発売日: 1981年9月22日
ジャンル: プログレッシブ・ロック、ニュー・ウェイヴ、アート・ロック
1981年、再編成されたKing Crimsonがリリースしたアルバム『Discipline』は、バンドのサウンドとアイデンティティに革命をもたらした作品だ。プログレッシブ・ロックの伝統的な要素を残しつつも、ニュー・ウェイヴやミニマリズム、アフリカン・リズムの影響を大胆に取り入れ、時代の空気を反映した斬新なサウンドを作り上げた。
ロバート・フリップを中心に、新メンバーとしてエイドリアン・ブリュー(ギター&ボーカル)、トニー・レヴィン(ベース&スティック)、ビル・ブルーフォード(ドラムス)が加わり、強力なラインナップが結成された。特にブリューのユニークなボーカルスタイルとギターワーク、レヴィンのチャップマン・スティックによる多層的なベースラインがアルバム全体を特徴付けている。
アルバムのタイトル『Discipline』は、バンドの音楽的理念そのものを表しており、構造化されたリズムと緻密なアレンジが強調されている。楽曲は複雑なポリリズム、対位法的なギターライン、詩的かつ抽象的な歌詞で構成されており、緊張感と知性に満ちている。
以下、各トラックの詳細を解説する。
1. Elephant Talk
アルバムのオープニングを飾る楽曲で、エイドリアン・ブリューの特徴的なトークスタイルのボーカルが印象的。ギターとチャップマン・スティックが織りなすファンキーなリズムが特徴で、言葉の不毛さや情報過多の現代社会を風刺している。
2. Frame by Frame
美しいギターのアルペジオが複雑に絡み合う楽曲で、ポリリズムの技巧が光る。ブリューの温かみのあるボーカルと、緻密なアレンジが融合し、感情的な深みを感じさせる一曲だ。
3. Matte Kudasai
日本語で「待ってください」という意味をタイトルに持つこの曲は、アルバム中で最もメロディアスで静謐な楽曲。エモーショナルなギターフレーズとブリューの切ないボーカルが、リスナーの心に深く響く。
4. Indiscipline
ブルーフォードの複雑なドラムパターンと、即興的な雰囲気を持つ楽曲。ブリューの語りのようなボーカルスタイルが特徴的で、不安定さとエネルギーが共存する独特なナンバー。
5. Thela Hun Ginjeet
タイトルは「Heat in the Jungle」のアナグラムで、都会の危険や混沌をテーマにした楽曲。ファンキーなベースラインとリズムが特徴で、エネルギッシュな展開が聴きどころ。
6. The Sheltering Sky
アフリカ音楽にインスパイアされたインストゥルメンタルで、ミニマリスティックなギターラインとパーカッションが心地よいリズムを生み出している。タイトルはポール・ボウルズの小説に由来しており、広大な空間の中での孤独感が表現されている。
7. Discipline
アルバムのタイトル曲であり、バンドの音楽哲学を体現するインストゥルメンタル。フリップとブリューのギターが緻密に絡み合い、まるで一つの楽器のように機能している。リズムの反復と変化が、聴く者を緊張感のある旅へと導く。
アルバム総評
『Discipline』は、King Crimsonの音楽的進化を象徴するアルバムであり、バンドがプログレッシブ・ロックの伝統を新たな時代の文脈に適応させた傑作だ。テクニカルな演奏、抽象的な歌詞、多層的なリズムが融合し、緊張感と躍動感に満ちた音楽体験を提供している。このアルバムは、プログレッシブ・ロックの新たな可能性を切り開くと同時に、80年代のニュー・ウェイヴやアート・ロックに多大な影響を与えた。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
Talking Heads – Remain in Light
ブリューが参加したことでも知られるアルバム。『Discipline』同様、ポリリズムとファンキーなアプローチが特徴。
Yes – 90125
プログレッシブ・ロックからニュー・ウェイヴへの転換期を捉えた作品で、『Discipline』と同時代の革新性を感じられる。
Peter Gabriel – Peter Gabriel (3rd Album)
エクスペリメンタルなサウンドと知的な歌詞が、『Discipline』と共通する独特の雰囲気を持つ。
Frank Zappa – Shut Up ‘n Play Yer Guitar
ギターの複雑なアプローチとユニークな演奏が、『Discipline』のファンに響くだろう。
Robert Fripp – Exposure
フリップのソロ作品で、『Discipline』で展開されるギターの実験的アプローチのルーツが垣間見える。
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