
発売日: 1999年6月29日
ジャンル: ソン、グアラーチャ、ダンソン、ルンバ、アフロ・キューバン・ジャズ
キューバ音楽の進化と伝統の融合—Afro-Cuban All Starsのさらなる挑戦
1999年、Afro-Cuban All Starsは2ndアルバムDistinto, Diferenteをリリースし、前作A Toda Cuba le Gusta(1997年)で築いたキューバ音楽の伝統的スタイルをさらに発展させた。本作では、ソンやダンソンといったキューバン・クラシックなリズムに加え、モダンなアフロ・キューバン・ジャズの要素を取り入れ、より洗練されたアレンジが施されている。
バンドリーダーのJuan de Marcos Gonzálezのもと、イブライム・フェレール、ルーベン・ゴンサレス、マヌエル “グアヒーロ” ミランダなどのレジェンドたちが参加し、さらに若手ミュージシャンとのコラボレーションを通じて、新旧の融合を見事に果たした作品となっている。
全曲レビュー
1. Distinto, Diferente
アルバムタイトル曲。ピアノとホーンが躍動し、カリビアン・ジャズの要素も感じられる。オープニングとして勢いのあるナンバー。
2. Tumba Palo Cucuye
伝統的なソンのリズムに、強烈なブラスアレンジが加わったダンサブルな楽曲。
3. Jorofo
ミドルテンポのダンソンナンバー。ストリングスとピアノが絶妙に絡み合う、美しいハーモニーが魅力。
4. Reconciliación
優雅なバラード調の楽曲。イブライム・フェレールの深みのある歌声が心を打つ。
5. No Pienses Que Voy a Llorar
ファンクやジャズの要素を取り入れた斬新なアレンジ。モダンなラテンジャズの雰囲気が漂う。
6. Tributo al Niño Rivera
キューバの伝説的なトレス奏者、ニーニョ・リベラに捧げるインストゥルメンタル。ギターとパーカッションがリードする軽快な楽曲。
7. Warariansa
アフロ・キューバン音楽のルーツを探るパーカッション主体のトラック。呪術的なリズムが特徴的。
8. Homenaje a Martha Valdés
ボレロ調のしっとりとした楽曲で、ロマンティックなメロディが印象的。
9. Elube Changó
アフロ・キューバンのサンテリア(宗教的伝統)をモチーフにしたリズミカルな楽曲。力強いパーカッションが響く。
10. Calle 49
アルバムの締めくくりとなるジャズ色の強いナンバー。ホーンセクションのダイナミズムが際立つ。
総評
Distinto, Diferenteは、Afro-Cuban All Starsの音楽的な進化を示したアルバムであり、伝統的なキューバ音楽の枠を超え、よりジャズやファンクの要素を取り入れた作品となっている。前作よりもモダンなサウンドが際立ち、幅広いリスナーにアピールする内容となった。
Juan de Marcos Gonzálezのプロデュースのもと、キューバ音楽の巨匠たちと若手アーティストが一体となり、伝統と革新が見事に融合した一枚。キューバ音楽の奥深さを味わいたいリスナーにとって、必聴のアルバムである。
おすすめアルバム
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Buena Vista Social Club – Buena Vista Social Club (1997)
キューバ音楽の原点を知るには欠かせない名盤。 -
Rubén González – Chanchullo (2000)
伝説的ピアニストのジャズとソンが融合したアルバム。 -
Ibrahim Ferrer – Buenos Hermanos (2003)
クラシックなボレロやソンを現代的に再構築した作品。 -
Eliades Ochoa – Sublime Ilusión (1999)
アコースティックなソンとボレロを中心としたアルバム。 -
Chucho Valdés – Briyumba Palo Congo (1999)
アフロ・キューバン・ジャズの要素が強い作品。
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