Game of Pricks by Guided by Voices(1995)楽曲解説

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1. 歌詞の概要

Game of Pricks」は、アメリカのインディーロックバンド**Guided by Voices(GBV)**が1995年にリリースしたアルバム『Alien Lanes』に収録された楽曲です。わずか1分33秒という短さながら、強烈なインパクトを残すガレージロックの名曲であり、GBVの代表曲のひとつとして広く認知されています。

歌詞の内容は、自己主張の強い相手との対立や、何かに抑圧されながらも反抗しようとする感情を描いているように解釈できます。「Game of Pricks(嫌な奴らのゲーム)」というタイトルが示すように、人間関係の駆け引きや、権力を持つ者に対する皮肉を込めた楽曲とも取れます。

サウンドは、GBVの特徴であるローファイな録音と、シンプルながらエネルギッシュなギターリフ、そしてキャッチーなメロディが絶妙に組み合わさり、短いながらも強烈な印象を残す楽曲となっています。

2. 歌詞のバックグラウンド

Guided by Voicesは、1980年代から活動を続けるオハイオ州デイトン出身のインディーロックバンドで、1990年代のローファイ・ロックの代表的なバンドとして知られています。バンドの中心人物である**ロバート・ポラード(Robert Pollard)**は、非常に多作なソングライターであり、GBVの楽曲は短く、エネルギッシュで、時に抽象的な歌詞を持つことが特徴です。

「Game of Pricks」は、アルバム『Alien Lanes』に収録された曲の中でも特に人気が高く、シングルとしてもリリースされました。1995年には、より洗練されたバージョンが再録され、メジャーレーベルのMatador Recordsからリリースされましたが、オリジナルのローファイなバージョンの方が、ファンの間ではより評価が高いとされています。

この曲の持つシンプルながらも力強いメロディと歌詞の鋭さは、多くのインディーロックバンドに影響を与え、GBVの音楽スタイルを象徴する楽曲のひとつとして語り継がれています。

3. 歌詞の抜粋と和訳

以下に「Game of Pricks」の歌詞の一部を抜粋し、日本語訳を添えます。

原文:

I’ve waited too long to have you hide in the back of me
I’ve cheated so long, I wonder how you keep track of me

和訳:

俺は長い間待ちすぎた
それなのに 君は俺の背後に隠れたままだ
俺はずっと誤魔化し続けてきた
でも君はどうやって俺のことを追いかけ続けるんだろうな


原文:

And you can never be strong
You can only be free

和訳:

君は強くなることはできない
ただ自由でいるだけだ


原文:

And I never asked for the truth
But you owe that to me

和訳:

俺は真実を求めたことはないけど
それでも君は 俺にそれを返さなきゃならない


原文:

I can’t afford to be stored
And I’m not even sure
If the people I’ve ignored
Are the ones I’ve adored

和訳:

俺は閉じ込められてる余裕なんてない
それに そもそも分からないんだ
俺が無視してきた人々が
実は 俺が愛してきた人々だったのかもしれない

歌詞の完全版は こちら で確認できます。

4. 歌詞の考察

「Game of Pricks」の歌詞は、直接的なストーリーを持つものではなく、断片的なフレーズが積み重ねられた抽象的な構成になっています。しかし、その中には、人間関係の複雑さや、自己主張のぶつかり合いといったテーマが浮かび上がってきます。

「And you can never be strong, you can only be free(君は強くなることはできない、ただ自由でいるだけだ)」というラインは、自由と強さの違いについての示唆であり、何かに抗うことと、ただ受け流すことの対比を描いているようにも取れます。

また、「I can’t afford to be stored, and I’m not even sure, if the people I’ve ignored, are the ones I’ve adored(俺は閉じ込められてる余裕なんてない それに そもそも分からないんだ 俺が無視してきた人々が 実は 俺が愛してきた人々だったのかもしれない)」というフレーズは、自己矛盾や後悔を示唆する詩的な表現となっています。これは、GBVの歌詞に見られる典型的な抽象性であり、聴き手によってさまざまな解釈が可能です。

音楽的には、シンプルなギターチョップと疾走感のあるビートが特徴で、短い楽曲ながらも感情の爆発力を持つ名曲として仕上がっています。

5. この曲が好きな人におすすめの曲

  • I Am a Scientist” by Guided by Voices
    同じく哲学的な歌詞とキャッチーなメロディが特徴のGBVの代表曲。

  • Cut Your Hair” by Pavement
    90年代インディーロックを象徴する楽曲で、GBVと同じローファイなエネルギーを持つ。
  • Debaser” by Pixies
    シンプルなリフとエネルギッシュなボーカルが共通するクラシック。

  • “Web in Front” by Archers of Loaf
    同じく短くて力強いインディーロックの名曲。

6. 「Game of Pricks」の影響と評価

「Game of Pricks」は、Guided by Voicesの楽曲の中でも特に人気が高く、インディーロック史において重要な楽曲のひとつです。アルバム『Alien Lanes』は、GBVの名盤として知られていますが、その中でもこの曲は特にライブでの定番曲となっています。

また、シンプルなギターリフと短い楽曲の中に凝縮された感情の爆発力が、後のインディーバンドに大きな影響を与えたことも見逃せません。GBVの楽曲の多くは、短くても強い印象を残すという特徴を持っていますが、「Game of Pricks」はその中でも特に優れた例です。

「Game of Pricks」は、90年代ローファイ・ロックのエネルギーと哲学的な歌詞を融合させた、Guided by Voicesの最高傑作のひとつであり、今なお多くのリスナーに愛され続ける名曲です。

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