1. 歌詞の概要
「Always」は、スコットランド出身のインディーロック・バンド The Snuts(ザ・スナッツ)が2022年に発表したセカンド・アルバム『Burn the Empire』に収録された楽曲であり、アルバム全体の中でも特にセンチメンタルでロマンティックなバラードナンバーとして異彩を放っている。政治的、反抗的なトーンが強く打ち出された同作の中にあって、「Always」は個人的で穏やかな愛の誓いを描いた対照的な楽曲であり、バンドのソングライティングの幅広さと繊細な感性を感じさせる作品である。
タイトルの「Always(いつも、いつまでも)」という言葉が象徴するように、この曲は一貫して愛する人とのつながり、支え合い、変わらない気持ちの強さを歌っている。語り手は、苦しい時や静かな夜の中でも、恋人がそばにいてくれることの尊さを噛み締めながら、静かに「ずっと一緒にいたい」というメッセージを重ねていく。
繰り返される「You always show up just on time(君はいつもぴったりのタイミングで現れる)」というフレーズには、信頼と感謝、そして無償の愛への敬意が込められており、ラブソングとしての純粋さが楽曲全体にやさしく流れている。
2. 歌詞のバックグラウンド
The Snutsは、2021年のデビューアルバム『W.L.』で全英チャート1位を獲得し、一躍ブリティッシュ・インディーシーンの中心へと躍り出た。翌2022年の『Burn the Empire』は、タイトルの通り体制批判や若者の疎外感を描いた、より社会的でメッセージ性の強いアルバムとして注目された。
その中で「Always」は、アルバムの雰囲気からは一見浮いているように思えるが、実際には個人レベルでの愛や支え合いが“燃やすべき帝国”へのカウンターになるというテーマを補完する役割を果たしている。
つまり、政治や構造を批判するだけでなく、“誰かを大切にすること”や“愛の持続”こそが現代における最もラディカルな行動であるという価値観が込められているのだ。
この曲は、フロントマンのジャック・コクランが実際に経験した恋愛関係、あるいは人生の中での大切な人とのつながりを反映しており、歌詞のリアリティと親密さがリスナーに強く響く。また、ライブでは観客によって大合唱されることが多く、バンドとファンの心をつなぐアンセム的楽曲にもなっている。
3. 歌詞の抜粋と和訳
You always show up just on time
君はいつもぴったりのタイミングで現れる
このリフレインは楽曲の核となる一節であり、**困難なとき、孤独なとき、どんなときでも現れてくれる“存在の奇跡”**を表現している。愛する人の行動が、語り手にとってどれほど意味があるかが凝縮されている。
And I will always stay with you
僕はいつだって君のそばにいるよ
このシンプルなラインが持つ力は強く、どんな混乱や困難の中でも揺るがない決意と誓いが感じられる。若々しい感情でありながら、そこには大人びた覚悟も垣間見える。
I’ll be there in your darkest time
君が一番つらいときに、僕はそばにいるよ
“最悪のとき”という条件の中でこそ、本当の愛が試される。このフレーズには、条件のない支え合い、見返りを求めない愛情の本質が表れている。
※引用元:Genius – Always
4. 歌詞の考察
「Always」は、そのタイトル通り“変わらない愛”をテーマにした曲だが、その描かれ方は決して理想化された幻想ではなく、リアルな人間関係の中にある温もりや、ささやかな奇跡に焦点を当てている。
語り手は恋人を神格化するのではなく、「君は特別な力を持っているわけじゃない。でもいつも必要なときにいてくれる」という現実的な信頼を語る。これは、インスタントな関係が氾濫する現代において、“信頼の積み重ね”こそが愛の本質だと伝えているとも言える。
また、全体のトーンはあくまで穏やかで、情熱よりも静けさ、ロマンティシズムよりも親密さが強調されている。この抑制された感情表現こそが、「Always」の持つ誠実さを際立たせている。
それは、どんなに世界が騒がしくても、誰かがそばにいることが何よりも確かで、美しいという信念の表明である。
5. この曲が好きな人におすすめの曲
- All I Want by Kodaline
痛みと愛が交錯するバラード。失ってもなお想い続けることの強さを描く。 - Someone You Loved by Lewis Capaldi
スコットランド出身アーティストによる、切実で繊細な失恋ソング。 - Just You and I by Tom Walker
愛する人との日常を、やさしく肯定するモダンなラブソング。 - Ocean Eyes by Billie Eilish
若さと不安、そして惹かれる感情をミニマルに描いたバラード。 - Unconditional by Picture This
条件のない愛をストレートに表現したアイルランドのポップバンドによる一曲。
6. 「変わらないこと」が一番ラディカルな愛のかたち
『Burn the Empire』という攻撃的なアルバムの中で、「Always」は静かで、でも確かな反抗の歌である。それは政治的主張ではなく、“誰かを大切にすることこそが社会を変える第一歩だ”という信念の形なのだ。
この曲が描くのは、恋人に対する愛というよりも、人間の関係性が持つ信頼と温もりの力であり、それはあらゆる「帝国」や「構造」の冷たさに抗うための、もっとも原始的で有効な手段である。
“Always”という一言には、変わりゆく世界の中で変わらない想いを守り抜く、静かな強さがある。
The Snutsはその言葉を、ギターと歌声とともに、未来の不確かな夜へと響かせている。
そしてそれは、聴く者ひとりひとりの“信じたい気持ち”を、そっと肯定してくれるラブソングなのだ。
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