アルバムレビュー:Bricks Are Heavy by L7

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※本記事は生成AIを活用して作成されています。

cover

発売日: 1992年4月14日
ジャンル: グランジオルタナティヴ・ロック、ヘヴィロック


概要

『Bricks Are Heavy』は、L7が1992年に発表した3作目のスタジオ・アルバムであり、グランジ・ムーブメント最盛期において、女性ロックバンドがヘヴィネスとポップ性を両立させた画期的作品としてロック史に名を刻む一作である。

前作『Smell the Magic』で確立されたヘヴィでノイジーなバンド・サウンドを基盤に、本作ではButch Vig(NirvanaNevermind』のプロデューサー)を起用することで音像に圧倒的な力感と明快さが加わっている。

とりわけシングル「Pretend We’re Dead」のヒットは、MTVやラジオを通じてL7を一躍メジャーシーンへと押し上げる原動力となり、
同時に“怒れる女性たち”が“ポップ”として消費される時代の始まりを告げる瞬間でもあった。

本作は、グランジの爆発、フェミニズムの勃興、そして商業主義との葛藤という、90年代初頭の文化的テンションが凝縮されたアルバムなのだ。


全曲レビュー

1. Wargasm

「戦争で絶頂」という衝撃的なタイトル通り、政治と性のメタファーが交差するオープニング。
重厚なリフとシャウトがリスナーを即座に戦場へと引き込む。

2. Scrap

バンドの地金が見えるような、無骨でラウドなパンク・ナンバー。
金属片のように鋭く、荒れ果てた現実を切り裂く。

3. Pretend We’re Dead

キャッチーなギターリフとミドルテンポのグルーヴで構成された、L7最大のヒット曲。
「死んだふりをしていればうまくいく」という皮肉なメッセージが、政治的不感症やジェンダー不平等への批判と共鳴する。

4. Diet Pill

身体・メディア・女性性といったテーマを“ダイエットピル”という隠喩で表現。
不穏な構成と不協和のコーラスが、社会的強迫観念への反逆を示す。

5. Everglade

疾走感あふれるギターとタイトなリズム。
エスケープ/解放への希求が、単なる暴走ではなく意思として響く。

6. Slide

緩急を織り交ぜたヘヴィチューン。
サウンドのドライヴ感と、女性視点の欲望や拒絶の表現が融合している。

7. One More Thing

退屈と日常の怒りを爆発させたショートトラック。
短くも強烈な一撃で、アルバム中盤のテンションを保つ。

8. Mr. Integrity

“正義の味方”を皮肉ったハードコア寄りの楽曲。
男社会の偽善性や欺瞞を暴き立てるような、ストレートな怒りの表現。

9. Monster

ヘヴィでドゥーミーな音像が印象的なダークトラック。
“怪物”は誰か? 社会か、自分自身か。解釈を委ねる構成が深みを加える。

10. Shitlist

怒りのエネルギーを最もストレートにぶつけた、ライブでも人気のアンセム。
“お前の名前はブラックリスト入りだ”という宣言は、L7の攻撃性の真骨頂。

11. This Ain’t Pleasure

アルバムのラストを飾る異色のスロー・トラック。
快楽を否定しつつ、痛みの中にこそ真実があると語る、静かな余韻。


総評

『Bricks Are Heavy』は、L7がその名の通り“重たいレンガ”のような存在感と衝撃力をもって、90年代のロック史に叩きつけた金字塔的アルバムである。

バッチ・ヴィグによる洗練されたプロダクションにより、L7の持つ暴力性・ユーモア・社会批判・セクシュアリティが明確な音像で提示され、
ポップとハードの完璧な均衡が成されている。

この作品はグランジの一端であると同時に、女性主導のラウドロックがいかに“本物”たりうるかを証明した最初のアルバムのひとつであり、
後のHoleGarbageBikini Kill、さらにはThe Distillersといったバンドへ与えた影響も計り知れない。


おすすめアルバム

  • Hole / Live Through This
     L7の怒りとポップ性をより感情的に展開した90年代フェミニズム・ロックの金字塔。

  • Nirvana / Nevermind
     プロデューサーつながりと時代背景を共有。サウンド構造における親和性も高い。

  • Babes in Toyland / Fontanelle
     より暴力的で不安定な女性グランジの核心を掴むことができる。

  • The Distillers / Coral Fang
     L7の“咆哮と叛逆”の美学を継承した00年代パンクの重要作。

  • Garbage / Version 2.0
     ポップとロック、女性の視点を融合させた洗練された形。L7の攻撃性とは異なる継承形態。

ファンや評論家の反応

『Bricks Are Heavy』は批評的にも高く評価され、Spin誌やRolling Stone誌などから絶賛を浴びた
とくに「Pretend We’re Dead」はMTVローテーション入りを果たし、L7を“ただの女バンド”から“現象”へと押し上げた

ライブでは“観客にタンポンを投げつける”といった過激なパフォーマンスも話題を呼び、バンドのアティチュードは時代のフェミニズムの象徴としても機能した。

まさに“重いレンガ”のように、無視も回避もできないほどの存在感と力を持った名盤である。


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