
発売日: 1981年11月9日
ジャンル: ニューウェーブ、ポップロック、レゲエロック
オーストラリア発、80年代ニューウェーブの金字塔—Men at Workの鮮烈なデビュー作
1981年にリリースされたBusiness as Usualは、オーストラリアのバンドMen at Workのデビューアルバムであり、80年代ニューウェーブの代表的な作品のひとつとして歴史に名を刻んだ。
本作には、「Who Can It Be Now?」「Down Under」という2つの世界的大ヒット曲が収録され、当時のオーストラリア音楽シーンから国際的な成功を収めた数少ない作品の一つとなった。特に「Down Under」は、バンドの母国オーストラリアの文化やアイデンティティを象徴する楽曲として、今なお愛され続けている。
音楽的には、ニューウェーブを基盤にしながらも、レゲエ、ポップロック、カリブ音楽の要素を取り入れた独自のスタイルが確立されており、Colin Hayの個性的なボーカルと、Greg Hamの特徴的なサックス&フルートが楽曲のアイデンティティを際立たせている。
全曲レビュー
1. Who Can It Be Now?
アルバムのオープニングを飾る、バンド初の大ヒット曲。
不安感や孤独をテーマにした歌詞と、Greg Hamの印象的なサックスのフレーズが特徴的なニューウェーブ・ポップの名曲。キャッチーなメロディと独特な雰囲気が、Men at Workのスタイルを象徴している。
2. I Can See It in Your Eyes
よりメロディアスなポップロック調の楽曲。恋愛の複雑な感情を描いた歌詞が印象的で、キャッチーながらも哀愁漂うメロディが心に残る。
3. Down Under
本作最大のヒット曲であり、オーストラリア音楽史上最も象徴的な楽曲のひとつ。
Reggaeのリズムを取り入れた軽快なアレンジと、Colin Hayのユーモラスな歌詞が特徴的。オーストラリアのスラングを多用し、旅行者視点でオーストラリア文化を風刺的に描いている。Greg Hamのフルートのメロディが特徴的で、バンドのアイデンティティを強く印象付けた楽曲。
4. Underground
ダークでミステリアスな雰囲気を持つ楽曲。社会的な不安や体制批判を含んだ歌詞が、当時のニューウェーブらしい空気感を演出している。サビのメロディはキャッチーで、ライブでも人気の楽曲。
5. Helpless Automaton
ニューウェーブの電子的な要素を強く押し出した楽曲。機械的なリズムと、ロボットのようなヴォーカルが印象的で、テクノポップの影響も感じられる異色のトラック。
6. People Just Love to Play with Words
ソフトなギターとポップなメロディが心地よい楽曲。言葉遊びをテーマにしたユニークな歌詞と、シンプルながらも洗練されたアレンジが特徴的。
7. Be Good Johnny
リズミカルなビートと、語りかけるようなボーカルが特徴の楽曲。
「Be Good, Johnny(ジョニー、お行儀よくしなさい)」というリフレインが印象的で、少年の視点で語られる歌詞がユーモラス。メロディアスながらも、実験的な要素が感じられる。
8. Touching the Untouchables
ジャズやブルースの影響を感じさせる、大人っぽい雰囲気の楽曲。Greg Hamのサックスと、Colin Hayの深みのあるボーカルが際立つトラック。
9. Catch a Star
美しいギターのアルペジオが印象的な、ドリーミーでロマンティックなポップソング。歌詞には、夢や希望が込められている。
10. Down by the Sea
アルバムを締めくくる長尺の楽曲で、ニューウェーブの幻想的な要素と、レゲエ風のリズムが融合した実験的なサウンド。タイトル通り、海辺のゆったりとした雰囲気を感じさせる。
総評
Business as Usualは、Men at Workのデビュー作でありながら、彼らの音楽的なアイデンティティを確立した傑作である。ニューウェーブというジャンルの中で、ポップロックやレゲエの要素を巧みに取り入れ、独自のスタイルを作り上げたことが、本作の大きな魅力となっている。
特に、「Who Can It Be Now?」と「Down Under」は、今なお世界中で聴かれ続ける名曲であり、80年代のポップシーンを象徴する楽曲として語り継がれている。
本作の特徴は、単なるキャッチーなポップソングだけでなく、社会的なテーマや皮肉を含んだ歌詞、風刺的な視点を持った楽曲が多い点にある。これにより、ニューウェーブブームの中でも、単なる一発屋ではなく、音楽的にも深みのあるバンドとしての評価を確立した。
バンドのユニークなサウンドと、Colin Hayの個性的な歌声、Greg Hamのフルートやサックスが作り出す印象的なアレンジが融合したBusiness as Usualは、80年代のニューウェーブ・ポップロックを象徴する名盤として今もなお評価が高い。
おすすめアルバム
- Men at Work – Cargo (1983)
- 本作の後にリリースされた2ndアルバム。「Overkill」「It’s a Mistake」などの名曲を収録。
- The Police – Ghost in the Machine (1981)
- レゲエのリズムを取り入れたニューウェーブの傑作で、本作と共通点が多い。
- INXS – Shabooh Shoobah (1982)
- 同じオーストラリア出身のバンドによる、ニューウェーブとロックの融合が魅力の作品。
- Duran Duran – Rio (1982)
- 80年代を代表するニューウェーブの名盤で、本作と並ぶポップロックの傑作。
- Tears for Fears – Songs from the Big Chair (1985)
- ニューウェーブとポップの要素を融合させた、壮大なサウンドのアルバム。
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- ニューウェーブとポップの要素を融合させた、壮大なサウンドのアルバム。
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