
発売日: 2020年8月13日
ジャンル: インディー・フォーク、シンガーソングライター、アコースティック
静かに心を揺さぶるエモーショナルなデビューアルバム
Lizzy McAlpineのデビューアルバムGive Me a Minuteは、彼女のソングライターとしての才能と、繊細でエモーショナルなボーカルが際立つ作品である。アコースティックギターを基調としながらも、ジャズ、ポップ、フォークといった多様な影響を取り入れ、シンプルながらも深い世界観を作り上げている。
このアルバムの魅力は、リスナーの心の奥深くに響く歌詞と、親密で温かみのあるサウンドにある。恋愛の喜びや喪失、成長、内省といったテーマが、Lizzyの柔らかくも芯のある歌声と共に丁寧に紡がれている。本作は、彼女が学生時代に書き溜めた楽曲をもとに制作されており、リリース当初はインディー・シーンで注目を集めるにとどまっていたが、口コミやSNSを通じて次第に人気を拡大。のちにリリースされるFive Seconds Flat(2022年)へと続くキャリアの礎を築いた作品となった。
全曲レビュー
- Give Me a Minute
- アルバムの幕開けを飾る静かで美しい楽曲。
- シンプルなピアノとギターが、Lizzyの繊細なボーカルを引き立てる。
- 別れとその余韻を描いた歌詞が印象的。
- Nothing / Sad N Stuff
- 柔らかなアコースティックサウンドに乗せて、淡い悲しみを描く。
- シンプルながらも詩的な歌詞が、Lizzyのソングライティングのセンスを際立たせる。
- Over-the-Ocean Call (Andrew)
- 遠距離恋愛をテーマにしたエモーショナルな楽曲。
- ギターとピアノのバランスが絶妙で、感傷的な雰囲気を醸し出す。
- I Knew
- 軽やかなメロディと温かみのあるアレンジが特徴的な楽曲。
- 切ないながらも心に優しく響くサウンドが魅力。
- Where Do I Go?
- 静かに問いかけるような楽曲で、アルバムの中でも特に内省的な一曲。
- ミニマルな楽器編成が、Lizzyの歌声の感情表現を際立たせる。
- Apple Pie
- 本作のハイライトのひとつで、ホームシックや居場所を求める気持ちを描いた楽曲。
- 温かみのあるメロディが、リスナーの心に深く響く。
- Pancakes for Dinner
- 親密な雰囲気を持つラブソング。
- まるで手紙のような歌詞が、Lizzyのパーソナルな世界観を伝える。
- Same Boat
- ジャズの要素を取り入れたグルーヴィーな楽曲。
- 軽快なリズムが、アルバムの流れにアクセントを加えている。
- Means Something
- 静かに語りかけるようなバラードで、切ないメロディが印象的。
- 恋愛の余韻を丁寧に描いている。
- To the Mountains
- 美しいストリングスが印象的な楽曲で、自然とのつながりをテーマにしている。
- 伸びやかなボーカルが、広がりのあるサウンドを生み出している。
- Celebrate
- 優しいピアノとギターがメインのシンプルな楽曲。
- 幸せな瞬間の尊さを歌ったリリカルな内容。
- Headstones and Land Mines
- ややダークなトーンの楽曲で、アルバムの中でも異色の存在。
- 詩的な表現と深い意味を持つ歌詞が特徴的。
- Orange Show Speedway
- アルバムを締めくくる楽曲で、静かに終わるエンディングが印象的。
- 余韻を残すメロディと感情的な歌詞が、Lizzyの世界観を象徴する。
総評
Give Me a Minuteは、Lizzy McAlpineのソングライターとしての才能と、繊細な感情表現が詰まったアルバムである。シンプルながらも深い歌詞、親密な雰囲気、ジャズやフォークの要素を取り入れた温かみのあるサウンドが魅力的で、聴く者の心に静かに寄り添うような作品となっている。
特に「Apple Pie」や「Pancakes for Dinner」は、彼女の音楽の特徴を象徴する楽曲であり、彼女の持つナチュラルな魅力が存分に発揮されている。派手なアレンジやプロダクションに頼らず、シンプルな楽器とLizzyの歌声だけでこれほどの深みを表現できるのは、彼女の才能の証明だろう。
リスナーにとっては、静かな夜にじっくりと聴きたくなるような作品であり、エモーショナルで内省的な音楽を好む人には特におすすめできるアルバムである。
おすすめアルバム
- Phoebe Bridgers – Stranger in the Alps (2017)
- インディー・フォークの繊細な世界観が好きな人にぴったりの作品。Lizzyのスタイルと共通する部分が多い。
- Clairo – Sling (2021)
- ミニマルでフォーキーなサウンドと、ナチュラルな歌声が魅力的なアルバム。Lizzy McAlpineの音楽と親和性が高い。
- Noah Kahan – Stick Season (2022)
- フォークの要素が強く、物語性のある歌詞が特徴的。Lizzyの「Apple Pie」などが好きならおすすめ。
- Taylor Swift – Folklore (2020)
- シンガーソングライターとしての深みと、穏やかなサウンドが楽しめる。Lizzyの音楽と似た感覚を味わえるアルバム。
- Maggie Rogers – Heard It in a Past Life (2019)
- シンセポップとフォークの要素が融合した作品で、Lizzy McAlpineのポップな側面に共鳴する楽曲が多い。
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- シンセポップとフォークの要素が融合した作品で、Lizzy McAlpineのポップな側面に共鳴する楽曲が多い。
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