないほどの魅力を感じていることを示しています。
4. 歌詞の考察
“I Feel the Earth Move” は、恋愛の感情を力強く、かつ情熱的に表現した楽曲です。多くのラブソングが愛の切なさや失恋をテーマにする中で、この曲は純粋な恋の喜びや熱情を前面に押し出しています。
歌詞における「地震（earth move）」「空が崩れる（sky tumbling down）」という表現は、恋愛の強烈なインパクトを示しており、これは従来のラブソングにはあまり見られないユニークな比喩表現です。特に、恋愛が始まったばかりの高揚感を、単に「嬉しい」と表現するのではなく、自然災害のように圧倒的なものとして描いている点が斬新です。
また、Carole King のボーカルスタイルも、この楽曲の持つ感情を増幅させています。他の『Tapestry』の楽曲では穏やかでメロウな歌唱が多い中、この曲では彼女のパワフルな声が際立ち、まるで本当に感情が爆発しているかのような力強い表現がされています。
5. この曲が好きな人におすすめの曲
“I Feel the Earth Move” のように、エネルギッシュなピアノをフィーチャーした楽曲や、恋愛の興奮を表現した楽曲をいくつか紹介します。
- “Piano Man” by Billy Joel
- Carole King と同じく、ピアノをメインにした楽曲の代表的な一曲。Billy Joel のストーリーテリングとメロディが秀逸。
- “Respect” by Aretha Franklin
- ソウルフルで力強いボーカルが特徴的な楽曲。恋愛や女性の自立をテーマにした、エネルギッシュなナンバー。
- “Piece of My Heart” by Janis Joplin
- 恋愛の激しい感情を爆発的に表現した曲。Carole King のソウルフルな要素に通じるものがある。
- “Tapestry” by Carole King
- アルバムタイトル曲であり、“I Feel the Earth Move” とは対照的に静かでメロウな雰囲気の楽曲。
6. 『Tapestry』の成功と影響
『Tapestry』は、1971年にリリースされ、Billboard 200 で 15 週連続 1 位を記録し、女性アーティストとしての地位を確立しました。このアルバムは、シンガーソングライターというジャンルを確立する上で大きな役割を果たし、今なお多くのミュージシャンに影響を与えています。
“I Feel the Earth Move” は、その中でも特にエネルギッシュで情熱的な楽曲であり、Carole King の才能と多様な音楽性を象徴する一曲と言えるでしょう。
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