発売日: 2016年4月8日
ジャンル: インディーフォーク、サイケデリックロック、エチオピアンジャズ
『City Sun Eater in the River of Light』は、Woodsが2016年にリリースした9枚目のアルバムであり、バンドの音楽性が大きく進化した作品だ。本作では、これまでのローファイなインディーフォークやサイケデリックロックの枠を超え、エチオピアンジャズやアフロビートの要素を取り入れることで、よりリズミカルで多彩なサウンドスケープを展開している。Woodsが持つフォーク的な温かさや叙情性はそのままに、ジャズ的なアプローチと複雑なリズムが楽曲に新鮮さを加えている。
このアルバムの特徴的なサウンドは、ホーンセクションやエキゾチックなメロディーによって際立っており、ジェレミー・アールの高音ボーカルが楽曲全体の中心に据えられている。自然や精神世界、時間の移ろいといった普遍的なテーマが歌詞に込められ、リスナーに深い没入感を与える作品となっている。
トラック解説
- Sun City Creeps
ホーンセクションを大胆にフィーチャーしたオープニングトラック。アフロビートの影響を受けたリズムと、メランコリックなメロディーが絡み合い、アルバムの新しい方向性を象徴する。 - Creature Comfort
アコースティックギターとドリーミーなシンセが絡む、穏やかなトラック。ノスタルジックな雰囲気が漂い、ジェレミーのボーカルが楽曲の柔らかさを際立たせている。 - Morning Light
軽快なテンポとキャッチーなメロディーが特徴の一曲。フォークとポップのバランスが絶妙で、アルバムの中でも特に親しみやすい。 - Can’t See at All
サイケデリックなギターリフとミニマルなリズムが印象的な楽曲。視界を失ったような感覚と自己探求のテーマが歌詞に込められている。 - Hang It on Your Wall
柔らかなアコースティックサウンドが中心のバラード。タイトルの「壁に飾る」というフレーズが示すように、思い出や過去を振り返るようなテーマが感じられる。 - The Take
アフロビート的なリズムとホーンの響きが特徴的な楽曲。エネルギッシュな演奏がアルバム全体の流れに活気を与えている。 - I See in the Dark
静謐なサウンドスケープが広がるトラックで、アルバムの中でも特に内省的な一曲。闇の中で感じる希望がテーマとなっている。 - Politics of Free
ジャズ的なホーンと軽快なリズムが絡む楽曲。自由や解放をテーマにした歌詞が、楽曲のダンサブルなムードと調和している。 - The Other Side
ゆったりとしたテンポと叙情的なギターが心地よいトラック。アルバム全体の中で最もフォーク色が強い楽曲の一つだ。 - Hollow Home
アルバムのフィナーレを飾る静かな楽曲。アコースティックギターとジェレミーの歌声が中心となり、アルバム全体を締めくくる感動的な一曲だ。
アルバム総評
『City Sun Eater in the River of Light』は、Woodsがこれまで培ってきたフォークやサイケデリックロックの要素に、エチオピアンジャズやアフロビートといった新たな要素を融合させた挑戦的なアルバムだ。ホーンセクションや複雑なリズムが楽曲に独自の躍動感を与え、バンドの音楽性をさらに広げている。一方で、フォーク的な叙情性やジェレミー・アールの親密な歌声は健在で、これまでのファンにも受け入れられる要素が詰まっている。特に「Sun City Creeps」や「Politics of Free」など、バンドの新しい可能性を感じさせる楽曲は必聴である。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
The Trials of Van Occupanther by Midlake
フォークとクラシックロックが融合した作品で、『City Sun Eater in the River of Light』のノスタルジックな側面と共通する。
Mulatu of Ethiopia by Mulatu Astatke
エチオピアンジャズの金字塔的アルバムで、本作のリズミカルな側面を愛するリスナーにおすすめ。
Feels by Animal Collective
サイケデリックとフォークを融合させたアルバムで、実験的なアプローチが『City Sun Eater』と響き合う。
Helplessness Blues by Fleet Foxes
フォークの叙情性を追求した作品で、Woodsの持つ温かみや親密さに通じる。
Remain in Light by Talking Heads
アフロビートや複雑なリズムが特徴的なアルバムで、本作のリズムへのこだわりとリンクする。
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