
発売日: 1981年4月29日
ジャンル: ハードロック、ヘヴィメタル、オルタナティブ・ロック的要素
概要
『Fair Warning』は、Van Halen が1981年に発表した4thアルバムであり、
“最もダークで、最も攻撃的で、最も深い”
と言われる バンド史上最も異色の問題作 である。
前作『Women and Children First』(1980)で荒削りな攻撃性を見せたバンドは、
ここでさらに深く、鬱屈としたエネルギーへと潜り込んでいく。
この背景には、
- Eddie Van Halen がより自由な表現を求めていた
- Ted Templeman の商業的志向との摩擦
- Roth と Eddie の方向性の違い
- バンド内部の緊張感
などが重なっていた。
その結果、Eddie は本作で
最も創造的で、最も怒りに満ち、最も革新的 なギターワークを披露する。
リフは鋭く、コード進行は暗く、ソロは破壊的で、音色は冷たく攻撃的。
明るくパーティ色の強かった初期 Van Halen の中で、
本作だけは
“暗い路地裏の空気”
“焦燥感”
“抑圧された衝動”
が支配している。
そのため当時は賛否が分かれたが、
現在では
ギタリスト寄りの評価が最も高いアルバム
として愛されている。
全曲レビュー
1曲目:Mean Street
イントロのタッピング+スラップ奏法が歴史的。
Eddie の革新性が一瞬で伝わる名演であり、
アルバム全体のダークなトーンを象徴する。
2曲目:Dirty Movies
セクシャルで退廃的な空気。
スライドギターの泣きと、Roth の危うい語りが絶妙に絡む。
3曲目:Sinner’s Swing!
高速かつアグレッシブ。
Eddie のリフは“切り裂くような”鋭さで、
Alex のドラムと完璧に噛み合う。
4曲目:Hear About It Later
ミッドテンポの叙情的ハードロック。
ダークな中にも、Van Halen 本来のポップ性がほのかに覗く佳曲。
5曲目:Unchained
本作の代表曲であり、バンド屈指の名曲。
あの“ドロップDリフ”がとにかく強烈。
Eddie の重量感 × Alex のスネア × Michael Anthony のコーラスが完璧。
ライブでも常にハイライト。
6曲目:Push Comes to Shove
レゲエ的なニュアンスを含む異色曲。
退廃的で気だるく、Roth の艶っぽさが際立つ。
7曲目:So This Is Love?
本作では“珍しい晴れ間”。
ちょっと明るめだが、どこか影が残るメロディが絶妙。
8曲目:Sunday Afternoon in the Park
不穏でダークなシンセインスト。
Eddie の陰の部分がもっとも露骨に出た曲。
次曲への橋渡し。
9曲目:One Foot Out the Door
わずか1分足らずの短編。
暴走気味のテンションでアルバムが終わる。
総評
『Fair Warning』は、
Van Halen の“裏の顔”を極限まで追求したアルバム
である。
その特徴は以下の通り。
- Eddie Van Halen の最もヘヴィで暗いギタートーン
- ひねくれたコードワーク、攻撃的なリフ
- Roth のボーカルにも影が差し、色気よりも怨念が強い
- 全体として閉塞感がある
- しかし演奏は尋常ではないキレ味
ある意味、初期 Van Halen のどのアルバムよりも
“アーティスティックで挑戦的”
な作品であり、
最も “ギタリストに愛される Van Halen” がここにある。
商業的には控えめだったが、
バンド史の中では
評価の逆転 が起きたアルバムで、
今では
“Van Halen の最高傑作”
と語るファンすら多い。
おすすめアルバム(5枚)
- Women and Children First (1980)
本作への橋渡しとなる、荒々しい前作。 - 1984 (1984)
本作のダークさとは逆に、明るくシンセ主体の大ヒット作。比較が面白い。 - Van Halen (1978)
革新性の原点。『Fair Warning』の異質さが理解しやすい。 - Balance (1995)
サミー期で最もダークな作品。意外な共通点が多い。 - Diver Down (1982)
本作の直後の“軽さ”を持つアルバム。振れ幅を楽しめる。



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