発売日: 2011年9月13日
ジャンル: チルウェイブ、シンセポップ、エレクトロニカ
Era Extrañaは、Neon Indianの2作目のスタジオアルバムで、Alan Palomoの音楽性がさらに進化した作品である。前作Psychic Chasmsで確立されたチルウェイブのサウンドを継承しつつも、より深くエモーショナルでダークなトーンが加わり、Palomoの個人的な経験や感情が反映された内容となっている。アルバムタイトルの「Era Extraña」はスペイン語で「奇妙な時代」を意味し、都会での孤独や恋愛の痛み、内省的な思いが表現されている。アイスランドでアルバム制作が行われたことも影響し、ノスタルジックでメランコリックな雰囲気が漂っている。
本作では、シンセサイザーの音色やエフェクトがより複雑で多彩に進化し、シンセポップやシューゲイザーの要素も取り入れたダイナミックなサウンドが楽しめる。代表曲「Polish Girl」や「Hex Girlfriend」は、キャッチーなメロディと浮遊感のあるサウンドが印象的で、エレクトロポップの新しい方向性を示している。Era Extrañaは、チルウェイブを越えて、Neon Indianの音楽がより普遍的なテーマに昇華された一枚となっている。
トラックごとの解説
1. Heart: Attack
短いインストゥルメンタルトラックで、ノイズとシンセが織りなすドリーミーなイントロ。アルバムのムードを設定する役割を果たし、次曲への期待感を高める。
2. Polish Girl
アルバムの代表曲で、キャッチーなシンセリフとリズムが印象的なアップテンポのナンバー。恋愛の複雑な感情をテーマにしており、リリックとサウンドのバランスが秀逸である。
3. The Blindside Kiss
ノスタルジックでどこか切ないメロディが特徴の楽曲。浮遊感のあるシンセサウンドとリズムが心地よく、Neon Indianのエモーショナルな一面が表れている。
4. Hex Girlfriend
シンセサウンドがポップでありながらもダークな雰囲気を醸し出す一曲。甘美で少し不穏なメロディが耳に残り、恋愛の持つ複雑な感情が表現されている。
5. Heart: Decay
またしても短いインストゥルメンタルトラックで、ミステリアスなシンセサウンドが続く。アルバム全体の流れをつなぐブリッジ的な役割を果たしている。
6. Fallout
どこかサイケデリックなムードを持つミッドテンポの曲。80年代のニューウェーブの影響が感じられるサウンドが印象的で、内向的でメランコリックな雰囲気を漂わせている。
7. Era Extraña
アルバムタイトル曲で、ゆったりとしたリズムとシンセが絡み合う幻想的なトラック。内省的で少し寂しさが漂うメロディが、アルバムのテーマを体現している。
8. Halogen (I Could Be a Shadow)
エネルギッシュなビートとドリーミーなメロディが融合した楽曲。内なる自己や愛についてのテーマが表現されており、聴く者を夢の中へと誘うような感覚が特徴的。
9. Future Sick
鋭いシンセリフとビートが心地よいミッドテンポのトラックで、ダークでありながらもキャッチーなサウンドが魅力。どこか不安定で未来的な雰囲気が漂う。
10. Suns Irrupt
浮遊感のあるシンセサウンドと力強いリズムが交差するトラックで、サイケデリックな雰囲気が漂う。カラフルなエフェクトが楽曲に独特の深みを与えている。
11. Heart: Release
3部作の最後を飾る短いインストゥルメンタルで、アルバムの雰囲気を静かに締めくくる。淡いシンセの余韻が美しく、心地よいエンディングを演出する。
12. Arcade Blues
アルバムのラストを飾るエモーショナルな楽曲。ビートがしっかりとしたミッドテンポの曲で、どこか懐かしさを感じさせるメロディとシンセサウンドが心に響く。
アルバム総評
Era Extrañaは、Neon Indianがチルウェイブからさらに発展し、より深みと感情的な広がりを持たせた作品である。ノスタルジックでありながらも都会的で現代的なサウンドが特徴で、Alan Palomoの感性とエモーショナルな表現が詰まっている。「Polish Girl」や「Hex Girlfriend」といったキャッチーな楽曲はもちろん、アルバム全体に漂うメランコリックなトーンが印象的だ。内省的なテーマとシンセサウンドの融合により、チルウェイブの枠を超えた、普遍的な魅力を持つ一枚となっている。Era Extrañaは、聴く者を感傷的で幻想的な世界へと誘う、Neon Indianの音楽性が深まった作品である。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
Within and Without by Washed Out
ノスタルジックでドリーミーなチルウェイブの名盤。Era Extrañaの浮遊感やエモーショナルなトーンに共感するリスナーにぴったり。
Causers of This by Toro y Moi
チルウェイブとエレクトロニカが融合したアルバムで、ノスタルジックでメランコリックなサウンドが共通する。
Geogaddi by Boards of Canada
サイケデリックで幻想的なエレクトロニカの名作で、Neon Indianの持つ幻想的な音世界と深くリンクする作品。
In Ghost Colours by Cut Copy
カラフルでダンサブルなシンセポップが特徴のアルバムで、Era Extrañaのノスタルジックなサウンドと響き合う。
Congratulations by MGMT
サイケデリックでエクスペリメンタルな作品で、Neon Indianの幻想的なサウンドに共鳴する。ポップさとエモーショナルさが融合した一枚。
コメント