アルバムレビュー:Fifth Harmony by Fifth Harmony

発売日: 2017年8月25日
ジャンル: ポップ、R&B、ダンスポップ


グループの新たなフェーズ—4人体制での再出発を示したFifth Harmony

2017年にリリースされたFifth Harmonyは、同名のセルフタイトルアルバムであり、Camila Cabello脱退後、4人体制となったFifth Harmonyの初のスタジオアルバムである。本作では、よりR&B色が強まり、ポップ要素を抑えた洗練されたサウンドにシフト。また、グループとしてのクリエイティブなコントロールが増え、メンバー自身がソングライティングやプロデュースに関わるなど、アーティストとしての成長が感じられる作品となっている。

シングル「Down」「He Like That」「Angel」などがリリースされ、彼女たちの音楽性がより洗練されたことを示した。また、アルバム全体を通して、自己肯定、恋愛、女性のエンパワーメントといったテーマが中心に据えられている

プロデューサー陣には、The Stereotypes、Monsters & Strangerz、Poo Bearなどが参加し、よりオルタナティブR&Bやトラップビートを取り入れたモダンなサウンドへと進化している


全曲レビュー

1. Down (feat. Gucci Mane)

アルバムのリードシングルであり、ミニマルなトラップビートとR&Bの要素が融合したダークなサウンドが特徴的。Gucci Maneのラップが楽曲にスパイスを加えている。

2. He Like That

セクシーな雰囲気を持つR&Bポップナンバー。ビートのグルーヴ感とメンバーのボーカルの掛け合いが心地よい楽曲

3. Sauced Up

軽快なトラックとキャッチーなコーラスが特徴的な楽曲。遊び心のあるリリックと、リズミカルなビートが魅力

4. Make You Mad

エレクトロポップとR&Bが融合した楽曲で、タイトルの通り、挑発的な雰囲気が漂う

5. Deliver

本作の中でも特にR&B色が強い楽曲。90年代のR&Bを彷彿とさせるスムーズなメロディと、メンバーの洗練されたボーカルが映える

6. Lonely Night

クールなビートとシンプルなプロダクションが特徴の楽曲。「ひとりの夜なんて必要ない」と歌う、強い女性のメッセージが込められている

7. Don’t Say You Love Me

アルバムのバラードトラックで、切ない恋愛の終わりを描いた感動的な楽曲。メンバーの感情的なボーカルが印象的。

8. Angel

ヘヴィなビートとエレクトロニックなアレンジが特徴の楽曲で、グループの新たな方向性を象徴する一曲。ダークでミステリアスな雰囲気が漂う。

9. Messy

シンプルなギターアレンジを基調とした楽曲で、メンバーのボーカルがより際立つバラード。歌詞は「完璧じゃないけど、それが私」という自己肯定をテーマにしている。

10. Bridges

アルバムを締めくくる楽曲で、団結と希望をテーマにしたメッセージ性の強い楽曲。セルフタイトルアルバムにふさわしい、グループとしての意志を感じさせるトラック。


総評

Fifth Harmonyは、グループとしてのアイデンティティを確立し、よりR&B寄りの音楽性へと進化した作品である。Camila Cabelloの脱退後、4人体制となったFifth Harmonyがどのように新しい方向性を見出すかを示した重要なアルバムでもある。

本作では、「Down」「He Like That」「Deliver」などの楽曲で、ダークでムーディーなR&Bとモダンなトラップビートを組み合わせた洗練されたサウンドが際立つ。また、「Don’t Say You Love Me」や「Messy」では、メンバーのボーカルの成長が感じられ、より感情的な表現が加わっている

本作の魅力は、メンバー自身がソングライティングやプロダクションに関わることで、より彼女たちの個性が反映された楽曲が多い点。一方で、グループとしての統一感や、ヒット曲のインパクトが前作ほど強くないという評価もある

本作を最後にグループは活動休止を発表し、各メンバーはソロ活動へと移行したため、Fifth Harmonyとしての集大成とも言えるアルバムとなった。


おすすめアルバム

  • Fifth Harmony7/27 (2016)
    • Work from Home」などのヒット曲を収録し、グループのピークを象徴するアルバム。
  • Camila CabelloCamila (2018)
    • 元メンバーCamila Cabelloのソロデビューアルバムで、よりラテンポップ寄りの作品。
  • Little MixLM5 (2018)
    • ガールグループとしての自己表現とエンパワーメントを強く打ち出した作品。
  • Destiny’s ChildDestiny Fulfilled (2004)
    • 90年代R&Bと現代ポップを融合させた、ガールグループの成熟したアルバム。
  • Tinashe – Songs for You (2019)
    • R&Bとエレクトロポップの融合が特徴的で、Fifth Harmonyの音楽性と共通点が多い。
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