発売日: 2012年9月10日
ジャンル: インディー・ポップ, ドリーム・ポップ, ミニマリズム
The xxの2作目『Coexist』は、デビュー作『xx』で確立したミニマルなサウンドをさらに洗練させ、内省的で静謐なトーンを深化させたアルバムである。アルバム全体に漂う静かな緊張感と、余白を活かした音作りが印象的で、ロミー・マドリー・クロフトとオリヴァー・シムのヴォーカルは、さらに成熟し、互いの感情のやりとりがより親密に感じられる。テーマは恋愛や別離、孤独といった感情的なものだが、サウンドは非常にクールでミニマル。デビュー作と比べると、よりパーソナルで繊細な作品に仕上がっている。
各曲ごとの解説:
- Angels
アルバムの幕開けを飾る美しいバラードで、クロフトの繊細なヴォーカルが際立つ。シンプルなギターリフに支えられたこの曲は、恋愛の純粋さと脆さを歌い上げており、静かでありながらも感情的に深い。余白を生かしたアレンジが、リスナーに一層の親密感を与える。 - Chained
ミニマルなビートとエレクトロサウンドが心地よく響くトラック。歌詞では壊れかけた関係を修復しようとする葛藤が描かれており、クロフトとシムの掛け合いが繊細に表現されている。静かに緊張感を高めるようなサウンドが印象的だ。 - Fiction
シムがリードするこの曲は、夢と現実が交錯するような幻想的な雰囲気を持つ。恋愛の終わりとそれに伴う喪失感を歌い、シンプルなベースラインとミニマルなビートが感情的な深みを与えている。 - Try
不安感や失恋をテーマにした曲で、控えめなギターとリズムが絡み合う。クロフトとシムのヴォーカルが互いに感情を投げかけるような展開が、曲に強いドラマ性を加えている。静けさの中にも揺れ動く感情が表現されている。 - Reunion
レゲエのリズムに影響を受けた、ややダンサブルなトラック。シンプルなサウンドの中に、エモーショナルなヴォーカルが絡み合い、静かにビートがビルドアップしていく。後半にかけてテンションが高まり、アルバムの中でも異彩を放つ楽曲だ。 - Sunset
タイトル通り、日没を象徴するようなメランコリックなトラック。シンプルなビートとギターが、恋愛の終焉に対する感情を巧みに表現している。徐々に感情が高まっていく展開が、美しくも切ない。 - Missing
クロフトとシムのデュエットが、孤独や後悔をテーマにした感情を深く掘り下げる。静かなビートとシンプルなアレンジが曲全体を包み込み、ヴォーカルに焦点を当てたミニマルなスタイルが印象的。 - Tides
波のようにゆっくりと感情が動くような曲で、サウンドは控えめだが、感情の深さが感じられる。二人のヴォーカルが交差し、シンプルなリズムが徐々に感情を盛り上げていく。リスナーに深い余韻を残すトラック。 - Unfold
控えめなビートと静かなギターリフが特徴のバラード。愛の終わりに伴う感情がシンプルな言葉で表現されており、内向的な感情の吐露が胸を打つ。デュエットが美しく、親密さが際立つ。 - Swept Away
エレクトロニカの影響が強く感じられるトラックで、アルバムの中でも比較的ビートの効いた曲。シンプルなベースラインに支えられたサウンドが、徐々にビルドアップし、エネルギーを高めていく。 - Our Song
アルバムの最後を締めくくるトラックは、ロミーとオリヴァーのヴォーカルが互いに寄り添うように響く。恋愛や友情をテーマにした歌詞が、シンプルなアレンジと共に心に染み入るように伝わる。静かに終わるフィナーレがアルバム全体を包み込む。
アルバム総評:
『Coexist』は、The xxがデビュー作『xx』で確立したミニマルなスタイルをさらに追求し、よりパーソナルで感情的な作品に仕上がっている。クロフトとシムのヴォーカルの調和は、より親密で繊細に感じられ、ビートとギター、ベースのシンプルなアレンジが、感情の深みを効果的に引き出している。アルバム全体を通して、恋愛や孤独、別離といったテーマがシンプルで美しい音の中に凝縮されており、余白を生かした音作りがリスナーに深い余韻を残す。The xxの持つ独特の世界観が、より洗練された形で表現された傑作である。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚:
- In Colour by Jamie xx
The xxのメンバー、ジェイミー・スミスのソロアルバム。エレクトロニカとミニマリズムを融合させた作品で、『Coexist』の洗練されたサウンドが好きなリスナーにぴったり。 - Devotion by Jessie Ware
静かで官能的なサウンドを持つアルバム。The xxの親密な雰囲気を好むリスナーにおすすめの作品。 - Trouble Will Find Me by The National
内向的で感情的なリリックとミニマルなアレンジが共通するアルバム。The xxの感情表現を楽しめたリスナーにぴったり。 - Bon Iver by Bon Iver
エレクトロニカとフォークを融合させた美しい作品。The xxの静謐なサウンドと感情的な深みが好きなリスナーにおすすめ。 - Sea Change by Beck
内省的でメランコリックな雰囲気を持つアルバム。The xxのミニマルで感情的なサウンドが好きなリスナーには、このアルバムも響くだろう。
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