
発売日: 1998年(録音: 1996年)
ジャンル: ライブアルバム、ポップロック、ニューウェーブ
伝説のバンドが南米で蘇る—Men at WorkのライブアルバムBrazil
Brazilは、1996年にブラジルのサンパウロで録音されたMen at Workのライブアルバムであり、バンドの解散から10年以上の時を経て再びパフォーマンスを披露した記念すべき作品である。本作は、Colin Hay(ボーカル&ギター)とGreg Ham(サックス&キーボード)を中心に再編成されたMen at Workが、南米の熱狂的なファンの前で行ったライブを収録している。
スタジオアルバムとしての新作ではなく、バンドの名曲をライブバージョンで聴くことができる作品であり、エネルギッシュなパフォーマンスと観客の盛り上がりが特徴的。特に、「Down Under」や「Overkill」などの代表曲は、ライブならではのアレンジが加えられ、新たな魅力を放っている。
全曲レビュー
1. Touching the Untouchables
ライブのオープニングを飾る楽曲。
オリジナルのジャジーな雰囲気を保ちつつ、ライブならではのダイナミックな演奏が加わったアレンジが印象的。Greg Hamのサックスソロが際立つ。
2. No Sign of Yesterday
アルバムCargo(1983年)からの一曲。メロディアスなバラードで、Colin Hayの感情豊かなボーカルがライブの熱気とともに際立つ。
3. Down Under
バンド最大のヒット曲であり、本作のハイライトのひとつ。
南米の観客の熱狂的な歓声とともに演奏され、観客とのコール&レスポンスが加わることで、スタジオバージョンとは異なるエネルギーを持つ。Greg Hamのフルートの旋律がライブならではのアレンジで映える。
4. Underground
デビュー作Business as Usual(1981年)からの楽曲で、ダークな雰囲気を持つニューウェーブ・ロックがライブバージョンではより力強いサウンドに変化している。
5. Helpless Automaton
ロボットのようなリズムとニューウェーブ特有の冷たい質感を持つ楽曲。ライブではよりアグレッシブなパフォーマンスが展開され、観客の反応も熱い。
6. Overkill
Men at Workの代表的なバラードで、Colin Hayのボーカルが際立つエモーショナルな演奏。
このライブバージョンでは、オリジナルよりもテンポが遅めで、より深みのあるパフォーマンスとなっている。
7. Catch a Star
デビュー作からのナンバーで、ライブではより温かみのあるアコースティックなアレンジに変更され、バンドの演奏の幅広さを感じさせる。
8. It’s a Mistake
冷戦時代を風刺した楽曲で、ライブでも社会的なメッセージが込められた演奏が展開される。
レゲエ調のリズムがより強調され、南米の観客との相性が抜群。
9. Be Good Johnny
語りかけるような歌詞と軽快なビートが特徴の楽曲。ライブではよりファンキーなアレンジが加えられ、会場全体が一体となる瞬間が生まれる。
10. Who Can It Be Now?
本作のクライマックスとも言えるパフォーマンス。
Greg Hamのサックスソロが長めにアレンジされ、ライブならではの即興的な演奏が際立つ。観客の熱狂的な歓声が、バンドの人気の高さを証明している。
11. Dr. Heckyll & Mr. Jive
ユーモアのある歌詞とリズミカルな演奏が特徴の楽曲。ライブではより遊び心のあるアレンジが加えられ、バンドのエンターテイメント性が強調されている。
12. The Longest Night
ライブアルバムの締めくくりを飾る楽曲で、叙情的なメロディがライブの余韻を残す。
総評
Brazilは、Men at Workの解散後のライブパフォーマンスを収めた貴重な作品であり、80年代に活躍したバンドが90年代に入ってもなお多くのファンを魅了していることを証明したアルバムである。
特に、「Down Under」や「Overkill」などの代表曲は、ライブならではのアレンジや観客との掛け合いが加わり、スタジオバージョンとは異なる魅力を持つ。また、Greg Hamのサックスやフルートの存在感が際立ち、バンドの音楽的な個性がライブでも健在であることを感じさせる。
一方で、本作は新曲を含まないライブアルバムであるため、Men at Workの新たな音楽的挑戦を期待していたファンにとっては物足りなさを感じる部分もある。しかし、南米の熱狂的な観客の反応と、ライブならではのダイナミックな演奏を楽しめる点で、ファンにとっては必聴の作品と言える。
バンドの歴史の一区切りとして、またColin HayとGreg Hamのライブパフォーマンスの魅力を再確認する作品として、Brazilは価値のある一枚である。
おすすめアルバム
- Men at Work – Business as Usual (1981)
- デビュー作であり、バンドの代表曲「Down Under」「Who Can It Be Now?」を収録。
- Men at Work – Cargo (1983)
- 「Overkill」「It’s a Mistake」などのヒット曲を収録し、バンドの音楽的な成長を感じられるアルバム。
- Colin Hay – Man @ Work (2003)
- Men at Workの楽曲をセルフカバーしたアルバムで、よりシンプルなアレンジが特徴。
- The Police – Live! (1995)
- 同じくニューウェーブを代表するバンドのライブアルバムで、ライブならではの魅力が詰まっている。
- INXS – Live Baby Live (1991)
- オーストラリアのバンドによる、エネルギッシュなライブアルバム。
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- オーストラリアのバンドによる、エネルギッシュなライブアルバム。
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