アルバムレビュー：Bouquet by The Chainsmokers

アルバムレビュー

2025.03.13

発売日: 2015年10月23日
ジャンル: エレクトロポップ、プログレッシブ・ハウス、トロピカル・ハウス

フルアルバム前の布石となった、キャッチーなEDMポップの集大成
全曲レビュー
総評
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フルアルバム前の布石となった、キャッチーなEDMポップの集大成

The ChainsmokersのBouquetは、彼らのメジャーデビュー前にリリースされた5曲入りのEPであり、のちの成功へとつながるサウンドの基礎を築いた作品である。2014年の「#SELFIE」で一躍注目を浴びた彼らは、本作で単なるノベルティ・アーティストではなく、エモーショナルなメロディとポップなサウンドを取り入れた本格的なEDMプロデューサーであることを証明した。

このEPは、後のCollage（2016年）やMemories…Do Not Open（2017年）で確立される、The Chainsmokersのエモーショナルな歌メロとメロディックなシンセサウンドのスタイルを確立する重要なステップとなった。また、収録曲「Roses」が彼らにとって最初の大ヒットとなり、全米シングルチャート（Billboard Hot 100）でトップ10入りを果たすなど、商業的にも成功を収めた。

全曲レビュー

Roses (feat. ROZES)
- Bouquetの代表曲であり、The Chainsmokersのスタイルを確立した楽曲。
- エモーショナルなボーカルとトラップビート、ドリーミーなシンセが融合し、メロディックなEDMポップを生み出している。
- Billboard Hot 100で6位を記録し、彼らのキャリアを大きく飛躍させた。
New York City
- アルバムの中でも内省的な雰囲気を持つ楽曲。
- シンセを主体としたアンビエントなサウンドに、都会の孤独を描いた歌詞が重なる。
- ミッドテンポのメロディが心地よく、感傷的な雰囲気を醸し出している。
Until You Were Gone (with Tritonal feat. Emily Warren)
- エネルギッシュなプログレッシブ・ハウスのトラック。
- The ChainsmokersのメロディックなプロダクションとTritonalのアップリフティングなサウンドが融合。
- エミリー・ウォーレンの力強いボーカルが楽曲に深みを与えている。
Waterbed
- トロピカル・ハウスの要素を取り入れた陽気な楽曲。
- 軽快なシンセと遊び心のあるボーカルが特徴的で、Bouquetの中でも最もリラックスした雰囲気を持つトラック。
- のちの「Closer」や「Paris」にも通じる、カジュアルなサウンドの原点とも言える。
Good Intentions (feat. BullySongs)
- アップテンポでキャッチーな楽曲。
- ダンサブルなビートとシンセのバランスが良く、リリース当時のEDMシーンにマッチしたトラック。
- BullySongsのボーカルがポップなエネルギーを加えている。

総評

Bouquetは、The Chainsmokersがのちに確立するエレクトロポップとメロディックEDMのスタイルを示唆するEPであり、特に「Roses」は彼らの代表曲として今なお愛されている。

この作品の特徴は、単なるダンスミュージックではなく、感情的なストーリーテリングとキャッチーなメロディを融合させた楽曲構成にある。ダンスフロア向けのビートとポップな要素をうまく組み合わせ、リスナーが感情移入しやすい音楽を作り上げた点が、後の成功につながった。

当時のEDMシーンでは、ハードなドロップ主体の楽曲が主流だったが、The Chainsmokersはよりメロディックでエモーショナルなサウンドを前面に押し出し、新たなスタイルを確立した。このEPは、彼らが2016年以降のポップ路線へと移行する過程を示す重要な作品であり、後のヒット作の土台を築いたアルバムとして、今なお評価されるべき作品である。