アルバムレビュー：Collage by The Chainsmokers

アルバムレビュー

2025.03.13

発売日: 2016年11月4日
ジャンル: エレクトロポップ、フューチャーベース、トロピカル・ハウス

世界的ブレイクを果たした決定的EP
全曲レビュー
総評
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世界的ブレイクを果たした決定的EP

The Chainsmokersの2nd EPCollageは、彼らが世界的なポップ・アーティストとして確固たる地位を築くきっかけとなった作品であり、2016年の音楽シーンを代表する楽曲を多数収録している。前作Bouquet（2015年）の延長線上にあるサウンドを発展させ、より洗練されたポップ・プロダクションと、エモーショナルな歌メロを前面に押し出した作品となっている。

このEPのリリースに先立ち、「Closer（feat. Halsey）」がBillboard Hot 100で12週連続1位という驚異的な記録を達成し、The Chainsmokersをトップアーティストの仲間入りさせた。ほかにも、「Don’t Let Me Down」や「All We Know」など、彼らの代表曲となるヒットソングが詰まっており、ポップとEDMの絶妙な融合が光る作品となった。

全曲レビュー

Setting Fires (feat. XYLØ)
- フューチャーベースを取り入れた、ダークでメロディックなトラック。
- XYLØの幻想的なボーカルが楽曲に深みを加えている。
- エネルギッシュなドロップが特徴的で、クラブでも映えるサウンド。
All We Know (feat. Phoebe Ryan)
- 「Closer」の流れを汲んだ、ミッドテンポのエモーショナルな楽曲。
- シンプルなギターリフとPhoebe Ryanの優しいボーカルが印象的。
- Andrew Taggart自身がボーカルを担当し、彼のシンガーとしての存在感が強まる楽曲となった。
Closer (feat. Halsey)
- The Chainsmokers最大のヒット曲の一つ。
- シンプルなシンセのループとエモーショナルな歌詞が特徴的。
- Halseyとのコール＆レスポンスのデュエットスタイルが、楽曲のドラマ性を高めている。
- 12週連続Billboard Hot 100で1位を獲得し、2016年を象徴する曲となった。
Inside Out (feat. Charlee)
- エモーショナルなバラード風のフューチャーベーストラック。
- シンセのレイヤーと柔らかなビートが、切なさを引き立てる。
- Charleeの透き通ったボーカルが、楽曲のセンチメンタルな雰囲気を強調。
Don’t Let Me Down (feat. Daya)
- Collageの中でも「Closer」と並ぶ大ヒット曲。
- 激しいドロップとDayaの力強いボーカルが融合し、アンセミックなEDMトラックに仕上がっている。
- Billboard Hot 100で3位を記録し、彼らの人気をさらに加速させた。

総評

Collageは、The ChainsmokersがエモーショナルなポップミュージックとEDMの融合に成功した転換点となる作品であり、彼らのスタイルを決定づけたEPである。「Closer」と「Don’t Let Me Down」は、2016年のポップシーンを代表する楽曲となり、クラブだけでなく、ラジオやプレイリストでも広く愛された。

このEPの最大の特徴は、シンプルなビートとシンセを軸にしたミニマルなプロダクションと、心に響く歌詞やメロディを組み合わせた点にある。特に、「All We Know」や「Inside Out」のような楽曲では、感傷的なストーリーテリングとエレクトロポップの融合が際立ち、後のMemories…Do Not Open（2017年）につながるサウンドの方向性を示している。

また、本作ではAndrew Taggartがボーカルを務める楽曲が増え、The Chainsmokersが単なるプロデューサー・デュオから、よりバンド的なスタイルへと進化しつつあることも感じられる。このスタイルは後の「Something Just Like This」（2017）や「Paris」（2017）などへと発展していく。

EDMとポップの融合が好きなリスナーにとって、本作はThe Chainsmokersのエッセンスを凝縮した作品であり、彼らの魅力を存分に味わえる一枚となっている。