発売日: 1980年7月18日
ジャンル: ポストパンク, ニューウェーブ
Echo & the Bunnymenのデビューアルバム『Crocodiles』は、ポストパンクシーンに新たな息吹をもたらした作品であり、バンドの持つ暗くもエネルギッシュな音楽性が確立された重要な一枚である。80年代初頭のイギリスのポストパンクムーブメントの中で、ギターを中心にしたサウンドと、イアン・マッカロックの内省的な歌詞が、エッジの効いたビートに乗せられて展開されている。バンドの初期の荒削りな部分と、情熱的でメランコリックな雰囲気が同居するこのアルバムは、Echo & the Bunnymenの成功への道を開いた記念碑的な作品だ。
各曲ごとの解説:
- Going Up
アルバムのオープニングトラックで、ゆっくりとしたビルドアップが印象的な一曲。重いベースラインとエネルギッシュなギターが絡み合い、イアン・マッカロックの深い歌声が曲をリードする。ポストパンクの影響を受けつつ、エピックな展開が特徴的。 - Stars Are Stars
キャッチーなリズムとメロディが、少し明るめのトーンを与えているトラック。歌詞は内省的でありながらも、サウンドは軽快で、アルバムの中でバランスの取れた一曲となっている。 - Pride
シンプルなギターフィードバックとリズムが印象的なこの曲は、荒々しさとミステリアスさが同居する。マッカロックの独特のボーカルスタイルが曲に緊張感を与えている。 - Monkeys
シンプルなギターリフに、叩きつけるようなリズムが絡む一曲。反復的で攻撃的なサウンドが、ポストパンク特有の緊張感を強調している。 - Crocodiles
アルバムのタイトル曲で、エネルギッシュなビートとギターリフが印象的なナンバー。感情的な歌詞が、ポストパンクの不安や怒りを体現しており、バンドの初期サウンドを代表する一曲。 - Rescue
『Crocodiles』の代表曲で、キャッチーなギターフックと、マッカロックの情感豊かな歌詞が融合している。アルバムの中でも特にポップな要素が強く、バンドにとっての最初のヒット曲となった。 - Villiers Terrace
ダークでサイケデリックなトラックで、バンドの実験的な側面を垣間見ることができる。ギターサウンドと不穏な雰囲気が、エッジの効いたポストパンクサウンドを作り出している。 - Pictures on My Wall
バンド初期のシングル曲で、ノスタルジックな雰囲気が漂う。メロディアスなギターラインと、マッカロックの憂鬱な歌声が、シンプルながらも感情豊かな一曲に仕上がっている。 - All That Jazz
疾走感のあるビートと、歪んだギターが駆け巡るトラック。アルバムの中でも特にエネルギッシュで、激しいサウンドがポストパンクの荒々しさを感じさせる。 - Happy Death Men
アルバムのラストを締めくくる曲で、他のトラックとは異なるゆったりとしたムードが漂う。ダークでミステリアスな雰囲気が、アルバム全体を通して感じられるテーマを集約し、独特の余韻を残す。
アルバム総評:
『Crocodiles』は、Echo & the Bunnymenのデビュー作として、ポストパンクシーンに強いインパクトを残したアルバムである。暗く荒々しいギターサウンドと、イアン・マッカロックの憂鬱で内省的な歌詞が織り成す独特の雰囲気が特徴だ。バンドの未熟な部分も感じられるが、その分、生々しいエネルギーと感情の迸りが伝わる。このアルバムは、バンドの持つポテンシャルを強く示し、彼らが後にリリースする名盤への布石とも言える重要な一枚となっている。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚:
- Unknown Pleasures by Joy Division
ポストパンクの象徴的なアルバムで、Echo & the Bunnymenのダークでミニマルなサウンドに共通するものがある。 - Seventeen Seconds by The Cure
ゴシック・ロックとポストパンクを融合させた作品で、暗く内省的な雰囲気が好きなリスナーにぴったり。 - Script of the Bridge by The Chameleons
ポストパンクの名作で、重厚なギターサウンドと感情的なリリックが特徴。Echo & the Bunnymenのファンには強くおすすめ。 - Closer by Joy Division
より深く暗いテーマを扱ったアルバムで、ポストパンクの中でも最も影響力のある作品のひとつ。Echo & the Bunnymenのファンには必聴。 - Kaleidoscope by Siouxsie and the Banshees
ポストパンクとゴシックロックの要素を融合させた作品で、エッジの効いたサウンドとメランコリックなムードが共通している。
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