Get the Party Started by P!nk(2001)楽曲解説

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1. 歌詞の概要

「Get the Party Started」は、P!nkが2001年にリリースした2作目のアルバム『Missundaztood』からのリード・シングルで、彼女のキャリアを大きく転換させたヒット曲のひとつです。従来のR&B寄りのイメージから脱却し、よりエッジの効いたポップ・ロック/ダンス・ポップの方向性を打ち出したこの曲は、タイトル通り、パーティーの幕開けを高らかに宣言するエネルギッシュなアンセムとなっています。

歌詞はシンプルでキャッチーながらも、自己主張に満ちた内容で構成されています。「私はこれから夜を始めるわよ、誰よりも派手に、誰にも止められない!」というP!nkらしい強気なメッセージが、リスナーを巻き込むように勢いよく展開されていきます。単なるクラブソングではなく、“自分らしく自由に生きること”への賛歌として機能しており、聴く人を解放的な気分へと誘うパワーに満ちた楽曲です。

2. 歌詞のバックグラウンド

この曲はP!nk自身ではなく、元Eurythmicsのアニー・レノックスとデイヴ・スチュワートの娘であり、シンガーソングライターとしても活躍するLinda Perryによって書かれました。Lindaはこの曲を半ば冗談のように作ったと語っており、自分では軽すぎてあまり意味がないと感じていたそうですが、P!nkがこの曲を聴いた瞬間、「これが私の新しい始まりだ」と直感的に感じたと後に述べています。

Missundaztood』は、P!nkがそれまでのレーベル主導のR&Bポップから自らの表現を取り戻そうとしたアルバムであり、その冒頭を飾る「Get the Party Started」は、P!nkP!nkらしくなる”第一歩としての象徴的な意味を持っています。

また、ミュージックビデオでは、P!nkが自宅からパーティーに出かけるまでの様子がユーモラスかつエネルギッシュに描かれており、社会のルールや型にはまらない自由なキャラクター像が強く印象付けられました。

3. 歌詞の抜粋と和訳

引用元:Musixmatch – P!nk / Get the Party Started

“I’m comin’ up so you better get this party started”
「私が来るわよ、だからパーティーの準備を始めなさい!」

“Pumping up the volume, breaking down to the beat”
「音量を上げて、ビートに身を任せて踊るの」

“Cruisin’ through the west side, we’ll be checkin’ the scene”
「ウエストサイドを流して、シーンをチェックしに行くの」

“I’m comin’ up, so you better / You better get this party started”
「私が現れるから、早く始めなさい/最高の夜を始めなきゃ!」

繰り返されるこのキャッチーなフレーズは、P!nk自身の登場を高らかに宣言するとともに、聴く者に対しても“準備はいい?”と挑発的に呼びかける力を持っています。

4. 歌詞の考察

「Get the Party Started」は、歌詞そのものが一つの“自己宣言”です。それは単に「パーティーで盛り上がる」という意味ではなく、「自分の人生の主役になること」への意志表示であり、自由と自己表現を求めるP!nkの姿勢がそのまま詰め込まれています。

彼女はこの曲で、他人の評価や社会の期待に縛られず、自分らしいスタイルで自分の物語を始めようとしています。その意味では、これは「夜の始まり」ではなく、「新しい自分の始まり」の象徴でもあるのです。

また、女性の自己肯定やセクシュアリティの肯定、他者からの目線に縛られないダンスフロアの自由さといった要素も、この曲には内包されています。それは、LGBTQ+コミュニティや若い女性たちにとって、“生きづらい世界で自分を肯定する”ためのエネルギーを与えてくれる存在でもあります。

5. この曲が好きな人におすすめの曲

  • Tik Tok” by Kesha
     自由奔放に夜を楽しむ女性の姿を描いたパーティー・アンセム。

  • “Raise Your Glass” by P!nk
     社会の“はみ出し者”へのエールを送る、P!nkのもう一つの祝祭ソング。

  • Just Dance” by Lady Gaga
     何も考えず踊りに没頭することで、自分を解放するメッセージを持つ曲。

  • Can’t Stop the Feeling!” by Justin Timberlake
     ポジティブな気分を前面に出したダンス・ポップ。

  • “Last Friday Night (T.G.I.F.)” by Katy Perry
     破天荒な夜とその後悔(でもやっぱり楽しい)を描いたパーティーソング。

6. 自由へのプロローグ――“私は私”を宣言した夜

「Get the Party Started」は、単なるパーティー・ソングとしての役割を超え、P!nkが自らの音楽人生において新たなフェーズへ突入したことを告げるプロローグです。それまでのイメージを一新し、“型破り”で“飾らない”キャラクターを前面に出すことで、彼女は一気に自分の道を切り開いていきました。

そしてその“始まり”は、今なお彼女のライブやベストアルバムの中核に据えられ、誰かの始まりにも寄り添う楽曲として、20年以上愛され続けています。


「Get the Party Started」は、夜を始める号砲であると同時に、人生を再スタートさせるための自己解放の合図。P!nkが“自分らしさ”を武器に歩き出したその一歩は、誰かにとっての“自由の入口”にもなり得る。

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