発売日: 2019年1月18日
ジャンル: オルタナティブR&B, エレクトロニカ, ポップ, ヒップホップ
ジェイムス・ブレイクの4枚目のスタジオアルバム『Assume Form』は、これまでの作品に比べてより温かく、開かれた感情をテーマにした作品で、ブレイクがこれまでに見せたことのない側面を表現している。このアルバムでは、愛、脆さ、そして幸福が主要なテーマとなり、恋愛や自己受容の探求が込められている。彼の従来のミニマルなエレクトロニカやポスト・ダブステップの要素を維持しつつ、よりポップで親しみやすいサウンドに進化しているのが特徴だ。また、トラヴィス・スコット、ロザリア、アンドレ3000といった豪華なゲストとのコラボレーションにより、ブレイクの音楽の幅広さが強調されている。
各曲ごとの解説:
- Assume Form
アルバムのタイトル曲であり、感情の変化や自己受容を歌った一曲。ピアノのメロディとブレイクの柔らかいボーカルが美しく重なり合い、楽曲は次第に壮大な展開を見せる。愛と幸福を受け入れる過程がテーマであり、アルバム全体のトーンを設定する静かで感動的な曲だ。 - Mile High (featuring Travis Scott & Metro Boomin)
トラヴィス・スコットとプロデューサーのMetro BoominをフィーチャーしたR&Bトラック。メロウなビートに乗せて、ブレイクのボーカルとトラヴィスのラップが交互に響き合い、ダークで夢幻的なムードを作り出している。ポップな一面が強調されており、クラブやラジオ向けの親しみやすいトラックだ。 - Tell Them (featuring Moses Sumney & Metro Boomin)
シンガーソングライターモーゼス・サムニーをフィーチャーした曲で、彼のボーカルとブレイクの声が繊細に絡み合う。軽快なビートの中に感情の揺れが感じられ、両アーティストの内省的なリリックが特徴的。 - Into the Red
ブレイクの恋人であるジェイミー・ウーンにインスパイアされた美しいラブソング。エモーショナルなピアノメロディが基調となり、ブレイクのボーカルが曲の中心に据えられている。愛の力や献身がテーマとなり、感情が込められた一曲。 - Barefoot in the Park (featuring Rosalía)
スペインのシンガーロザリアとのデュエットで、二人のボーカルが見事に調和している。ブレイクのエレクトロニカサウンドとロザリアのフラメンコ風のボーカルが融合し、異なる音楽スタイルがユニークな形でミックスされている。愛と共感をテーマにした美しい楽曲で、アルバムのハイライトの一つ。 - Can’t Believe the Way We Flow
ソウルフルで軽快なトラックで、リズムとメロディがシンプルながらも力強い印象を残す。サンプリングを使ったコーラスがリズムセクションを引き立て、ブレイクの柔らかなボーカルが曲を優しく包み込んでいる。愛の喜びを描いたリリックが心地よい。 - Are You in Love?
ピアノを基調とした、感情的なトラック。愛に対する疑問や不安を歌った内省的な歌詞と、ミニマルなサウンドが相まって、ブレイクのボーカルが感情の起伏を巧みに表現している。 - Where’s the Catch? (featuring André 3000)
アウトキャストのアンドレ3000をフィーチャーした、ダークで知的なトラック。ブレイクの幻想的なサウンドスケープにアンドレ3000の鋭いリリックが加わり、楽曲に緊張感が生まれている。愛や成功に対する不安と猜疑心がテーマ。 - I’ll Come Too
優雅でロマンチックな曲で、愛する人を追いかけてどこへでも行くというテーマが描かれている。シンプルなピアノとオーケストラアレンジが、ブレイクの繊細なボーカルを引き立てており、アルバム全体に温かみを与える一曲。 - Power On
前向きなエネルギーに満ちた曲で、恋愛や人生における再生や希望がテーマとなっている。リズミカルなビートとシンプルなメロディが印象的で、ブレイクのより明るい一面を感じさせる。 - Don’t Miss It
内省的なトラックで、ブレイクの繊細な感情があふれている。心の葛藤や過去の失敗に立ち向かう力をテーマにしており、エレクトロニカの中に温かみを感じさせる一曲。 - Lullaby for My Insomniac
アルバムのクロージングを飾る静かなバラード。シンプルなピアノメロディにブレイクのボーカルが静かに響き渡り、眠れない夜に寄り添うような優しいトーンで締めくくられる。静かで心地よい終幕。
アルバム総評:
『Assume Form』は、ジェイムス・ブレイクが愛と幸福、自己受容を探求した、よりパーソナルで開かれたアルバムである。従来のエレクトロニカとポスト・ダブステップのサウンドを基盤にしながらも、ポップやR&B、ヒップホップの要素を取り入れ、リスナーに親しみやすい作品に仕上げている。豪華なゲストとのコラボレーションもこのアルバムを一層魅力的にしており、特にトラヴィス・スコットやロザリアとのトラックがその多様性を際立たせている。音楽的に進化を遂げたブレイクが、これまでの内向的なスタイルから一歩踏み出し、愛に満ちた新たな一面を披露したこのアルバムは、彼のキャリアの新たなハイライトとして評価されている。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚:
- Solange – When I Get Home
ミニマルなR&Bとソウルの融合が印象的な作品。ジェイムス・ブレイクの親密なサウンドを好むリスナーにおすすめ。 - Frank Ocean – Blonde
内省的で感情豊かなR&Bアルバム。ブレイクの感情的なボーカルや実験的なサウンドと共鳴する部分が多い。 - Sufjan Stevens – Carrie & Lowell
静かで繊細なフォークアルバム。感情の深みや、愛と喪失に対するテーマが共通する。 - Sampha – Process
ブレイク同様にエレクトロニカとソウルを融合させた作品。内省的な歌詞と感情的なボーカルが特徴。 - FKA twigs – MAGDALENE
エクスペリメンタルなR&Bとエレクトロニカの融合。ブレイクの繊細なサウンドと感情表現が好きなリスナーに
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